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1998年4月 (21日〜30日)

あなたは 番目の訪問者です。


1 INET GATE 1998/04/24 12:17
題名:[lex] JACET辞書研からのご連絡

Date: Fri, 24 Apr 1998 10:51:00 +0900
From: 村田 年 <>
1998.4.24
JACET英語辞書研究会会員の皆様へ
英語の辞書に関心を持たれる方々へ

JACET英語辞書研究会
世話人:赤野一郎  赤須 薫  井上永幸
    小林ひろみ 南出康世  村田 年  山田 茂
      URL: http://www.f.chiba-u.ac.jp/JACET-LEX.html

1.JACET 英語辞書研究会6月例会のお知らせ
  例会を関西で初めて開くことになりました。2つの研究発表の他にオック
 スフォード大学出版局による辞書・辞書学関係の文献の展示もあります。
  多数ご出席下さい。

日時:6月14日(日)1:00〜3:00pm.
場所:園田学園女子大学

講師:濱 嶋 聡(園田学園女子大学助教授)
題目:「オーストラリアの英語辞書学:Macquarie 辞書とDictionary Research
    Centre」
<発表概要>
 第3版が1997年11月に出版されたオーストラリアの国民的辞書ともい
えるMacquarie辞書についてまず、その歴史を述べ、初版、第2版、第3版の比
較、また、第2版の出版より6年という短期間での第3版の出版を可能とした
Ozcorpについて発表予定。また、Macquarie辞書研究所の歴史、目的、主な活
動、オーストラリア辞書学学会Australexとの関係についても触れたい。

講師:南條 健助(大阪国際大学・甲南大学国際言語文化センター非常勤講師)
題目:「学習英和辞典における最適な発音表記とは」
<発表概要>
 1. 学習英和辞典には、どのような発音記号の体系が最適か.英語音声学の
立場と英語発音教育の 両面から考察する.(『ライト ハウス英和辞典』
と『ジーニアス英和辞典』に言及する)
 2. 学習英和辞典には、どのような音声情報を盛り込むべきか.一つの単語
に何通りもの発音があ る場合の扱い.「略式」「非標準」といった発音の情
報や、早い発話での発音も盛り込むべきで ある.
 3. IPA 発音記号以外の表記法(カタカナ表記とフォニックス表記)につい
て.(『ヴィスタ英和辞典』と『ライトハウス英和辞典』『表音小英和』に言
及する)
研究発表後懇親会を予定しています。会場までの交通機関等は次回のメールに
載せます。     (南出 康世)
  連絡先:南出康世()
      畠山利一 ()

2.シンポジウム(9月11日,JACET大会(就実女子大にて)において)
 テーマ:学習辞書と用例
     Illustrative Quotations in Learners' Dictionaries

司 会   赤須 薫(東洋大学)
提案者   土家裕樹(京都外国語短期大学)
提案者   土肥一夫(東横学園女子短期大学)
提案者   山田 茂(早稲田大学)

辞書において「語義記述」が心臓部と言えるかもしれない。しかしながら、
それに優るとも劣らず重要な部分として「用例」がある。用例は、語義記述の
意味的な情報のみならず、統語的・語用論的・文化的など種々の情報を具現化
し、それを支える極めて重要な存在である。
提案者各自に自らが得意とする分野を担当してもらい、それぞれの視点から
学習辞書の用例を論じてもらうことにする。それによって、学習辞書の質的向
上に寄与することを目的とする。
土家氏は語法研究家であり、その立場から、用例の問題を論じる。現実の用
法との齟齬はないか、用例の語法的適切さはどうかなどを問題とする。
土肥氏は、学習辞書を歴史的にさかのぼり、用例がどのように位置づけられ
てきたのかを検討する。
山田氏は、近年次々と出版される学習英英辞書を対象に、その用例がどのよ
うな問題を抱えているかを論じる。

これまでのところ、用例を前面に出して討論を行ったシンポジウムは比較
的少なかったのではないかと思われる。今回のシンポジウムは用例に関する貴
重な討論会となるであろうし、またそのようになることを期待している。会場
からも意見を多く出してもらい、本シンポジウムをぜひ有意義なものとした
い。                         (赤須 薫)

3.3月例会の報告
 例会は30数名の出席者を得て盛会でした.英国の EFL辞書の編集の実際から
レキシコグラファーの養成の問題まで,日本では初めて聞く話に引きつけられ,
質問もたくさん出ました.以下ご本人の小室さんにまとめていただきました.
(情報筋によると LEA 編集の責任者である Della Summers さんが今東京にい
らっしゃっているそうです.)

Longman Essentail Activator の編集と執筆者養成の問題

発表は三部構成:1) Longman Essential Activator (LEA) の紹介
2) LEA の編集のポイント
3) lexicographers の養成とその問題
としました。

まず LEA をその親版である Longman Language Activator (1993)
との比較より、単なる簡約版ではなく、中級者向けに完全に
書き換えられていることと、その特徴を紹介しました。
特徴としては:
1) Layout --- 二色刷りで挿絵も多用されており attractive である。
2) Macrostructure --- 全収録語は巻末インデックスに。
3) Language notes --- Help box と呼ばれる注意事項
4) Sectioning/ section headings --- 簡略化
5) exponents --- 一概念に一語。
6) definition/ examples --- 簡略化
7) grammar pattterns and collocation --- より詳しい基礎文法情報
8) spoken expressions --- より強調(アイコンの使用)

次に、特徴のところで挙げた「簡略化」を、使用者のレベルに
見合うようにする為にロングマン社が行ったことを2点に絞って
紹介しました。

1) Pilot studies --- 単語レベルからセクションヘディングが
使用者をきちんともっとも適切な語に導くことができるか、
といった microstructure を試すもの等など。
2) User-friendliness の追求 --- 自分の表現したい事物を表すのに
適切な語を(簡単に)見つけることができ、それを「正しく」
使うことができるようにしてくれる発信型辞書にする。

そして実際にこの仕事をする lexicographer と呼ばれる人達は
どのような人達で、具体的にどのような仕事をし、テキストの
質を高く保つためにどのような努力・工夫をしているのかを
最後にお話しました。
TQM と呼ばれる Text Quality Monitoring Meeting によって
定期的に執筆された項目をチーム全員でチェックしたり、
問題点を話し合うこと。
Styleguide を作成することにより、項目内の執筆のポリシー
を徹底させることが可能であること。

発表内容が主に microstructure に関してだったため、
macrostructure に関する御質問(コンセプト選定の基準・
コンセプトのネーミングについて等)をいつくか頂きまして、
大変勉強になりました。きちんとお答えできなかったものに
関しましては、ロングマン社に問い合わせ中ですが
回答が得られるかは分かりかねます。申しわけございません。

何か形にして残しておかなければ、次第に風化していって
しまいそうであったロングマン社での placement での貴重な経験を
この機会に、きちんとまとめられたこと、そして、頂戴致しました
御質問によって、また新しい視点から LEA を考えるきっかけを
掴めたこと、お話を下さった村田先生をはじめ、皆様に感謝致して
おります。 (4月8日記)(小室夕里)

4.次のワークショップの発表募集
 次回のワークショップは12月5日(土)に「英語の辞書」をテーマに早稲田
大学で開く予定です.発表者は先着順50名を予定しております.(前回は
40名でした.)参加する人は発表することが原則ですので,早めに発表の準
備をして下さい.発表の受付は8月1日〜9月30日を予定しています.発表
応募の仕方については次回または次次回に連絡します.

5.AILA '99 Tokyo(1999年8月1-6日)への参加
 シンポジウム2件,ポスターセッション1件を出そうと企画中です.申込み
締切が延期されて9月30日となりました.
 1)シンポジウムA:二カ国語辞書をテーマに中国,韓国,オーストラリア
あたりからも提案者を得て,組み立てたらとの意見が出ています.
 2)シンポジウムB:辞書学と関連諸科学をテーマにやや理論的なものをと
の意見が出ています.
 3)ポスターセッション:辞書指導をテーマに組み立ててみようとの意見が
出ています.
 以上いずれもまだたたき台の段階ですので,アイディア,提案者の推薦等を
積極的にお願いします.

6.辞書研のホームページ
土肥 充さん(千葉大学)のご援助でホームページを上げました.当辞書研究
会発足の趣旨,会合の持ち方,活動報告等が載っておりますので,ぜひ一度見
てやって下さい.
 URL: http://www.f.chiba-u.ac.jp/JACET-LEX.html

7.辞書学メーリングリスト
 井上永幸さん(島根大学)が表記のMLを上げてくれました.現在100数十
名の参加者を得て,毎日活発な議論が展開されています.ご興味のある方は下
記のホームページをご覧下さい.
 URL: http://lexis.edu.shimane-u.ac.jp/inoue/mailinglist.html

8.われわれの辞書研のリンキング
   東北大学の後藤斉先生を通して「国内言語学関連研究機関WWWページリス
  ト」(URL:http://www.sal.tohoku.ac.jp/~gothit/kanren.html)とリンク
  しています.さらにこれは「国内人文系研究機関WWWページリスト」
  (URL:http://www.sal.tohoku.ac.jp/~gothit/zinbun.html)ともリンクし
  ているようです.
 このほかにヨーロッパ辞書学会(EURALEX),北米辞書学会(DSNA),アジア
辞書学会(ASIALEX),オーストラリア辞書学会(Australex),国立国語研究
所,湖南大学(日中・中日辞典)などとリンクしつつあります.

9.表現学会の辞書関係の発表・シンポジウム
 日本英語表現学会の全国大会において下記の辞書学関係のシンポジウム・発
表があります.どうぞご参加下さい.
 日時:6月27日(土)
 場所:青山学院大学総研ビル(東京都渋谷区)
 当日会費:1000円
 発表(10:00--12:00)
   小室夕里(立教大学):EFL 辞書の動詞の定義における括弧の有効性
山田 茂(早稲田大学):辞書指導不在と EFL辞書
中本恭平(共立女子大学):選択制限と定義の「視点」――EFL辞典の場合
 シンポジウム(13:00--15:30)
   テーマ:英語コーパスを利用した表現研究――成果と課題
   司会:増田秀夫(東京理科大学)
   提案者:井上永幸(島根大学) 磐崎弘貞(筑波大学)
       佐良木昌(佐良木技術翻訳事務所)

問合わせ・連絡先:村 田  年 

電話:0474-23-5475
FAX: 043-290-3747,
〒273-0865 船橋市夏見4ー9ー5


2 INET GATE 1998/04/24 21:55
題名:[lex] 短大一年の英和辞書状況(25名)

Date: Fri, 24 Apr 1998 21:41:03 +0900
From: "NISHIMURA Tadamasa" <>
Reply-To:
To: "lex" <>

今年の短大一年(英語科)の担当クラス25名の英和辞典は
以下のとおりでした。(学生は西日本がほとんど)

ジーニアス(含Fの1) 14
サンライズ 4
プロシード 2
プログレッシブ 1
ライトハウス 1
旺文社英和中 1
ニューアンカー 1
ニューセンチュリー 1

西村 公正


1 INET GATE 1998/04/25 03:03
題名:[lex] 短大一年の英和辞書状況(25名)

Date: Sat, 25 Apr 1998 02:21:36 +0900
From: "Hiro" <>
Reply-To:
To: <>

西村先生の受け持つ25名の学生中14名がジーニアスとは。ジーニアス一派の僕も
唖然としてます。プログレッシブの数が意外に少ないですね。他の先生の報告が聞き
たくなりました。
Hiro Matsuzaki
American House Inc.


5 INET GATE 1998/04/25 22:57
題名:[lex] 大学一年生の英和辞書状況

Date: Sat, 25 Apr 1998 22:34:03 +0900
From: (Kazuyo MURATA)
Reply-To:
To:

村田 和代@奈良女子大学大学院です。 初めて書き込ませて頂きます。 12月の
JACET辞書研究会のワークショップに応募できるといいなあ、と思って新学期の初め
に、非常勤で担当させて頂いている7クラス(2大学)の新入生に英和辞典について
のアンケートを行い協力してもらいました。 まだ未回収の回答もあるのですが、現
在使用している英和辞書について、とりあえず手元にある回答の集計をした結果です。

251名(複数辞書回答可) 
 文学部2クラス、経済学部2クラス、文芸学部、商経学部、理工学部、各1クラス

  ジーニアス   149
  ライトハウス   27
  センチュリー   17  
  プログレッシブ  16
  グローバル    15
  サンライズ    14
  クラウン     12
  アンカー     11
  プロシード     7
  デイリーコンサイス 7
  英和中       5
  その他       6  旺文社コンパクト、ジュニア英和、エポック英和、
              電子手帳、 STEP、 ニューホライズン
    その他については学生の記入通りの名称です。

                         村田 和代
                          奈良女子大学大学院
                          


2 INET GATE 1998/04/26 10:27
題名:[lex] 大学一年生の英和辞書状況

Date: Sun, 26 Apr 1998 10:11:00 +0900
From: 村田 年 <>
Reply-To:
To:

村 田 和 代 様

村 田  年です.
親戚のような感じですね.

『ジーニアス』の驚くべき数ですが,関東ですともう少し下回る(断然1位で
あることには変わりないでしょうが)かも知れませんですね.調査したわけで
はありませんが.(出版社の調査報告を伺ったことがありますが,薄れてし
まった記憶ではこれほどではなかったです.)

辞書研の会員である古富千秋さん(大妻嵐山高校)の発表ハンドアウト
(1998.3.21)を見ると全体の集計がないのですが,
A高1年  ジーニアス55,  ライトハウス17, センチュリー12
A高3年  ライトハウス24, ジーニアス12,  ニューアンカー10
このように大分ばらついていますね.
古富千秋:辞書指導の重要性―高校生の辞書所有と辞書使用に関する実態調査
     を通して
古富さんの E-mail ID :

辞書指導の研究,特に継続的な研究が少ないので,このような実証的な研究を
続けていっていただけると有り難いですね.

今度のAILA の大会に辞書指導のポスターセッションを出す企画を考えていま
す.まだやってくれる具体的な人は決まっていません.数人のグループで,シ
ンポジウムのような形で作っていただけるといいのですが.村田さん,ご参加
いただけないでしょうか.

ポスターセッションというのは日本の人文系ではあまり一般的ではありません
が(高校の文化祭のクラブの展示・発表のような形式になります),長時間を
使える,個人的に親しく説明できる,すぐに反応が返ってくる,本当に関心の
ある人だけが集まってくる,といった利点があるかと思います.

ほかにもやってくださる方が自薦で出てくれるとありがたいですね.

村 田  年


1 INET GATE 1998/04/26 13:51
題名:[lex] thanks (n.) の 単/複 ?

Date: Sun, 26 Apr 1998 13:27:56 +0900
From: "NISHIMURA Tadamasa" <>
Reply-To:
To: "lex" <>

(いつも岡目八目 的で申し訳ありませんが、私は利用者の立場
でこの ML に参加させてもらっています。)

American Heritage ESL Dictionary の p. v (実質の第1ページ)
を読み出しまして、
A special thanks goes to Angela Castro and . . .
~~ ~~~~~~ ~~~
で思わす、留まっています。

名詞 thanks は複数扱いとばかり思っていました。なるほど
Washington Times には用例が出てきます。.

アメリカ人に、
A special thanks ( ) to Angela Castro と書いた紙を見せて
たずねたら、「私は I express my special thanks to . . .
という表現をつかう、とうまく逃げられました。

西村 公正


1 INET GATE 1998/04/26 20:52
題名:[lex] RE: [lex] thanks (n.) の 単/複 ?

Date: Sun, 26 Apr 1998 20:38:21 +0900
From: "Hiroshi Suga" <>
Reply-To:
To: <>

西村先生の thanks について私も調べてみました。

私の持っているコーパスでは残念ながら,単数に用いた例は
見つけることができませんでした。
COBUILD ON CD-ROM(500万語)でも,次のような複数形
しかありませんでした。

1) Thanks, said my husband, weren't due.
2) Very special thanks go to Lieutenant Colonel John L.
3) Grateful thanks are recorded...
4) ... our grateful thanks are due to them...

関係ないかもしれませんが,4月26日に配信されたCobuild WordWatchに,
'criteria' という語が

The second stage would be to set up an elite league, open to any club
   meeting a strict criteria. (newspaper article)

のように単数に使われたり,

I'm a little bit hesitant in asking about patient satisfaction without
   having certain criterias. (radio interview)

のように -s をつけたりする例がよく見られるが The Bank of English
では criteria を単数として使っている例は約200例, 複数扱いが
3000例ある。かなり一般的になってはいるが "it is better to avoid it"
と書いてありました。

答えになっていませんね (^^ゞ。

=-=-=-=-=-=-=-=--=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
Hiroshi Suga
Kurashiki Amaki High School
email :
Home page: http://www1.harenet.or.jp/~suga
=-=-=-=-=-=-=-=--=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=


3 INET GATE 1998/04/27 00:57
題名:[lex] thanks (n.) の単/複 ?

Date: Sun, 26 Apr 98 15:13:32 UT
From: "takahiro kondo" <>
Reply-To:
To:

”Slow but steady wins the game(race).”

中学校時代にこういう表現を暗記させられました。形容詞の名詞的用法,
ならびに複数にみえる主語相当語句が三人称単数(現在形)でうけられて
いること,この二つに不思議な印象を刻印されたことを20年ちかく
なる今も強烈に覚えています。

また,洋版屋でCDを買ったりすると,歌詞カードに「Special t
hanks goes to だれそれ」という文句もあります。

結局,慣習化されたために,言語的に厳密には複数形でも,単数扱いされ
れるのが常用になったということじゃないのでしょうか? そもそも,定
冠詞の「the」と同じで,習慣に慣れているかどうかの問題であって
,わたしのような外国人には難しい問題です。(だから慣れる以外に適応
する方法はない。)

論理的に考えると,日本語の「負けず嫌い」という表現は「負けないこと
」が「嫌い」なはずだから,「勝つこと」か「引き分けること」が「嫌い
」なことを示すはずですが,「負けず嫌い」で「勝つことが嫌いなこと」
と理解すると,慣習(原語本来の意味するところ)に逆らってしまうとい
うことなんでしょう。(もちろんその「次元」は違います!!)

こんどう

PS わたしも利用者の立場でこれに参加しています! 初めまして!
! 本MLの専門家の皆さん,これからも相談にのって下さいね!!
!
PS2 「Angela Castro」とは,だれなんだろう? キューバ人なのだ
ろーか? (西村さん,これって,だれだと思います?)

----------
From: List Engine MDaemon v2.7 SP1 R on behalf of NISHIMURA Tadamasa

Sent: Sunday, April 26, 1998 1:27 PM
To: lex
Subject: [lex] thanks (n.) の 単/複 ?

(いつも岡目八目 的で申し訳ありませんが、私は利用者の立場
でこの ML に参加させてもらっています。)

American Heritage ESL Dictionary の p. v (実質の第1ペ
ージ)
を読み出しまして、
A special thanks goes to Angela Castro and . . .
~~ ~~~~~~ ~~~
で思わす、留まっています。

名詞 thanks は複数扱いとばかり思っていました。なるほど
Washington Times には用例が出てきます。.

[日付を明記して下さると,わたしのようなほかのML参加者にはあ
りがたいのですが・・・]

アメリカ人に、
A special thanks ( ) to Angela Castro と書いた紙を見せて
たずねたら、「私は I express my special thanks to . . .
という表現をつかう、とうまく逃げられました。

西村 公正


2 INET GATE 1998/04/27 03:29
題名:[lex] thanks (n.) の 単/複 ?

Date: Mon, 27 Apr 1998 03:22:12 +0900
From: "Akinobu TANI" <>
Reply-To:
To: "LEX" <>

西村先生

手元にあるいくつかの本のacknowledgementを見てみました:

単数扱いの例

1 A special thanks goes to Professor Emeritus Eric Stanley for his
painstaking and detailed comments on the draft originally sent to
Oxford University Press. (Cynthia L. Allen. _Case Marking and
Reanalysis_ OUP:1995)

複数扱いの例

2. . . . and our special thanks go to Connie Terrero and Brenda
Machovsky for their hard work of generating a computer text
from our earlier typescripts. ( Ed. Martin Stevens and A. C.
Cawley _The Towneley Plays. Vol 1._. EETS: 1994)

3. For typing, copying, and other help in the creation of the book,
special thanks are due to Gloria Cohn, Katherine Schoroeder, Susan
Roberts, and Anne Banister, people of rare sill and humanity.(W. F.
Bolton _A Living Language_ McGraw-Hill: 1982)

4. My particular thanks go to Dr. Rosamund Allen . . . (Ed. M. Mills
_Ywain and Gawain_ Dent:1992)

5. To generations of students in London and Lancaster go my thanks
for their attention and for their questions which sometimes made
me realize I did not understand the point perfectly either. (Stanley

Hussey _The English Language_ Longman: 1995)

6. My thanks go to them all along with the obligatory
acknowledgement . . . (C. B. Kendall _The Metrical Grammar of
'Beowulf'_ CUP:1991)

7. . . . special thanks are due to Dr. Gene Beckett . . .
(J. L. Dillard _American English_ Longman:1992)

8. My thanks are due to my colleagues in Sheffield: in particular to
Brian Donaghey for helpful discussion and to Johan Johansen
and Norman Blake for reading the typescript and making valuable
suggestions for reading the typescript and making valuable
suggestions for improvement. (David Burnley _A Guide to
Chaucer's Language_ MacMillan: 1983)

9.Thanks are now due to Sarah Ogilvie-Thomson of St. Edmund Hall,
Oxford University, Daniel Donoghue of Harvard University, and
Traugott Lawler of Yale University. (B. Mitchell and F. C. Robinson
_A Guide to Old English 5th ed._ Blackwell: 1992)

10. Thanks also are due to the Office of Research of the College of
the Liberal Arts of the Pennsylvania State University(Thomas F,
Magner, Dean) for financial support for this endeavor; to my wife,
Jill, and to my student, Beverley Goodman, both of whom assisted
in the editing; and to Connie Moore, who patiently and faithfully
typed a difficult manuscript. (Philip Baldi. _An Introduction to
the Indo-European Languages_ Southern Illinois UP:1983)

11. Thanks are due also to Richard Hudson for comments and
advice on earlier drafts of this book. (J. Haynes _Style_
Routledge: 1995)

12. To my daughter Amy thanks are du of a more general nature, . . .
(Jeremy Smith, _An Historical Study of English_ Routledge: 1996)

動詞のない例?

  13 Lastly, my thanks to Elena Postsova-Cook, not for being the
docile domestic protectress of the traditional male preface, but
for discussing, contesting, and adding to these ideas. (Guy Cook,
_Discourse_ OUP: 1989)

14. Thanks also to Charles Barber, Tom McArthur, Bengt Odensteadt,
Matti Rissanen, and Loreto Todd for information and comments
received while this book was in reparation. (D. Crystal. _The
English Language_ Penguin: 1988)

  15. My grateful thanks in particular to Sonia Critchley, Dick Hudson,
Ann Jefferies, Alison Love, Barbara Madell, Andrew Morrison,
Chana Moshenska and Jeremy Nicholls. (R. Salkie _Text and
Discourse Analysis_ Routledge:1995)

17.My thanks also to Jeanne Andrew, Douglas Bradley, Mike Morrison,
and Jennifer Nomura for their help with this revision. (S. A.
Barney _Word-Hoard 2nd ed._ Yale UP: 1985)

ご覧のように、単数の例は一例しか出てきませんでした。1の例を書いた
アレンは現在はオーストラリアにいますが、PhDはアメリカのどこかの大学で
とったはずです。形容詞つきの例がだいたい少ないですし、形容詞が付加さ
れていてもmy がついている例が多いので、a に関してはよく分かりません。
どちらにせよ、やはり複数が多いようです。

イギリス人とアメリカ人で違いはあるのでしょうか?私の例はすべて言語に
関係する本ばかりからですので、もっと言葉に無頓着な人たちが書いた本の
acknowledgementを見た方が実体を見ることができるのかも知れません。

あまりお役に立ちませんでした。

==============
武庫川女子大
谷 明信
==============


2 INET GATE 1998/04/27 11:12
題名:[lex] thanks (n.) の 単/複 ?

Date: Mon, 27 Apr 1998 10:38:51 +0900
From: kazuo kato <>
Reply-To:
To:

西村先生:

加藤@岩手医大です.

NISHIMURA Tadamasa wrote:
>
> (いつも岡目八目 的で申し訳ありませんが、私は利用者の立場
> でこの ML に参加させてもらっています。)
>
> American Heritage ESL Dictionary の p. v (実質の第1ページ)
> を読み出しまして、
> A special thanks goes to Angela Castro and . . .
> ~~ ~~~~~~ ~~~
> で思わす、留まっています。
>
> 名詞 thanks は複数扱いとばかり思っていました。なるほど
> Washington Times には用例が出てきます。.
>
> アメリカ人に、
> A special thanks ( ) to Angela Castro と書いた紙を見せて
> たずねたら、「私は I express my special thanks to . . .
> という表現をつかう、とうまく逃げられました。
>
> 西村 公正

まず,手元の例です:

(1) I worked most closely with research archivist Erwin Mueller and
with librarian Elizabeth Saftly, and to them I owe a special thanks.
(Strictly Personal and Confidential: The Letters Harry Truman Never
Mailed ed. by Monte M. Poen, 1982, p. xi)

また,米国の小説家 Flannery O'Connor の書簡集に次のような例があります.
ただ,彼女の手紙の英語はかなり天衣無縫なところがありますので,一般的とは
言えないかもしれません.

(2) Much thanks for the notes and general thoughts. (The Habit of Being:
Letters Edited and with an Introduction by Sally Fitzgerald, 1979,
p. 329)

しかし,Ralph B. Long (1961), The Sentence and Its Parts: A Grammar of
Contemporary English, p. 226 には次のような記述があります.私は前から
a special thanks や much thanks も Long があげている語と同類ではないか
と思っています.なお,例文のイタリックは大文字で表記することにします:

Quantifiable status is sometimes given, especially in informal styles,
to such uncountable pluralizers as ASHES, BRAINS, FIREWORKS, MORALS,
OATS, and SUDS.

We have TOO MUCH ASHES in the fireplace.
He just doesn't have MUCH BRAINS.

The situation is very similar in sentences such as JOHNNY'S EATEN TOO
MUCH MASHED POTATOES. MANY is obviously not usable here: individual,
countable potatoes are not present in mashed potatoes.

手元には次のような例もあります.これらの much guts, much friends,
much victims, much runs も同類と考えられます.ただ,thanks はこれらの
語のようにこのような文脈で完全に不可算語になりきっているわけではなくて,
可算・不可算用法が混在し,規範文法的には可算語扱いが優勢なのかもしれま
せん.このように考えると (2) の例もうまく説明できそうです.

(3) "Thank you for being so honest with us; I'm sure the people in our
audience can understand how much guts it must take for you to tell
us these things." (Bob Greene, Cheeseburgers, Ballantine Books,
1986, p. 104)

(4) "You're not that much friends nowadays and I've never been friends
with your wife...." (Bernard Malamud, Dubin's Lives, Avon Books,
1980(?), p. 185)

(5) If she asked herself whom she really detested in all this, it
wasn't the blacks, who in many ways were as much victims as she
was; .... (J. Anthony Lukas, Common Ground: A Turbulent Decade
in the Lives of Three American Families, 1985, p. 468)

(6) "165 wickets, eh?"
"No, that means we scored 165 runs."
"Not much runs, huh?"
"No," said Walker, "not much runs at all."
(Malcolm Bradbury, Stepping Westward, arrow Books, 1979, p. 212)

なお,どなたかが言及されていた criteria の単数扱いの問題はこれとは別の
問題のような気がします.これは,criteria は例外的な複数形なのでこれが
criterion の複数形であることを意識しない人の,かなり一般的な「誤」用と
考えるべきではないかと思います.同種の問題は data-datum, media-medium,
phenonena-phenomenon にもあります. (加藤 和男)


1 INET GATE 1998/04/27 11:13
題名:[lex] 英語辞書に関する調査−英語専攻v.s.

Date: Mon, 27 Apr 1998 10:38:13 +0900
From: "SEKIYAMA, Kenji (Sekky)" <>
Reply-To:
To:

関山 健治@愛知淑徳大院生 です。

 英語の辞書に関する調査結果,興味深く拝見しております。これを読んでいて,以
前,卒論執筆時に英語辞書に関する実態調査を行ったことを思い出しました。母集団
の数も少なく,また,実施時期が古い(1992-1993年)こともあり,信頼性には難が
ありますが,結果の概要を以下にペーストいたします。ご参考になれば幸いです。ま
た,何かございましたらご自由にコメントくだされば光栄に存じます。
 調査対象者は,名古屋学院大学(愛知県瀬戸市)の学部学生(合計119名)に行い
ました。外語→外国語学部英米語学科,経済→経済学部経済学科 です。表と見出し
がずれていて見にくいと思いますがご了承ください。

★何冊英和辞書を持っているか

回 答 者 1冊 2冊 3冊 4冊以上
外語3年 31% 15% 23% 31%
外語2年 32% 53% 0% 16%
外語1年 27% 52% 19% 4%
経済1年 86% 14% 0% 0%

 英語専攻・非専攻で結果がきれいに分かれました。経済学部の学生のほとんどは1
冊しか辞書をもっていません。大半の高校では,入学時に学習英和辞書を一括購入さ
せたり,斡旋販売することを考えると,経済学部の学生の多くは,高校入学時に買っ
た辞書をそのまま大学でも使っていると思われます。一方,英米科の学生は,1年生
でも半数以上が複数の英和辞書をもっています。また,学年が進むにつれて辞書を買
い増す傾向がみられました。この理由として,英米科の授業では教材の難度が高く,
また専門の授業では専門用語が頻出することもあり,高校学習英和では歯が立たない
ということが考えられます。

★自分の使っている辞書を選んだ理由(※複数回答なので,%でなく人数で出してあ
ります)

学校で一括購入 教員のすすめ 値段 発行年 語数 何となく
例文の量 他
外語3年 3 8 0 1 8 1 3 0
外語2年 3 8 1 1 5 3 5 5
外語1年 23 20 0 2 5 8 5 20
経済1年 17 2 1 1 5 3 1 11

 英米科の学生では,学年が進むにつれて語数の多い辞書を求める傾向があります。
発行年を重視する者がほとんどいないというのは注目すべき特徴でしょう。「他」の
多くは,兄弟の使っていた「お古」を譲ってもらって使っている,という回答でした

★どの規模(収録語数)の辞書を使っているか

回 答 者 4万語以内 4万〜7万語 7万〜10万語 10万語以上
外語3年 0% 48% 35% 17%
外語2年 0% 50% 18% 32%
外語1年 4% 51% 38% 7%
経済1年 3% 63% 31% 3%

 これは,もっている辞書名(複数可)をあげてもらった後に「最もよく使う辞書」
を1つだけ選んでもらい,そのブランドを,私の方で収録語数別に分類した者です。
英米科の学生は学年が進むにつれて語数の多い辞書を多く用いるという傾向がみられ
ます。その一方で,(おそらくは)高校入学時に買ったと思われる4万〜7万語クラ
スの学習辞書もかなり使われています。「慣れ親しんだ辞書の方が使いやすい」とい
うことでしょうか。ちなみに,具体的な辞書名では,英米科の学生は「ジーニアス」
「プログレッシブ」「研究社新英和中辞典」がほぼ同数,経済学科生は「ライトハウ
ス」「フレッシュジーニアス」「サンライズ」などの高校英和が多くみられました。

★高校の頃辞書指導があったか

回 答 者 よくあった 入学時のみあった なし
外語3年 0% 23% 77%
外語2年 0% 16% 84%
外語1年 8% 45% 45%
経済1年 6% 40% 51%

 専攻による違いはほとんどみられません。名学大生の大半は,専攻に関係なく公立
普通科高校を卒業しているので,当然といえば当然でしょうが。

★辞書のどの情報を活用するか(複数回答可)

訳語 品詞・発音 用法・レーベル 文型表記 用例
外語3年 100% 69% 38% 0% 92%
外語2年 100% 95% 47% 26% 74%
外語1年 100% 68% 36% 15% 72%
経済1年 100% 46% 29% 0% 23%

 専攻によって大きく差がついたのは用例の活用です。英米科の学生は,英作文の課
題なども多いので,必然的に用例を見る学生も多いのでしょう。一方,文型表記は,
各辞書がしのぎをけずっている情報であるが,意外と学生には活用されていません。
英米科の学生でも,文型表記は約束事も多く,見るのがおっくうだという者も多いで
す。用例はみても文型表記は見ない,という者が大半です。

★英英辞書を持っているか

回 答 者 あり なし
外語3年 93% 7%
外語2年 84% 16%
外語1年 36% 64%
経済1年 3% 97%

 これも専攻によって大きく差が出ました。英米科では,学年が進むにつれて,英英
辞書に興味を持ち,購入する学生が増えていきます。

★(以下の設問は上記で「英英辞書を持っている」と答えた者のみ回答)英英辞書を
選んだ動機

回 答 者 一括購入 教員のすすめ 値段 発行年 収録語数
わかりやすさ 例文 何となく 他
外語3年 2 4 1 0 0 3 1 1
1
外語2年 1 5 2 0 0 5 0 2
5
外語1年 1 12 1 1 0 1 2 3
5
経済1年 0 0 0 0 0 1 0 0
0

 英和と異なり,「収録語数で選ぶ」と答えた学生は少ないです。ここからも,学生
は英英を英和の代替品,あるいは,「高級な英和辞典」的にとらえる*のではなく*
,何か特別なものとしてとらえている者が多いようです。

★英英と英和のどちらを主に用いるか

回 答 者 英和のみ 英和が主 英英が主 英英のみ
外語3年 50% 42% 8% 0%
外語2年 31% 69% 0% 0%
外語1年 44% 56% 0% 0%
経済1年 0% 100% 0% 0%

 英米科の3年生は,回答者の9割強が英英辞書をもっていますが,実際に英英を少
しでも活用している者は半数しかいません。英英辞書を選んだ動機のトップ(前設問
)が「教員のすすめ」であることを考えると,大学入学時に教員からすすめられるま
まに英英を買ってみたものの,使いこなせない者が多いということがうかがえます。

★高校の授業で英英を使ったか

回 答 者 授業でよく使った 紹介のみ 全く使わなかった
外語3年 0% 15% 69%
外語2年 0% 38% 63%
外語1年 5% 21% 84%
経済1年 0% 0% 100%


1 INET GATE 1998/04/27 13:24
題名:[lex] メールのダブりすみませんでした.

Date: Mon, 27 Apr 1998 11:54:18 +0900
From: kazuo kato <>
Reply-To:
To: "" <>

加藤@岩手医大です.

a special thanks についての書き込みでメールをダブらせてしまいました.
すみません.

なお,BNC の簡易検索では much thanks が 6 件ヒットしました.


2 INET GATE 1998/04/28 11:03
題名:[lex] MLサーバー一時お休み

Date: Tue, 28 Apr 1998 10:34:41 +0900 (JST)
From: Nagayuki Inoue <>
Reply-To:
To: Lexicographer Mailing List <>
Cc: Nagayuki Inoue <>

各位

辞書学ML登録者の皆様には日ごろご参加をいただきありがとうございます。

さて,先日来,ハードディスクから異音が聞こえるようになりまして,ハードディ
スク交換のため,少しお休みさせていただきます。数時間か,長くても1〜2日
と思いますので,その間ご不便をおかけしますが,よろしくご理解のほどお願い
申し上げます。

メンテ係り:井上永幸(島根大学)

Nagayuki Inoue <><>==
<> Shimane University, Japan==============


1 INET GATE 1998/04/28 14:17
題名:[lex] 辞書学ML一時復旧

Date: Tue, 28 Apr 1998 13:58:38 +0900 (JST)
From: Nagayuki Inoue <>
Reply-To:
To: Lexicographer Mailing List <>
Cc: Nagayuki Inoue <>

各位

辞書学ML一時復旧いたします。ご不便をおかけしました。

メンテ係:井上永幸(島根大学)

Nagayuki Inoue <><>==
<> Shimane University, Japan==============


4 INET GATE 1998/04/29 14:46
題名:[lex] 文法書をアップデートしました

Date: Wed, 29 Apr 1998 14:10:56 +0900
From: "Matumoto Yosihito" <>
Reply-To:
To: <>

佐賀の松本@MCSです。

初級者用英文法のページをアップデートしました。今月は時制を追加しました。複雑
な動きはありませんので、コンピュータにあまりなれていない1年生におすすめいた
だければ幸いです。もちろん非営利で、無料のホームページです。

メーリングリストでいただいたレスのうち、井上先生、加藤先生、村田先生、の分を
引用させていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

改善すべき項目等お気づきになりましたら、お手数ですがご教授よろしくお願いいた
します。

URL: http://www2.saganet.ne.jp/yosihito/
mailto:


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