【辞書学メーリングリストログ】 →ログメニューへ

1998年6月 (21日〜30日)


1 INET GATE 1998/06/21 21:15
題名:[lex] 中学生用の辞書 {1}

Date: Sun, 21 Jun 1998 20:49:04 +0900
From: Atsuhiro Kato <>
Reply-To:
To:

ずいぶん久しぶりに投稿します。

さて、私はアルバイトとして中学1年生の家庭教師を
しているのですが、1冊くらいは辞書を用意させたほ
うがいいと思いました。そこで、書店で何冊か手に
とって調べてみたのですが、どういう辞書がいいのか
よく分かりませんでした。

もちろん自分でも中をぱらぱらめくって読んでみまし
たが、どういう条件を満たしていれば良い辞書なのか
ということが分からないので、自信をもって「これが
いい!」ということが言えないのです。

どなたか、いい辞書の選び方や具体的な辞書の名前を
教えていただけないでしょうか。それと、英和と和英
のどちらにすればよいのか、あるいは両方にすべきな
のか、ということも合わせて教えていただきたいので
すが。

--------------------------------------------------------------------------------加藤豊裕(島根大学教育学部英語教育専修)
Atsuhiro Kato


2 INET GATE 1998/06/22 19:15
題名:[lex] ヴィスタ英和辞典の用例とその和訳

Date: Mon, 22 Jun 1998 18:58:59 +0900
From: kazuo kato <>
Reply-To:
To:

加藤@岩手医大です.

今回は用例の和訳です.何を「誤訳」というかは難しい問題ですが,ここでは
もし学生がそう訳したら多分誤訳と判断して訂正するだろうと思われるもので
す.調べたのは前回も書いたように50ページから50ページおきに1700ペー
ジまでで,計35ページです.

(4) a backhanded compliment (100)「遠まわしなほめことば」
COBUILD あたりの語釈を見ると「皮肉とも取れるお世辞」ということの
ようですが.

(5) This medication may blur your vision. (150)「こんな薬を使っていると
視力がだめになるおそれがありますよ.」
この発話は薬を投与する医者が患者に対して行ったものと考えるのがいい
ように思います.眼科の検査で使う散瞳薬を注射したりするときに使うこと
ばだとすれば,「この薬を使うと目がかすむことがあるかもしれない.」あ
たりではないでしょうか?涙で目がかすむときも blur を使うようです.

(6) You could have spared my blushes by not telling everyone! (150)
「何もみんなに言うことないのに,あんなにおだてられて困ってしまう
よ.」
これは「みんなに言いふらさなければ恥ずかしい思いをしないですんだの
に.」ということではありませんか?

(7) Dissension among the rank and file brought down the union leader-
ship. (400)「一般組合員の意見の相違のために組合の指導力が落ちてしま
った.」
これは Dissension among the rank and file of the labor union
forced a change in leadership. という Modern Guide to Synonyms and
Related Words (Funk & Wagnalls, 1968, s.v. "controversy")という例に
酷似しています.一般組合員が結束して執行部を支持しているときには
問題がないのが普通ですが,一般組合員の意見が割れて執行部が体勢維持
ができなくなったので,執行部が辞職するか交代するかしたということで
はないでしょうか?「指導力」の低下は即執行部交代ということにはなり
ません.

今日はここまででやめます.


3 INET GATE 1998/06/23 11:56
題名:[lex] 辞書研連絡 ID {1}の再登録を! 

Date: Tue, 23 Jun 1998 11:28:00 +0900
From: 村田 年 <>
Reply-To:
To:

1998年6月14日

JACET英語辞書研究会会員・準会員の皆様へ
JACET英語辞書研究会
URL: http://www.f.chiba-u.ac.jp/JACET-LEX.html

   AILA'99 Tokyo(国際応用言語学会世界大会)で研究発表を!

AILA'99 東京大会でぜひ研究発表をして下さい.この大会は世界65ヶ国
から2000名以上の参加が見込まれ,キーノート・スピーカーとしても第一級
の学者が30名も招待されています.1000件の発表が予定されています.

 次の要領をお読みの上,積極的に発表の申込みをされるようお願いします.

1.会期は1999年8月1日〜6日です.
2.参加登録費は1万円程度値下げされ,会員は 27,000円,学生は
 12,000円です.(1999年1月 31日までに支払った場合)(ここで「会員」
 というのは,JACET会員,世界大会協賛学会の会員,学長が特別顧問になっ
 ている大学の専任教員等を指します.ほとんど人は会員扱いです.)
3.発表の申込みは 1998年9月30日までに 300 words のアブストラクトを
 下記のホームページの書式に従って記入し,そのままメールで送って下さ
 い.FAX,郵送の場合で用紙が手元にない人は事務所に用紙を請求して下さ
 い.
   http://langue.hyper.chubu.ac.jp/jacet/AILA99
事務所:〒102-8646 東京都千代田区平川町 2-7-4 砂防会館別館
      (株)アイシーエス企画
       (担当:瀧澤課長) E-mail: ,
        FAX: 3-3263-7077   TEL: 3-3263-6474
  ◎1ヶ月以上早く申込みをするように心がけて下さい.
なお,参加の申し込みも同じホームページでできます.

4.発表の形式は個別の研究発表,ポスターセッション(壁に紙を貼りだし
 て説明する形式.説明・質疑に長い時間が許される点が特徴),シンポジ
 ウムがあります.各自自分たちでグループを作ってシンポジウムの申込み
 ができます.
  この辞書研はここでの発表を促進するために作ったものです.ぜひアプ
 ライして下さい.
5.辞書研としても別にシンポジウムとポスターセッションの申込みをしま
 す.シンポジウムはまだメンバー等が決まっていません.
  ポスターセッションは西村公正氏(関西外国語大学短大部)が世話役を
 引き受けて下さいました.「辞書とユーザー;辞書指導」をテーマに組み
 立てる計画です.興味のある方はご連絡下さい.

 ◎個人で,グループでよいテーマを考えて,ぜひアプライして下さい.

      問い合わせ先:村 田  年
             
             FAX: 043-290-3747
             〒273-0865 船橋市夏見4ー9ー5


2 INET GATE 1998/06/23 12:07
題名:[lex] 辞書研 IDの {1}再登録を!

Date: Tue, 23 Jun 1998 11:55:00 +0900
From: 村田 年 <>
Reply-To:
To:

直前に送ったメールのタイトルと内容が違っていて失礼しました.
(メールの内容はお送りしたかったものです.)(村田)

       1998年6月23日
JACET英語辞書研究会
会員・準会員の皆様へ
JACET英語辞書研究会
URL: http://www.f.chiba-u.ac.jp/JACET-LEX.html

    辞書研連絡用アドレスの再登録をお願いします

 JACET英語辞書研究会の連絡用同報メールを作り直すことに致します.今後
とも連絡を必要とする方は改めて E-mail ID を下記の村田宛にご連絡下さい.
7月16日以降は新たな同報メールにてお送り致します.(7月15日までは
旧同報メールにて送らせていただきます.)

 今現在は辞書研を創りましたときとは相当に状況が変わっております.井上
永幸先生の辞書研究のML(メーリングリスト)にお入りの方は原則としてこ
ちらへの登録は必要ありません.すべての連絡は井上先生のMLに掲載させてい
ただきますので.また,私どもの辞書研の URL(ホームページ・上記)をとき
どき見ていただければ,それで十分です.

 以上をご理解の上,再登録をお願い致します.

          連絡先:村 田  年
              


1 INET GATE 1998/06/23 16:29
題名:[lex] ヴィスタ英和辞典の用例とその和訳

Date: Tue, 23 Jun 1998 16:12:38 +0900
From: kazuo kato <>
Reply-To:
To:

加藤@岩手医大です.

3回目です.無作為に選んだヴィスタ英和辞典35ページの用例とその和訳を検討
しています.(カッコ内の数字はページを表します.)

(8) The singer made it to the top with talent and good management.
(849-50)「その歌手は才能とすぐれた手腕によって大成功を収めた.」
この good management はその歌手の事務所の売り込みの手腕であっ
て,
歌手本人の手腕とはちがうのではありませんか?

(9) When I did a naughty thing, my parents gave me a nip on the cheek.
(950)「私がひどいことをすると,うちの親たちは私のほほをつねっ
た.」
a naughty thing は「(軽い)いたずら」ではないでしょうか?

(10)The boy made a sad mistake.(1250)「その少年はひどいまちがいをし
た.」
sad は「ひどい」でしょうか? sad mistake の用例を見るとどうもそ
うは思えないのですが.

(11)Bill tried to repair the damage he did to his friend's car. (1200)
「ビルは友だちの車に与えた損害を補償しようとした.」
これはビルが自分で修理しようとした,ということではありませんか?

(12)Your car is in good repair. Which garage did you take it to?(1200)
「君の車は修理がゆきとどいているね.どこの修理屋へ持って行ったんだ
い.」
to be in good repair は成句で to be in good condition の意味では
ないでしょうか?また,後半は 「メンテナンス」のことで,直接の修理
ではないように思いますが.

(13) swallow hard (1450)「のどをごくりとさせる」
「生つばを飲み込む」ではだめでしょうか?この訳のほうが swallow
の基本語義を生かせると思うのですが.

(14)This sweater is good value at $20.00. (1600)
「このセーターは20ドル払うだけのことはありますよ(20ドルに見合う十
分な価値のものだ)」
これは「20ドルでも高すぎない」ということではなく,good value と
言っているのですから「20ドルなら買い得だ」ということのような気が
するのですが,いかがでしょうか?

(15) Mercury is a mobile metal. (900)「水銀は動きやすい金属だ.」
水銀は常温では液体であるということをわざわざこう表現しなくても
いいような気がします.たしかに World Book Dictionary にはこれと
同じ例文がありますが,この場合の mobile は tending to be natural-
ly fluid の意味だと書いています.
この mobile という語の基本義を明らかにするような例文はほかにも
沢山あるような気がします.mobile metal というコロケーションは
OED2 on CD-ROM にも見当たりませんが,そのようなまれな例文を学習
英和辞典の例文にする理由が私にはわかりません.


1 INET GATE 1998/06/24 11:14
題名:[lex] 学会案内 {1}

Date: Wed, 24 Jun 1998 09:23:45 +0900
From: 赤野 一郎 <>
Reply-To:
To:

赤野@京都外大です。以下のような学会が開かれます。

__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/
     第30回白馬夏期言語学会要項
    __/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/

              主催:名古屋言語研究会・中部応用言語学研究会
              後援:長野県北安曇郡白馬村

日 時:1998年8月20日(木)〜8月23日(日)
会 場:長野県北安曇都白馬村 多目的研修集会施設
┌──┬───────┬───────┬───────┬─────┐
│  │  8月20日  |  8月21日  |  8月22日  | 8月23日│
├──┼───────┼───────┼───────┼─────┤
│午前| 言語研究入門 |シンポジウム2|シンポジウム3| 記念講演 │
├──┼───────┼───────┼───────┼─────┤
│午後|シンポジウム1|  特別講演  |  研究発表  |     │
├──┼───────┼───────┼───────┼─────┤
│ 夜 |言語学ラウンジ|言語学ラウンジ| 記念交歓会 |     │
└──┴───────┴───────┴───────┴─────┘
(午前:9時〜12時 午後:13時〜16時 夜:19時〜)

◎言語研究入門:(8月20日午前)
 「言語研究の多様性」「ことばと歴史」     大森裕實(愛知県立大学)
           「ことばの意味」     山田伸明(中部大学)
           「ことばと社会」     吉川 寛(中部大学)

◎シンポジウム(1):(8月20日午後)
 「心理言語学と外国語教育」          伊穫克敏(神奈川大学)
                        井狩幸男(大坂市立大学)
                        寺内正典(明の星女子短大)
◎シンポジウム(2):(8月21日午前)
 「コーバス言語学の方法と実践−コンピュータで
     できること、すべきこと、できないこと」赤野一郎(京都外国語大学)
                        内田充実(大阪大学大学院)
                        田畑智司(大坂大学)
◎特別講演:(8月21日午後)
「立場のある学問、ない学問」     鈴木孝夫先生(慶鷹義塾大学名誉教授)

◎シンポジウム(3)=(8月22日午前)
 「GB理論からミニマリストアプローチへの架け橋」小野隆啓(京都外国語大学)
                        近藤 真(静岡大学)
                        槙田裕加(名古屋大学大学院)
◎研究発蚕:(8月22日午後)発表者募集中

◎記念講演:(8月23日午前)
「第2言語習得研究の多様性について」       田中春美(南山大学)

※ 8月22日の午後に予定しています研究発表の発表者を基集しています。希望の
  方は事務局までご連絡下さい。
※ 言語学ラウンジは、講師の先生方や参加者の方々が、気軽に話し合える交流
と親睦の場です。

費用:参加費:全日程参加              8,000円
       言語研究入門、入門講座1、入門講座2、
       講座1、講座2、特別講演       各1,500円
       研究発表  他と組み合わせる場合    無料
       研究発表だけ参加の場合        1,500円
   宿泊費:1泊3食付(現地納入)         4,300円
申込方法:(1)ハガキかFaxかe‐mailで氏名、年齢、住所、勤務先または
        在学校名を御連絡下さい。
     (2)参加費の半額(例えば、全日程参加の場合は、参加費8,000円
        の半額の4,000円)を事務局まで御送金下さい。尚、申し込ん
        で不参加の場合は、原則として返金致しませんので御了承下さ
        い。送金方法は何でも結構ですが、下記の郵便振替を利用して
        いただいても結構です。

       口座番号:00850-6-43748

       振替加入者名:名古屋言語研究会

申込先:〒463-0032 名古屋市守山区白山1‐1004 吉川 寛方
          第30回白馬夏季言語学会事務局

          電話/FAX: 052‐774‐3677
          E-mail:

締 切:1998年8月14日

※ 御不明な点は事務局までお問い合わせ下さい。

                 以 上

__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/
AKANO, Ichiro
Kyoto University of Foreign Studies
TEL: 075-322-6103
E-MAIL:
NIFTY SERVE:
__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/


1 INET GATE 1998/06/24 16:53
題名:[lex] "to stop enabling" {2}

Date: Wed, 24 Jun 1998 16:27:17 +0900
From: kazuo kato <>
Reply-To:
To:

加藤@岩手医大です.
>
> The International Herald Tribune (May 28, 1998) の "Doonesbury" という
> 連載漫画に次のようなやり取りがありました.
>
> Father: "Did I say a mere $5 million?"
> Son: "You did. But you meant twice that, didn't you, Dad?"
> Mother: "Earl! Stop enabling!"
>
> 私にとってはこの enabling は初耳ならぬ「初目」でしたので,AltaVista で
> 調べてみると Parenting や Drug and Alcohol の sites に次のような定義や
> 用例が見つかりました:
>
> (1) ENABLING: Any action that allows and encourages chilren to be
> irresponsible/prevents children from learning how to function
> effectively in the real world
>
> この用法いつ頃からのものなのでしょうか?

自分で返事を書くのも妙な話ですが,The International Herald Tribune
(June 22, 1998, p. 9) の William Safire の "Language" という今週のコラ
ムが "Empowering Is Out, Enabling Is In" で,それによるとこの用法は1960
年代の Alcoholic Anonymous の文献に最初に出ているということでした.


10 INET GATE 1998/06/25 11:24
題名:[lex] 不定詞の主語 {1}

Date: Thu, 25 Jun 1998 11:00:41 +0900
From: "Matumoto Yosihito" <>
Reply-To:
To: <>

佐賀の松本@MCSです。

中学校の教科書(NEW HORIZON)P22 の説明に基づいて作られた教材に、

I'll tell you where to meet him. 「私はあなたに彼にどこで会えばよいか教えま
しょう」

という表現がありました。このコロケーション(単文での出題です)で、
本当に "meet" の主語が "you" に成りうるのでしょうか。

またこの表現は、関係代名詞、"who, which" を教える3ヶ月も前に登場します。私
にはこちらの表現の方が難しいように感じるのですが・・・。

加藤先生がお示しになった
>(11)Bill tried to repair the damage he did to his friend's car. (1200)
> 「ビルは友だちの車に与えた損害を補償しようとした.」
> これはビルが自分で修理しようとした,ということではありませんか?

を見て、少し意を強くし、投稿してみました。


4 INET GATE 1998/06/25 15:34
題名:[lex] 英文用例とネイティブチェック {1}

Date: Thu, 25 Jun 1998 15:14:19 +0900
From: Takashi Oe <>
Reply-To:
To:

加藤先生

ご提示のあった英文のいくつかについて、
ネイティブ・スピーカーに尋ねてみました。
もっとも、私のつたない英語力のせいで、
とんちんかんな話になっているかもしれませんが、
その場合は、どうかお許しください。

なお、辞書の見出し語としての例文の妥当性といったことではなく、
(私の手もとには当該辞書がありません。 m(_ _)m)
とりあえず、英文と和訳との関連について注目しています。

加藤先生 wrote:

> 1回目は用例の適切さ,または,ネイテイヴチェックについての疑問です.

> (1) Airplanes are in control of the control tower.(300) 「飛行機は管制
> 塔に管理されている.」
> この日本語の意味なら under the control of というような気がしま
> すが,いかがでしょうか?

ネイティブたち(←安易な言い方ですいません)も加藤先生と同意見です。
加えて、
「in the control of ならいちおう under the control of と似た意味には
なるが、自分はそういう言い方はしない」
というのが、平均的な反応です。

ただ、ふだん英文校正を依頼していないアメリカ人男性に
いきなり(1)の英文を見せて、「どう思うか」と尋ねると、
「文法的に間違ってはいないし、特殊な緊急時にはありうる状況だろう」
との返事が返ってきました。

> (2) The police found an immensity of drugs hidden in the
> building.(700)
> 「警察は建物の中に大量の麻薬がかくされているのを発見した」
> 私は an immensity of drugs というコロケーションに異常なものを感
> じるのですが,私の思い過ごしでしょうか?

「大量の(麻薬)」という点に注目するなら、
a large quantity of、 a great amount of、an enormous amount of、
a large amount of、a huge amount of、
あるいは a lot of などが妥当ではないか、というのが
ネイティブ・スピーカーたちの意見です。
ちなみに、形容詞としての immense ならともかく、
「immensity を用いた「日常的な」例文はあまり思い浮かばない」
ともコメントしていました。その語義からして、
「日常的な」スケールを超えたものでしょうから、
当然かもしれませんね。

> (3) No one didn't pass the exam. (950) 「試験に落ちた人はひとりもいな
> かった.」
> この日本語の意味でなら No one failed the exam. というのが普通の
> ような気がしますが,いかがでしょうか?それとも,これは No one
> passed the exam. の(「非標準」とされる)「二重否定」なのでしょう
> か?最初にこの例文を見たときには後者のように読んだのですが,まさか
> 学習英和辞典の用例に「二重否定」はないだろうと思い直しました.

この英文を見たあるアメリカ人の第一声は、
「"No one passed the exam." (の間違いだろう)」
でした。いやいや、文字どおりの意味なんだよ、と言うと、
「だったら、自分なら "No one failed the exam." と言う」
との答え。ただし、
「何かの質問に対する答えとしてはありうる形かもしれない」
とのコメントが返ってきました。別のアメリカ人校正者も同意見でした。

               * * *

一般的に、例文を作る際には、読み手が特別な状況を想定しなくてもすむ、
それだけで完結した文章が望ましいと思いますが、そういう意図で作られた
英文のチェックを「ネイティブスピーカー」に頼む際は、チェックするレベル
についてもきちんと伝えておかないといけないのだということを今さらながら
改めて感じました。

--

大江 孝 <>
株式会社アルク 英語企画開発部


2 INET GATE 1998/06/25 19:11
題名:[lex] 英文用例とネイティブチェック {1}{1

Date: Thu, 25 Jun 1998 18:49:51 +0900
From: kazuo kato <>
Reply-To:
To:

大江 孝様:

加藤@岩手医大です.コメントどうもありがとうございました.
>
> > (3) No one didn't pass the exam. (950) 「試験に落ちた人はひとりもいな
> > かった.」
> > この日本語の意味でなら No one failed the exam. というのが普通の
> > ような気がしますが,いかがでしょうか?それとも,これは No one
> > passed the exam. の(「非標準」とされる)「二重否定」なのでしょう
> > か?最初にこの例文を見たときには後者のように読んだのですが,まさか
> > 学習英和辞典の用例に「二重否定」はないだろうと思い直しました.
>
> この英文を見たあるアメリカ人の第一声は、
> 「"No one passed the exam." (の間違いだろ、)」
> でした。いやいや、文字どおりの意味なんだよ、と言うと、
> 「だったら、自分なら "No one failed the exam." と言う」
> との答え。ただし、
> 「何かの質問に対する答えとしてはありうる形かもしれない」
> とのコメントが返ってきました。別のアメリカ人校正者も同意見でした。
>
たしかに次のようなやり取りでなら可能かもしれません:

A: I hear John didn't pass the exam.
B: No, no one didn't pass the exam.

しかし,文法の否定現象に関する論文の例文としてならともかく,孤立した,
辞書の例文としては(3)のような文はやはり問題なような気がします.


9 INET GATE 1998/06/26 15:56
題名:[lex] 英文用例とネイティブチェック {1}{1

Date: Fri, 26 Jun 1998 15:36:01 +0900
From: kazuo kato <>
Reply-To:
To:

加藤@岩手医大です.

> たしかに次のようなやり取りでなら可能かもしれません:
>
> A: I hear John didn't pass the exam.
> B: No, no one didn't pass the exam.
>
「マッチポンプ」ではないかと言われそうですが,用例カードを探したら,上
の例と似ていなくもない用例が出てきました:

'He should be in there,' Ollie said, frowning.
'It's five o'clock in the morning. Nobody's not in bed at five in
the morning.'
'Except me,' Carella said. (Ed McBain, BREAD)

Nobody's not in bed at five in the morning. は Everybody is in bed at
five in the morning. より強意的で,多分特別な抑揚を伴うような気がしま
す.


8 INET GATE 1998/06/26 16:26
題名:[lex] 不定詞の主語 {2}

Date: Fri, 26 Jun 1998 16:17:41 +0900
From: kazuo kato <>
Reply-To:
To:

松本先生:

加藤@岩手医大です.

中学校の教科書(NEW HORIZON)P22 の説明に基づいて作られた教材に、
>
> I'll tell you where to meet him. 「私はあなたに彼にどこで会えばよいか教えま
> しょう」
>
> という表現がありました。このコロケーション(単文での出題です)で、
> 本当に "meet" の主語が "you" に成りうるのでしょうか。
>
where to meet him 自体は無主語ですから,これだけではだれが彼に会うのか
わからないと思います.しかし,I'll tell you と言っているのですから,常
識的な読みとしては彼に会うのは "you" だということになると思います.
ひょっとして,松本先生は where to meet him が where I meet him とか
where we meet him の意味になる可能性があるのではないかとお考えなのかも
しれませんが,それは無理ではないでしょうか.
Tell me where to meet him. なら彼に会うのは "me" ですし,Tell her
where to meet him. なら会うのは "her" だというのが,普通だと思います.

> またこの表現は、関係代名詞、"who, which" を教える3ヶ月も前に登場します。私
> にはこちらの表現の方が難しいように感じるのですが・・・。
>
where to meet him という表現を関係節の縮約形と考えるのはちょっと無理で,
これは「疑問詞 + to 不定詞」と考えるべきものではないかと思います.そう
考えれば,この形が関係代名詞の前に登場してもおかしくないということにな
りそうです.

以上,回答になったかどうか自信がありませんが,とりあえず...


4 INET GATE 1998/06/27 02:08
題名:[lex] New Book {1}

Date: Fri, 26 Jun 1998 17:46:50 +0100
From: "Hiroshi Shoji" <>
Reply-To:
To: "lex" <>

東海林@バーミンガムです。

直接辞書を論じた本ではないのですが、コンピュータによるコーパス処理に関し
て興味のある方で英文の入門書を探していらっしゃる方には役立つかもしれませ
んので御紹介します。

Lawler, J & Dry, H A (ed.) (1998) Using Computers in Linguistics:
A Practical Guide, London, Routledge

8章から成り、'Ordinary Working Linguist'対象と謳っている通り、コン
ピュータと言語学との関わりの基礎的な部分を様々な角度から説明しています。
このMLに参加している方々には第4章'Textual databases'が特に参考になる
と思われます。
Web上にも本書の情報がありますので興味のある方は御覧下さい:

http://www.routledge.com/routledge/linguistics/using-comp.html

Hiroshi Shoji
Visiting Research Fellow
CARE, University of Birmingham
(English)
(Japanese)


2 INET GATE 1998/06/27 10:10
題名:[lex] 不定詞の主語 {3}

Date: Sat, 27 Jun 1998 09:58:41 +0900
From: kazuo kato <>
Reply-To:
To:

松本先生:

加藤@岩手医大です.前回の説明にはことばの足りないところがありました.

> I'll tell you where to meet him. 「私はあなたに彼にどこで会えばよいか教えま
> > しょう」
> >
> > という表現がありました。このコロケーション(単文での出題です)で、
> > 本当に "meet" の主語が "you" に成りうるのでしょうか。

I'll tell you where to meet him. のような "N(1) + V + N(2) + wh- to
infinitive" という文型で用いられる動詞には tell のほかに show, teach,
ask があり,更には advise, explain, inform, persuade, remind, write
などがあります.ただし,explain の場合は N(2) に to がつき,He explained
to me how to behave. のようになります.

この型の動詞ではほとんど全て tell の場合と同様 N(2) が wh- to
infinitive の主語であるという読みになるようですが,ask の場合は事情が異
なります.たとえば:

I'll ask her where to meet him は I'll ask her where I should meet
him の意味であって, I'll ask her where she should meet him の意味では
ありません.この場合は この文の主語 N(1) が where to meet him の主語と
いうことになります.

前回書いたときには I'll ask her where to meet him のような場合は考え
ておりませんでした.

受動態の文のことも考えると事情はもっと複雑になるようです.たとえば,
I was told where to meet him では where to meet him の主語は "I" です
が,
I was asked where to meet him では where to meet him の主語は私にその質
問をした人でしょう.しかし,この人の正体は文脈を考慮に入れないと決定でき
ません.


1 INET GATE 1998/06/28 14:31
題名:[lex] 英文用例とネイティブチェック {1}

Date: Sun, 28 Jun 1998 14:07:40 +0900
From: Takashi Oe <>
Reply-To:
To:

自己メール「英文用例とネイティブチェック {1} 」への付け足しです。

> 加藤先生 wrote:
>
> > (1) Airplanes are in control of the control tower.(300) 「飛行機は管制
> > 塔に管理されている.」
> > この日本語の意味なら under the control of というような気がしま
> > すが,いかがでしょうか?
>
> ネイティブたち(←安易な言い方ですいません)も加藤先生と同意見です。
> 加えて、
> 「in the control of ならいちおう under the control of と似た意味には
> なるが、自分はそういう言い方はしない」
> というのが、平均的な反応です。

in the control of と under the cotrol of が「相互に交換可能」でないとすれば、
どうちがうのか、と[ひとりの]アメリカ人に尋ねたところ、
「たとえば、カルト教団のメンバーたちが教祖のマインドコントロールを受けている
ような場合なら in the control of を使うだろう」
という答えが返ってきました。

こういうあたりは、ひとりのアメリカ人の限られた言語体験に依存するのではなく、
コーパスデータなどを活用することで客観的な検証が可能なのでしょうね。

              * * *

ところで、
用例文の出典を拝見すると、
加藤先生は、Ed McBain も読んでらっしゃるのですね。

大昔の大学生時代に、
クリスティやガードナーのミステリなどから用例を収集した
『電話の英語』(山田和男/永井みち子共著:文建書房)に刺激を受け、
自分なりに英語表現カードを作ろうと試みたことが1度だけあります。
でも、根性がないもので、早々にギブアップしてしまいました。

結局、Gardner のペリー・メイソンものについては、

1 裁判官を含め、いろいろな登場人物が "I wasn't born yesterday." を連発する。
2 「(ポケットなどから銃や書類を)取り出す」という意味の produce が多用される

という、漠然とした印象しか残っていません。
頑張っていれば、現在多少なりとも役立つデータが手もとに残っていただろうに、
と思うと残念です。(^^;

--

大江 孝 <>
株式会社アルク 英語企画開発部


2 INET GATE 1998/06/29 16:38
題名:[lex] RE: [lex] 不定詞の主語 {4} {1}

Date: Mon, 29 Jun 1998 13:53:22 +0900
From: "Matumoto Yosihito" <>
Reply-To:
To: <>

加藤先生、ご教授ありがとうございます。佐賀の松本@MCSです。

> I'll tell you where to meet him. のような "N(1) + V + N(2) + wh- to
>infinitive" という文型で用いられる動詞には tell のほかに show, teach,
>ask があり,更には advise, explain, inform, persuade, remind, write
>などがあります.ただし,explain の場合は N(2) に to がつき,He explained
>to me how to behave. のようになります.

中略

> 前回書いたときには I'll ask her where to meet him のような場合は考え
>ておりませんでした.
>
> 受動態の文のことも考えると事情はもっと複雑になるようです.たとえば,
>I was told where to meet him では where to meet him の主語は "I" です
>が,
>I was asked where to meet him では where to meet him の主語は私にその質
>問をした人でしょう.しかし,この人の正体は文脈を考慮に入れないと決定でき
>ません.

加藤先生の用例のおかげで、生徒たちにわかるような形で説明ができそうです。いつ
もながら、思い立ったらすぐメール、で、メールを出してしまってから、抽象的な質
問であったことを反省しております。先生方にはいつも意図を汲んでいただき、感謝
しております。

これからもよろしくお願い申しあげます。


1 INET GATE 1998/06/29 16:39
題名:[lex] RE: [lex] 不定詞の主語 {3} {1}

Date: Mon, 29 Jun 1998 15:35:22 +0900
From: "Matumoto Yosihito" <>
Reply-To:
To: <>

村田先生、先日はご教授ありがとうございました。佐賀の松本です。

先日アップしましたメールは、

「〜に−を示す」という意味で、「−を」には「howなど+to+動詞の原形」がきま
す。

という教科書の記述から練習問題、
「私はあなたに彼にどこで会えばよいか教えましょう。」
"I'll tell you where to meet him."
へと続いたので、生徒たちは「パズル」を始めるのではないかと危惧して書きまし
た。

気になったことを3クラス(中学生1クラス、高校生2クラス)で、調査した結果を
示します。

中学生1(5人):ワークをそのまま見せて、"meet" の「主語」は何か、と聞きま
した。全員が "you" と答え、その理由は、「日本語の訳がそうなっているから」
で、全員一致しました。

高校生1(4人):先に日本語を示してそれから、英文を見せ、同じ質問をしまし
た。3人が "you" 1人が "I" と答えました。 "I" と答えたのは、英語(を含む語
学)があまり得意でない生徒でした。 "you" と答えたうち、2人は「日本語の訳が
そうなっているから」でした。

高校生2(5人):先に英文を見せ、文の構造について述べました。自由に討論した
ところ、「"where" の品詞は考えたことがなかった」「"where" は、’どこに’とい
う日本語に対応する単語だと思っていた(やはりパズル化していたようです)」と
いった意見を聞くことができました。

確かに、’「〜に−を示す」という意味で、「−を」には「howなど+to+動詞の原
形」がきます。’という説明はよく考えられていると思いますし、覚えやすい工夫に
あふれています。全面的に否定すべきではないと思いますが、英語のおもしろさ、と
いった観点からすると、欠けた面があるような気がします。

関係代名詞も、「名詞の後の主語動詞」、つまり目的格関係代名詞の省略が先にでて
きます。語数が少ない方が簡単である、といった観点からだとは思いますが、中学校
の先生方との話の中でも、「教えにくさ」をあげられる先生が多いようです。それは
辞書を引かなくても、教科書の注記に巻末の日本語(訳語)を当てはめるだけで、そ
れなりの答えがでるような所にあると思っています。さきほど私が「パズル」と言っ
た部分です。

ただ今回は、村田先生、加藤先生ご指摘の通り、私の本動詞に対する注意の払方が足
りませんでした。そこに注意してもう一度生徒たちに説明してみます。


2 INET GATE 1998/06/29 21:36
題名:[lex] 白馬夏期言語学会(訂正) {1}

Date: Mon, 29 Jun 1998 21:16:58 +0900
From: 赤野 一郎 <>
Reply-To:
To:

 要綱に間違いがありましたので以下のように訂正致します。よろしく
お願い致します。

*******************************
 費用:参加費:全日程参加              8,000円
        言語研究入門、入門講座1、入門講座2、
        講座1、講座2、特別講演       各1,500円
        研究発表  他と組み合わせる場合    無料
        研究発表だけ参加の場合        1,500円
             I
             I
             V
 費用:参加費:全日程参加              8,000円
        言語研究入門、シンポジウム1、シンポジウム2、
        シンポジウム3、記念講演、特別講演  各1,500円
        研究発表  他と組み合わせる場合    無料
        研究発表だけ参加の場合        1,500円
*******************************

__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/
AKANO, Ichiro
Kyoto University of Foreign Studies
TEL: 075-322-6103
E-MAIL:
NIFTY SERVE:
__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/


5 INET GATE 1998/06/30 07:41
題名:[lex] 白馬夏期言語学会(訂正) {1}{1}

Date: Tue, 30 Jun 1998 01:21:00 +0900
From: 村田 年 <>
Reply-To:
To:

赤 野 一 郎 先生

村田 年です.
しかし,この白馬夏期言語学会は,中身,すなわちタイトル,講師の極めて
魅力的な点に加えて,なんと参加費の安いことでしょう.宿泊費もこんな額
でいいのでしょうか.

私も日が空けばぜひ参加したいのですが,JACET,AILA の仕事がぎっしり
詰まっていて,無理かなーと考えています.このような会に出席すれば若
返るのに!


1 INET GATE 1998/06/30 08:09
題名:[lex] 不定詞の主語 {1}

Date: Tue, 30 Jun 1998 01:21:00 +0900
From: 村田 年 <>
Reply-To:
To:

題名:[lex] RE: [lex] 不定詞の主語 {3} {1}

中学生1(5人):ワークをそのまま見せて、"meet" の「主語」は何か、と聞きま
した。全員が "you" と答え、その理由は、「日本語の訳がそうなっているから」
で、全員一致しました。

高校生1(4人):先に日本語を示してそれから、英文を見せ、同じ質問をしまし
た。3人が "you" 1人が "I" と答えました。 "I" と答えたのは、英語(を含む語
学)があまり得意でない生徒でした。 "you" と答えたうち、2人は「日本語の訳が
そうなっているから」でした。

  (村田)meet の主語は構造上決まるのではなく,意味から決まってし
   まうのですから,日本語の訳から考えてもいいのではないでしょう
   か.このようなことを問題にする方がおかしいのではないかと私は
   思わざるをえませんがいかがでしょうか.
    さらに言えば,不定詞の主語は必ず特定できると考えるのはおか
   しいでしょう.where to meet him は「どこへ行ったら彼に会える
   か」ということで誰が行ってもそこへ行けば彼に会えるのです.す
   なわち,厳密には不定詞の主語はこの場合特定されていないわけで
   す.それがコンテキストの意味によって主語の位置の(代)名詞や
   目的語の位置の(代)名詞が不定詞の主語と理解されることがある
   わけです.

高校生2(5人):先に英文を見せ、文の構造について述べました。自由に討論した
ところ、「"where" の品詞は考えたことがなかった」「"where" は、’どこに’とい
う日本語に対応する単語だと思っていた(やはりパズル化していたようです)」と
いった意見を聞くことができました。

確かに、’「〜に−を示す」という意味で、「−を」には「howなど+to+動詞の原
形」がきます。’という説明はよく考えられていると思いますし、覚えやすい工夫に
あふれています。全面的に否定すべきではないと思いますが、英語のおもしろさ、と
いった観点からすると、欠けた面があるような気がします。

関係代名詞も、「名詞の後の主語動詞」、つまり目的格関係代名詞の省略が先にでて
きます。語数が少ない方が簡単である、といった観点からだとは思いますが、中学校
の先生方との話の中でも、「教えにくさ」をあげられる先生が多いようです。それは

  (村田)「どこに」「どこへ」に対応することがわかれば品詞など
   いいのではないでしょうか.それよりこんなところに関係代名詞
   などを持ってくる方がよほど話をむずかしくして,わかりにくく
   しているのではないでしょうか.これは疑問詞であって関係代名
   詞ではないのですから.

辞書を引かなくても、教科書の注記に巻末の日本語(訳語)を当てはめるだけで、そ
れなりの答えがでるような所にあると思っています。さきほど私が「パズル」と言っ
た部分です。

ただ今回は、村田先生、加藤先生ご指摘の通り、私の本動詞に対する注意の払方が足
りませんでした。そこに注意してもう一度生徒たちに説明してみます。

 (村田)ここのところはちょっと違うかも知れませんね.加藤先生が
  ask の場合をあげられたので,「本動詞に対する注意の払方が足りな
  かった」と松本先生はおっしゃっているのだと思いますが,私の立場
  は少し違います.このような構造はそのまま教えればいいのであって,
  分析的に教える必要はないとの立場です.生徒が意味がきちんと取れ
  るようになれば,ask に対しても間違いなく意味は取れるわけです.
  常識を働かせて.私が常に学生に行っていることは「20年生きてき
  た常識を働かせろ」です.これは作文にはあまり効き目はないのですが.
   それを松本先生のような勉強家の先生がことさら難しく,ひねって
  説明するので,生徒はかえってわからなくなる.where to meet him
  を「彼に会えるところの場所」だから関係詞とも取れるなどと説明さ
  れては,くわばら,くわばらです.私は文法はあまり好きではありま
  せんので,分析はほどほどにと常に言いたいです(教える場合は).
  先生の研究や趣味でやっているぶんにはかまいません.


1 INET GATE 1998/06/30 09:07
題名:[lex] {1}白馬夏期言語学会(訂正) {1} {

Date: Tue, 30 Jun 1998 08:46:48 +0900
From: 赤野 一郎 <>
Reply-To:
To:

村田先生

> しかし,この白馬夏期言語学会は,中身,すなわちタイトル,講師の極めて
> 魅力的な点に加えて,なんと参加費の安いことでしょう.宿泊費もこんな額
> でいいのでしょうか.

お褒めにあずかり、ありがとうございます。私はこの学会に20年以上関わって
いますが、良心的な料金なので、言語学に関心のある学生さんと先生が全国から
参加されています。言語学に興味をお持ちの方にお知らせいただければ幸いです。
案内用の印刷物も用意しております。お入り用でしたら送らせていただきます。

__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/
AKANO, Ichiro
Kyoto University of Foreign Studies
TEL: 075-322-6103
E-MAIL:
NIFTY SERVE:
__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/


1 INET GATE 1998/06/30 09:52
題名:[lex] 不定詞の主語 {2}

Date: Tue, 30 Jun 1998 09:41:29 +0900
From: kazuo kato <>
Reply-To:
To:

村田先生;松本先生:

加藤@岩手医大です.

村田 年 wrote:

>   where to meet him
>   を「彼に会えるところの場所」だから関係詞とも取れるなどと説明さ
>   れては,くわばら,くわばらです.私は文法はあまり好きではありま
>   せんので,分析はほどほどにと常に言いたいです(教える場合は).
>   先生の研究や趣味でやっているぶんにはかまいません.

私も英語の教授と研究は区別すべきものと思います.私自身は文法も意味論も
きらいではありませんが,学生から質問されても相手の学力に応じて回答する
ように努力しています.
時々学生の質問には本人に全くその意識がなくても文法の研究者にとっては
非常に興味深い問題があることがあります.しかし,それについてこちらが持
っている知識や情報を全部提示したのでは学生にとっては「ありがた迷惑」で
しかありません.
今回問題になった構文については,古めかしいと言われるかもしれませんが
私なら,文型練習や和文英訳をたくさんやって,「どこへ行けばいいか教えて
ください」「どうすればいいか教えてあげましょう」「だれに聞けばいいかわ
かりません」のような英文を作らせます.学習者に必要なのはそのような英文
を作り出せる学力なのでないでしょうか.
私がここに書いたことはあくまで教師の教材研究のつもりであり,学習者に
直接提示すべき情報とは考えておりませんでした.


1 INET GATE 1998/06/30 10:15
題名:[lex] 白馬夏季言語 {1}学会

Date: Tue, 30 Jun 1998 10:15:44 +0900
From: Masaaki KAMIYA <>
Reply-To:
To:
Cc:

 神谷@豊田高専です。はじめて書き込みます。
僕は14,5年前まで、中部大学の吉川先生と一緒に
白馬夏季言語学会の事務局の仕事をしていました。
講師の先生と参加者が寝食を共にする学会です。
いろいろな刺激を受けることができるすばらしい学会です。
この学会で言語学に目覚め、大学院へ進み、大学の教員になった人も
かなりいます。(僕もそうですが、、、)今回の講師の多くの先生方
もそうだと思います。個人的なことで恐縮ですが、20年前、学部学生
のころ椙山女学園大の柴田先生の紹介ではじめて参加しました。
そのときの講師は赤野先生、神田和幸先生(中京大)、本名信行先生
(青山学院)等でした。白馬がきっかけとなり、今の語法研究や手話の
研究があるようなものです。
 一人でも多くの学部学生や院生が参加されることを期待しています。

> > しかし,この白馬夏期言語学会は,中身,すなわちタイトル,講師の極めて
> > 魅力的な点に加えて,なんと参加費の安いことでしょう.宿泊費もこんな額
> > でいいのでしょうか.(村田先生)
>
> お褒めにあずかり、ありがとうございます。私はこの学会に20年以上関わって
> いますが、良心的な料金なので、言語学に関心のある学生さんと先生が全国から
> 参加されています。言語学に興味をお持ちの方にお知らせいただければ幸いです。
> 案内用の印刷物も用意しております。お入り用でしたら送らせていただきます。
> (赤野先生) 
>

============================================================
国立豊田工業高等専門学校(豊田高専) 一般学科 神谷昌明    
〒471-8525  愛知県豊田市栄生町2丁目1番地
      TEL: (0565) 35-4233 (研究室直通)
      E-mail:   
============================================================


3 INET GATE 1998/06/30 13:14
題名:[lex] 不定詞の主語 {3}

Date: Tue, 30 Jun 1998 12:58:28 +0900
From: Minoru MURATA <>
Reply-To:
To:

加藤和男先生

村田 年です.

kazuo kato <> さんは書きました:

> 私も英語の教授と研究は区別すべきものと思います.私自身は文法も意味論も
> きらいではありませんが,学生から質問されても相手の学力に応じて回答する
> ように努力しています.

 加藤先生のお立場は以前よりよく理解しておるつもりです.
 今回は昔から大変に親しくしております松本先生に申し上げたわけです.
(松本先生の語法は私と同じでたいへんに教育的なので.)ある学会でお会い
して述べたことをメールに載せられたので,少しくどく申し上げておいた方が
いいかな,と思った次第です.

 日本英語表現学会で多数の方々からMLを楽しく読んでいると伺いました.
加藤先生のお説を黙って熟読されている人は多いですね.とにかく「うん」とか
「すん」とか書き込んで下さいよ,と頼みましたが,最初のメールがなかなか腰
が重くて書けないようです.


5 INET GATE 1998/06/30 17:37
題名:[lex] RE: [lex] 不定詞の主語 {2} {1}

Date: Tue, 30 Jun 1998 16:26:32 +0900
From: "Matumoto Yosihito" <>
Reply-To:
To: <>

村田先生、加藤先生、佐賀の松本です。

>>   where to meet him
>>   を「彼に会えるところの場所」だから関係詞とも取れるなどと説明さ
>>   れては,くわばら,くわばらです.私は文法はあまり好きではありま
>>   せんので,分析はほどほどにと常に言いたいです(教える場合は).
>>   先生の研究や趣味でやっているぶんにはかまいません.
>
> 私がここに書いたことはあくまで教師の教材研究のつもりであり,学習者に
>直接提示すべき情報とは考えておりませんでした.

お騒がせして申し訳ありませんでした。先生方の貴重なご指摘を元に、もう一度よく
考え直します。


3 INET GATE 1998/06/30 23:24
題名:[lex] Another New Book {1}

Date: Tue, 30 Jun 1998 15:09:29 +0100
From: "Hiroshi Shoji" <>
Reply-To:
To: "lex" <>

東海林@バーミンガムです。

今回御紹介する新刊書も辞書自体を論じたものではありませんが、コーパス言語
学の包括的な入門書としてはおそらく最新のものと思われます。

Kennedy, G (1998) An Introduction to Corpus Linguistics, Longman

この手の本はテクノロジーの進歩によりすぐに古くなってしまうことも多いと思
いますが、技術的な面のみではなく根本的な原理についてもきちんと説明されて
おり、参考文献欄も結構充実していると思います。

Hiroshi Shoji
Visiting Research Fellow
CARE, University of Birmingham
(English)
(Japanese)


→ログメニューへ