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1999年2月 (21日〜28日)


From: "Tomohiro Dodo" <>
Subject: [lex] RE: [lex] In other words {01} {02}
Date: Sun, 21 Feb 1999 01:15:06 +0900

Noboru Inoueさま
早速、メッセージをいただきありがとうございました。こんなに早く反響があるとは
思っておりませんでした。

>その同義語辞典、出版社はどこなのでしょうか。
>わたしは、辞書はすべてそろえることにしているので?すぐに購入します。

書名:In Other Words −Making Better Word Cho
ices in American English
出版社:NTC Publishing Group
著者:Anne Bertram
価格:2,200円

帯にはNTC’s Thesaurus of Everyday American
Englishの新装廉価版とありました。でも、「辞書はすべてそろえることにし
ている」には驚嘆しました。私もそうしたいのですが、辞書は高価なものが多いの
で、常時waiting listが満杯です。

>>
>これは、今まで僕が目にした類義語辞典の中では最も助けになるなあ、と感じさせ
>ま
>> す。例えば、thin,slim,slender
>...と並んでいる場合、thinが代表として立て
>>
>てあり、次のslimやslenderには必ずthinが語義の中に使われてい
>る
>> のです(説明になってますか?)。
>  ーー>少なくとも私には、なっていません。すみません。^^::
>実物で確かめます。

興味がある方もおられるかもしれませんから、一例を出します。例えば、thinと
いう見出しの下に、類義語 lean,skinnyなどが続きます。
thin:not having much flesh on the body;th
e opposite of ’fat’.
・emaciated:so ’thin’ that the bones stan
d out.
・lean:’thin’ and muscular.
・skinny:awkwardly ’thin’.(informal)
・slender:elegantly,pleasingly ’thin’.
・slim:quite ’thin’;gracefully ’thin’.

...という具合で、定義の後に例文が続きます。類義語ではthinという基本語
を入れながら、その差を説明しています。ただ、すべての類義語がこの説明方式では
ありません。

>わたしはActivatorは使っていません。ことばの数が少なすぎるので。

Activatorが言葉の数が少なすぎる、とおっしゃるなら In other
wordsは語数的にも、また、定義の詳細さでもちょっともの頼りないかもしれま
せん。帯に収録語数5,000とありました。(50,000ではありません。)シ
ソーラスならantonymが10も20も列挙されていますが、これは定義がある
ぶん、せいぜい5、6くらいの単語しか並べられていません。

私が気に入ったのは、むしろこのように基本語彙だけに絞ってある点と、定義が非常
にシンプルなところです。

>愛用しているのは、
>The Bantam Roget's Thesaurus 1990
>Roget's 21st Century Thesaurus 1993
>いずれもペーパーバックで1000円くらいです。前者はアルファベット順でAntonymも
>のっていて便利。後者は、アルファベット順と
>概念別の両方をかね合わせ、かつ言葉も細かく分けて同意語を示しているので便利
>(説明になっていますか?)

はい、大変よく分かります。ロジェ式のカテゴリー分類+アルファベット順の折衷型
ですね。これは、とても使い勝手が良さそうな感じがします。

たとえば、
>objectにはいろいろな意味がありますね。これを名詞1、名詞2、名詞3という風に
>項目を分けてその同意語を示しています。辞書代わりになります。もうひとつ、
>The randomhouse thesaurus
>緑色のpaperbackです。Antが載っていることは、上記Bantamと同じなのですが、各
>項目にかならず、
>例文がのっているのです。これが貴重。
>わたしは、Thesaurusのもう一つの利用法として、Voca-buil本として活用できるこ
>とがあると思います。paperbackにのっているような
>単語は百科語はすくなく、活用語が多く、暗記すべき単語ばかりが並んでいるてん
>が、なにもかも掲載している大型辞書にはない特長。
>かつ、安くてページを破って使用してももったいなくない。まだ食べてはいません
>が。^^

ところで、失礼ですが、シソーラスはどんな場面で利用していらっしゃいますか。私
は元々シソーラスはネイティブの作家が使うもの、と思っていましたから、いわゆる
本格的なシソーラスは使う場面がほとんどありません。上の「ボキャビル」に用いる
というのは、大変参考になりました。一度試してみようかと思います。

では、どうもありがとうございました。おやすみなさい。

百々智啓



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] RE: [lex] In other words {01} {02}
Date: Sun, 21 Feb 1999 01:27:48 +0900

Dodo さま
井上です
すべてそろえる、というのはかなりの誇張ですから。。。

In Other Wordsですね。今度本屋へ行ったら探して購入します。
説明が理解できました。そういう辞書は私の知る限りないですね。

ただ、かなり古いですが、Longman Dictionary of Science Usageに、
unique,sole, single, only, lone, solitary, isolated,
segregatedのちがい、あるいは
metamorphose, accomodate, vary, changeがどのように異なるか、の説明が
図を使って示してありました。

でもおもしろいですね。まず、日本語もこの形式にすべきですね。つまり、ある言
葉を引くと、類似語がずらっと並んで
いるのが欲しいのです。意味がわからない単語なぞ、まずないですから。それに類
似語がずらっと並んでいれば、
その意味もおのずと立ち上がってきます。したがって、Thesaurus=Dictionaryなの
です。

シソーラスをどのように使用するか、ということですが。
私にとっては、voca-buil目的が一番ですね。
つぎに、文字通りシソーラスとして。私は技術翻訳をやっていますので、
AをBに取り付ける、というとき、まず一つの単語を発想し【何にもなければまず和
英を
引く必要がありますがーー>これは、去年発売されたGenius和英の方式です】、た
とえばinstallから、
類似語をみつけ、最適なものをひろいだす、
set up, establish, build in, fix, furnish, inaugurate, introduce,
.....あれ、mountがのっていないぜ、
などという風に抜けもあります。ーー>Roget's 21st Century
完璧を期すには片手でもてない大型辞典を引く必要がありますが。

あと、形容詞のいいのがなかなか思い浮かばない場合。いつも大きい=largeとする
訳にもいかないのでちょっと毛色の変わったものを使用するとか。

ではまた。In Other Wordsについて語り合いましょう。
good nite

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373



From: Sho Sakuma <>
Subject: [lex] bears notについ {01}て {02}
Date: Sun, 21 Feb 1999 01:44:46 +0900

神奈川県内の私大に通っている佐久間といいます。歴史的な事を勉強しています
ので、下のようなことを調べてみました。

『英語学大系 10 英語史 3A』(大修館)5 6.6 P-508
に否定構造の史的発達について詳しい記述があります。

冒頭に、以下のような史的発達のプロセスが示されています。
(Jespersenによるものだということです。)

1) ic ne secge.
2) I ne seye not.
3) I say not.
3')I not say.
4)I do not say.
5)I don't say.

ただ、現在の用法にどれほど3)の構造が残存しているか、特に記載が
ありません。
この場合、(3)I say not が生じた時点はおよそ1400年頃とされているとあります。
近代英語前期においては本動詞+notという構造は一般的であったようです。

聖書の英語に関しては、「欽定訳聖書」(1611)の全文検索が以下のURLで可能です。
http://etext.virginia.edu/etcbin/kjv2www?specfile=/lv6/workspace/kjv/kjv-pub.
o2w
bear notでは、以下の二件が検索されています。

43: And they shall be upon Aaron, and upon his sons, when they come in unto
the
tabernacle of the congregation, or when they come near unto the altar
to minister in the holy place; that they bear not iniquity, and die: it
shall be a statute for ever unto him and his seed after him. (Exodus)

6:Bear not hatred to thy neighbour for every wrong; and do nothing at
all by injurious practices. (Sirach (Apocrypha))

同じく beareth not では3件 bearest not 3件 bears not 0件(三人称は-eth語
尾が優勢)
過去形obsolete 'bare not' 1件 単純否定でのnot bearの用法はない模様です。

peripharasticな用法では必ず動詞の前にnotが生じています。canst not bear,
shalt not bear...., so forth

やはり、この否定構造のぶれは do の文法化に起因するものであると思います。
David Denison (1993) English Historical Syntax, Longman. P-265
にもnegative declarative peripharastic DOについて言及がありますが、
現在の英語の用法については何も書いてありません。とにかく、十四世紀の終わ
りから現在のdo+not構造が散見されるのは確かであるようです。

Sho Sakuma /



From: Masahiro Kodera <>
Subject: [lex] There were an estimated 200 million guns〜の数は?
Date: Sun, 21 Feb 1999 13:49:40 +0900

井上 昇 先生

小寺(聖母短大)です.

> Cobuildには、aの説明として、不可算名詞の前に形容詞がつく場合、あるいは、不
> 可算名詞を修飾する語句がつづく場合にaがつく、
> と説明しています。例として、下記。
> The islanders exhibit a constant happiness with life...
> He did have a real knowledge of the country..
> Baseballmolvies have gained an appreciation that far outstrips those
> dealing with any other sport.

上記の説明は,COBUIILD シリーズの内のどれに記載してあるのでしょうか?不定冠
詞に関する箇所は大概目を通しているつもりなのですが.因みに,同シリーズの Eng
lish Grammar, English Guides 3 Articles にも似たような解説があります.

Although you do not normally use determiners with uncount nouns, you can
use 'a' or 'an' with an uncount when it is modified or qualified. (English
Grammar: 1.218)

COBUILD が Bank of English のデータをどのように分析したのかは知りませんが,
この表記は,明らかな間違いとは言いませんが,誤解を招く解説です.前回のメール
で申し上げましたように,COBUILDdirect のデータ(ご承知のようにBank of Englis
h のミニチュア版みたいなものですが)によりますと,そうした結果は得られませ
ん.COBUILDdirect は5000万語(現在5500万語)ですが,3億語のデータを利用して
も,同様の結果が得られると思います.私には,COBUILD が抽象名詞と不定冠詞との
関連性を真剣に時間をかけて分析しているとはとうてい思えません.この辺の事情は
,現地にいらっしゃる東海林先生にでも調べていただけると有り難いのですが.

上記のような説明は,COBUILD に限らず,Quirk (1985) や Swan (1995) ,また,日
本で出版されております各種文法書,語法書にも同様の説明がありますし,私自身,
高校の時に教えられたか,文法書で読んだ記憶があります.ただ,井上先生がご指摘
のように,自分で本や雑誌を読んだりしておりますと,その説明では理解できない例
に多々触れます.そこで,疑問に思ってカードのようなものを作成しておりましたら
,4,5年前でしたか,COBUILDdirect が利用できることを知り,(その前に COBUI
LD の辞書を初めて見たときにはぶったまげましたが),初めてコンピュータを購入
いたしました.当初は,もっと簡単に結論は出せるだろうと考えておりましたが,と
んでもなく複雑であることにどうしようかと思っているところです.

そこで,とりあえず,修飾が不定冠詞の用法には影響を与えないということをデータ
で示しました.私も,調べ始めた当初これほどとは思っておりませんでした.基本的
には,マーク・ピーターセン(「日本人の英語」)の考え方,「先行して意味的カテ
ゴリーを決めるのは名詞ではなく,a の有無である」に賛成です.(「名詞」の部
分は,この件については「修飾」としたいのですが.とにかく,不定冠詞が名詞の持
つ意味に与える影響の方が,修飾などに比べれば,かなり決定的な点があるのではと
考えております)

> 単独で用いるとは書いてありませんが、ランダムハウス大英和には、抽象名詞にa
>が
> つく、として、
> Would you do me a kindness?
> Literature was a comfort to her.
> の例があります。単独で使用するcaseはCobuildには明示されていませんが多いの
>で
> は、という私の印象ですが。

語にもよると思いますが,私の調べている範囲内では,前置,後置を含め全く何の修
飾を伴うことなく単独で不定冠詞を伴うケースは,修飾を伴うケースに比べれば圧倒
的に少数です.全くの単独で用いられている場合には,コンテキストによって,ある
程度どんな意味合いで使っているかを暗示していると思います.その意味では,コン
テキストが修飾しているとも考えられますが.やはり,不定冠詞が修飾を誘発すると
考えた方がいいように思います.

> はなしは全く異なるのですが、岩波新書黄版 忍足欣四郎「英和辞典うらおもて」
> に「あらゆる名詞は複数形をとりうる」という私にとっては非常に力強い宣言?を
> 見いだした記憶があります。informations,
> equipmentsなども複数形を取りうる可能性があるといわれているのか
> どうか、たとえば。
> この新書は現在絶版のようですが、もしお持ちの方があったら暇な折り、どういう
> 文脈でいっておられるかお調べいただければ幸いです。 

残念ながら持っておりません.また,不幸にも目にしたこともありません.私も是非
とも読んでみたいです.
ところで,「あらゆる名詞は複数形をとりうる」という点ですが,私は賛成しかねま
す.「あらゆる名詞は不定冠詞を伴う可能性がある」というのでしたら,条件付きで
賛成いたしますが.以前私もそう考えたことがあり,確かに COBUILDdirect や Brit
ish National Ccorpus には,informations, knowledges, equipments といった例が
見つかりますが,複数のネイティヴに意見を聞きますと,この3例につきましては全
員が全ての例について, not acceptable とのことでした.この点がコーパスを用い
ての研究の怖いところです.私なんかには彼らの持つ native intuition がありませ
んので.

knowledges の複数形は,British Nationa Corpus (Simple Search) に,確か十数例
あったと思いますが,ほとんどすべて哲学,社会学関係で,アルチュセールやフーコ
ーに関してのものでした.また,equipment が複数形を取る可能性については,Wie
rzbicka (1988) がコメントしておりますが,論理的に考えて複数形を取って何故可
笑しいのかは説明できないようです.ただし,現在のところ equipment の複数形は
not acceptable のようです.

sensitivity につきましては,そのすべての意味において(私の調査した範囲内で)
無冠詞,不定冠詞,複数形の例がありました.sensitivity は内外の辞典ほとんどす
べてで不可算扱いですが,どういう理由で不定冠詞を伴ったり,複数形になったりす
るのか,一応私なりに理屈をつけて,あるネイティヴの方に論文の形にしたものをお
見せしましたところ,自分は無冠詞で使うが,私の説明が convincing なところも
あるとのことで,若い(ネイティヴ)人たちの中には(その方は確か40代の後半だ
と思います),可算のように使う傾向が確かにあるとのコメントを頂きました.

education に関しては,不定冠詞を伴うことも,また,複数形で用いることも出来ま
す.複数形で用いることには,多少抵抗のある方もあるようですが,そうした方々で
も,acceptable とご返事を頂きました.(その場合,彼らは無冠詞で用いる方法を
模索するようです)最近見た映画で,以下のような台詞がありました,典型的な複数
形の例だと思います.

"I was thinking about, maybe, setting up some kind of trust fund for my
kids' educations."
(The Shawshank Redemption)

聞き取りですので,kid's educations か kids' educations かは不明ですが,私に
とりましては,kids' educations が好都合です.また,恐らくそうだと思います.
(knowledge と sensitivity については,前回の辞書研究会のワークショップ(早
稲田大学)で発表しました時のレジュメのappendix の最後に例文を載せております

現在のところ,コーパスのデータを分析し,ネイティヴの意見を参考にしながら,分
析を修正していき,一つずつ調べていく以外にないと思っております.最終的には,
数種類のパターンに類型化出来るのではと考えております.(財政難の折り,研究費
も削られ,COBUILDdirect の費用をどうしようかと考えておりますが,これだけはど
うしてもある程度の結論がでるまで続けたいと考えております)

今後ともご教授お願い致します.

小 寺 正 洋
聖母女学院短期大学



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] There were an estimated 200 million guns〜の数は?
Date: Sun, 21 Feb 1999 15:48:15 +0900

小寺様
千葉県井上です。

いろいろ、教えていただいてありがとうございます。

なお、あらかじめお断りしておきますが、わたしは一介の技術翻訳者【しかも新人
】であり、教師でも、英語専門家でも
ありません。【すでに、私のメールをお読みならばこのことはよくおわかりと思い
ますが】したがって、私に対して、
先生の敬称は是非ともお止めいただくようお願い申し上げます。このMLでは、英
語専門家あるいは教師のかたが多いようですが、私は
MLメンバーには、すべて様、あるいはさん、という呼称を使用することにします。
あしからず。

さて、前半部分ですが、私の利用しているCOBUILDは
HarperCollinsPublishers 1995 Collins COBUILD ENGLISH
DICTIONARYです。わたしの、もっているのはpaperback版ですが
hardcoverも出ています。すでにお持ちかと思いますが。
いつか紹介したことがあると思いますが、お持ちでないかたにあらかじめ紹介して
おきますと、特長は、
1 説明が容易なことばを使用している。善し悪しでしょうが。

例文が私には親切と思われます。すでにメールで指摘。例文も多い。またフルセン
テンスの例文が多い。

6段階の使用頻度表示がある。技術評論社のハイパー英語辞典CDromは10段階に
分かれていましたが、余談です。

で、ごしてきの箇所を、正確にそのまま訳すとつぎのようになります。
aの第三項

3 DET: DET n-uncount with supp
You use a or an in front of an uncount noun when that noun follows an
adjective, or when the noun is followed by words that
describe it more fully.

The islanders exhibit a constant happiness with life
He did have a real knowledge of the country
Baseball movies have gained an appreciation that far outstrips those
dealing with any other sport

以上です。このように、説明はほとんど、You
useではじまります。きわめて方針の明確な辞書と思います。

それで、a+n-uncountのかたちですが、単独で使用される例は非常に少ないことが私
にもわかりました。a knowledgeの形を
OXFORD2で調べたところほとんど a knowledge
of...の形です。単独で使用される場合はないとおもいます。したがって、加藤氏が
前回のべられた形容詞を先行させると抽象名詞もaをもつ、という指摘は正しいこと
になります。

以下は試験です。
私は、マークピーターセン氏のご指摘の本が出版された後非常な違和感を覚えまし
た。とくに冠詞の用法。単数と複数など。氏は英語の世界観なるものを強調される
のですが。英語の世界観とはいったいなんでしょうか?英語の使い手はすべてこの
「世界観」の洗礼をうけるべきである、というようなかきぶりでした。私は、その
違和感をすぐに著者宛にだしたことがあります。
ピーターセン氏が間違っていると思われるのは英語は変わらないもの、とおもって
いることです。世界観自体が多様化し、時間的にも
どんどん変化しつつあるときに、言葉のボキャブラリーのみでなく、文法自体も変
わらなくて良い、ということがありえるでしょうか?
単数、複数もその一例であり、文化相対主義をもちだすまでもなく、education,
knowledgeは複数を取るのがきわめて自然です。思想を
伝える道具である言葉が、表現対象、表現者の思想がどんどん変わっているときに
、固定していること自体がナンセンスのきわみと思います。忍足氏の主張がどのよ
うなものであったか忘れましたが、きわめてflexibleな専門家をみいだしてほっと
したということです。

すくなくとも複数の世界観があれば、それにともないあらゆるものがeducation、kno
wledgeも含め、複数あるはずです。Sunが複数形を取らないのは、現実の地球環境と
いう狭い世界でそうなのであり、言葉がこのような経験的事実にひきずられてよい
はずはなくもっと自由であるべきです。SFの世界ではSunsもあってしかるべきでし
ょう。

以前は-ing形は複数形をとらない、などというルールがありましたが、今やこのル
ールはくずれています。工学の分野では、send,
receive、moveなどの動詞はそのまま名詞としても使用します。ということは、基本
的にあらゆる動詞は名詞になる、といっていいと
思います。sensitivitiesなども単数より複数にしたほうが私にはぴったりきます。
抽象名詞-->すべて複数形を取る。しかも、前後に修飾がなくても単独でそうである
。というのが、私の世界観です。わたしは、数十年後にはこのように英語は変わる
と信じております。

辞書の世界、コーパスの世界【雑誌の記事、論文の記事などは、旧主派editorなど
が「文法上の誤り」をただすことが多く、filtering
されたものしかでてこないという偏見を私はもっています】は、現実の言語エネル
ギー、ベクトルを正直に表していないのでは、と私は
思っています。

equipmentが論理的に複数形を取って悪いかを説明できない、という話はおもしろか
ったです。この種類の説明、わたしにいわせれば
こじつけ、だと思いますが、ぜひ読んでみたいと思いますのでご紹介ください。Usag
eの本を読んでも、当たり前と思われるような事柄でも
nativeの間で意見が分かれているようですからあまり気にする必要はないと思いま
すが。英語を、国際化するにはその狭小な「世界観」をすてて、変わるべきだと思
いますが。

たとえば、waterも私はwatersを場合により使用できると思います。関東の水、関西
の水をあらわす場合のように。複数化した時点で
具体的な水でなく、かなり抽象化した水であることを表現できます。すくなくともwa
tersをみとめて実害を受ける人がいますか?
ピーターセン氏のようなありもしない「英語世界館」宣教者が困るくらいでしょう

エー、すこし、興奮気味につき、ドクターストップがかかりました。
このつづきは、またいずれ。

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373


From: "Hiroshi Shoji" <>
Subject: [lex] RE: [lex] ご挨拶 {01} {01}
Date: Sun, 21 Feb 1999 13:30:49 -0000

山崎 達也 様

はじめまして。東海林 宏司(しょうじ ひろし)と申します。現在英国バーミ
ンガムで勉強しており、4月からは仕事に復帰します。

> 最近は、CHAMBERSでmangaが"a type of adult comic in Japan"とあったり、
> otakuがコンピュータに限定されている記述を見つけて頭を抱えています。

昨年出たNew Oxford Dictionary of Englishという辞書を御存知でしょうか?こ
のメーリングリストでもかなり話題になりましたが、この辞書も日本語起源の語
彙を積極的に収録しております。

otakuに関しては過去ログを見ていただくとしまして、mangaについては次のよう
に定義されています。

[mass noun] a Japanese genre of cartoons, comic books, and animated
films, typically having a science-fiction or fantasy theme and sometimes
including violent or sexually explicit material. Compare with ANIME.

Chambers Newのように定義に'adult'という語を用いてはおりませんが、
'typically'以下がかなり主観的な印象を受けますね。

ちなみに「比較せよ」というanimeの方を見ると、

[nass noun] Japanese film and television animation, typically having a
science-fiction theme and sometimes including violent or explicitly
sexual material. Compare with MANGA.

となっており、やはり'typically'以下は日本人自身の捉え方とは少々異なって
いるように思えます。

日本のいわゆる「外来語」もその輸入元の言語における使われ方と異なることが
多いように、英語における「外来語」としての日本語起源語も、意味のズレが生
じてくるという例でしょうか。この点は昨年「オタク」と'otaku'を話題にした
時には明確に意識しておりませんでしたが、山崎様の問題提起により意識するよ
うになりました。

今後ともどうぞよろしくお願いします。

Hiroshi Shoji
<University of Birmingham, UK>
<Shion Junior College, Japan>



From: "Hiroshi Shoji" <>
Subject: [lex] AND Compendium '99 {02}
Date: Sun, 21 Feb 1999 16:58:18 -0000

東海林@バーミンガムです。

南出先生が12月に紹介されたCD-ROMレファレンス集AND Compendium '99を入手
致しました。(書誌データは公開するデータベースに加えてあります。)

> 発売元:AND Publishers Ltd

という情報を拝見した時に、検索ソフトの部分は昨秋発売のCOBUILD E-dictと同
じではないかと予想していましたが、店頭で見たパッケージでそのものズバリ確
認できましたので、購入に踏み切りました。

インストール時に初期設定ではなくCOBUILD E-dictのあるフォルダを指定し、
データもハードディスク上に置くように指定すると、同じ検索ソフトで両方の
パッケージに含まれている辞・事典を一括して検索することができるようになり
ます。COBUILD2とChambers 21st Centuryを一括して検索できるのはなかなか便
利です。

Compendiumに含まれているシソーラスはThe Cambridge Thesaurus of American
Englishというものですが、何故Chambers 21st Centuryと米語のシソーラスを組
み合わせたのだろうと不思議に思います(版権問題が絡んでのことでしょう
か…)。同じChambers社のシソーラスならば、もう少し親和性が高かったように
思うのですが…(例えばcentreやneighbourで一括検索をかけると、Cambridge
Thesaurusのヒット件数はゼロになってしまいます。)

もっとも各辞書がモジュール化されているために、同じ検索ソフトに対応した辞
書やシソーラスが今後発売されれば、イギリス英語の{辞書+シソーラス}、ア
メリカ英語の{辞書+シソーラス}という組み合わせによる検索が可能になり、
更に有効な使用ができるようになると思われます。

理想的には、現在Windows版しか存在しない検索ソフトのMacintosh版も発売さ
れ、データ(辞・事典類)が共通という仕様になればいいと思うのですが…

それから個人的な希望としては、COBUILD Grammar Patternsのシリーズが同じ
フォーマットで発売されることを望みたいと思います(このシリーズこそ、同じ
語が様々な箇所に点在しているため、正に電子辞書向きなのです)。近いうちに
COBUILD社に要望してみることにします。

Hiroshi Shoji
<University of Birmingham, UK>
<Shion Junior College, Japan>



From: "Tomohiro Dodo" <>
Subject: [lex] RE: [lex] In other words {01} {02}
Date: Mon, 22 Feb 1999 02:16:36 +0900

井上さま

>でもおもしろいですね。まず、日本語もこの形式にすべきですね。つまり、ある言
>葉を引くと、類似語がずらっと並んで
>いるのが欲しいのです。意味がわからない単語なぞ、まずないですから。それに類
>似語がずらっと並んでいれば、
>その意味もおのずと立ち上がってきます。したがって、Thesaurus=Dictionaryなの
>です。

「福武国語辞典」(福武書店)というのがありますね。「安心」を引くと、囲み記事
として、類義表現「胸をなで下ろす、息をつく、肩の荷が下りる、愁眉をひらく、大
船に乗った気持ち」などが出ています。(ご存知でしたか?)書店で見たところで
は、確かにこのとおりなのですが、囲みが意外に少なく、あれば楽しいかなあ、くら
いには思っています。「類義語がずらっと並んで...」という感じではありません
でした。

最近、出版翻訳の通信講座(仕事、ではありません。めっそうもない!)を始めたの
ですが、上記の辞典が薦められていましたのでこの辞典のことを知りました。(英英
辞典はCobuildだけが推薦されています。この辞典についてちょっと気になる
点があったのですが、それは、またいずれかの機会に喋りたいと思います)

今日はトピックがあまりありません。では、catch you around

百々智啓



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] RE: [lex] In other words {01} {02}
Date: Mon, 22 Feb 1999 04:59:47 +0900

dodosan

inoueです

福武の辞典、開いたことがない、ことはないはずです。が、印象に残っていないの
でしょうね。
囲み記事、だけで、買わせるのはどうも、という気がしますが。
特長のある辞典がないということですかね。全ページを囲み記事にしてほしいです
ね。特徴のある小型英和では、わたしは
三省堂の時事英語辞典がお奨めですね。boca-buil用に使えます。囲み記事で言えば
、こちらのほうが良いと思います。
この辞典の趣旨からすると、この囲み記事にもう5倍くらいスペースを与えれば、も
っと良くなります。書店でごらんになれば
私の言っていることに同意していただけると思います。

いつも勧めているので気が引けるのですが、三省堂の漢字引き、逆引き大辞林はい
かがですか。
もし、1日あげる、といわれたらこの辞典と蛍光ペンをもって、山手線にのります
ね。
もし、1週間あげる、といわれたら、部屋にこもってNODEを読み切ります。
NODEはすばらしい。だいたい、ある単語の説明に10行割り当てられているとき、
その語の起源ORIGINに7行も当てる辞典が他にありますか。20行の解説記事のう
ち15行もその語の起源を解説している記事がほかにあるでしょうか。しかも、大部
分の単語にこれがついています。もちろんNewという位だから最新語がじゃんじゃん
はいっている。編集者の余裕と、心意気というものがびんびん伝わってきますね。
欠点は重たいこと(ばらすかな)。紙はしっかりしており、蛍光ペンでマークして
も裏に余り写らない=丈夫でないと紙の辞典はつとまらない。日本の英和辞典の欠
点は、この辞書のように起源解説に関心をしめさず、ことばを覚えさせることにま
るっきり関心がないことです(同じ単語を二度引かせるのは辞書制作者の恥である
という観念がまるっきしない。用例の全くない単語で語数をかせぐなら、語数を1/3
に落として、全単語に起源の解説をつけるべき。そうすれば、単語を忘れろ、とい
っても忘れられない辞書ができます)。いまの学習辞典は、まるで覚えてもらって
は困る、といっているみたい【これが戦略であれば少しは出版社をみなおしますが
】もし、私が英語教師ならば、同じ単語を二度と引かせないような辞書を自分で作
って生徒に渡しますね。かなり分厚くなりますが、これで英語世界にアクセスでき
るのだから、十二分に労は報われる。そのくらいしなくては日本も21世紀に残れな
いと思います。(7不思議の一つはこれほどInternet利用者が日本に増えたのに民間
共同プロジェクトとして辞書編修の話が起こらないのはどうしてか、ということで
す。辞書編修の能力も情熱もない現在の出版社にはいいかげんに見切りをつけるべ
きです。Oxfordなどに英和辞典、シソラスの出版をしてもらったほうがよっぽど手
っ取り早いのでは)。また、これだけ英語教育に時間を注いでいるのなら、せめて1/5
の時間くらいは学校で、Boca-builに時間を当てるべきだと思いますがいかがでしょ
うか。あまりにも戦略がなさすぎますね、言語学習に。もっとも、日本語のboca-bui
lにも時間を割り当てていないのだから、無理な注文か。。。。またまた愚痴になり
ましたね。

今週、in other wordは発売ですか?

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373



From: Nagayuki Inoue <>
Subject: [lex] 「書誌データ」の公開 {01}
Date: Mon, 22 Feb 1999 09:09:31 +0900

辞書学ML登録者各位

日頃は辞書学MLをご利用いただきましてありがとうございます。

さて,かねてよりシオン短期大学英語科の東海林宏司先生〔現在バーミンガム大
学留学中〕を中心に準備を進めてまいりました「辞書学メーリングリストに登場
した辞書の書誌データ」が公開の運びとなりました。ご苦労いただきました東海
林先生,ご協力いただきました佐賀の松本祥仁先生(MCS)にお礼申し上げます。
また,このMLに書誌データをご紹介いただきましたML登録者の方々にも厚く
お礼を申し上げます。

データは下記のサイトよりダウンロードできます。

http://lexis.edu.shimane-u.ac.jp/inoue/ml_log.html

ダウンロードの形式が2種類用意されておりますので,ご都合のよろしい方をお選
びください。

●LZH圧縮形式〔利用には解凍用ソフトが別途必要〕
●非圧縮形式〔利用に解凍用ソフト必要なし〕

詳しくは上掲のページに書かれてありますので,ご確認の上ダウンロードいただ
ければと存じます。

**********************井上永幸 <>*********************
[辞書学MLログを公開中: http://lexis.edu.shimane-u.ac.jp/inoue/ml_log.html]
--辞書学ML脱会は宛てにsignoff lexと送る--



From: Masahiro Kodera <>
Subject: [lex] There were an estimated 200 million guns〜の数は?
Date: Mon, 22 Feb 1999 09:41:33 +0900

小寺正洋(聖母短大)です.

井上 様

> 先生の敬称は是非ともお止めいただくようお願い申し上げます。

申しわけ御座いませんでした.今後改めます.

> それで、a+n-uncountのかたちですが、単独で使用される例は非常に少ないことが
>私
> にもわかりました。a knowledgeの形を
> OXFORD2で調べたところほとんど a knowledge
> of...の形です。単独で使用される場合はないとおもいます。したがって、加藤氏
>が
> 前回のべられた形容詞を先行させると抽象名詞もaをもつ、という指摘は正しいこ
>と
> になります。

出来ましたら,今一度私のこれまでのメールを読み直して頂けたらと思います.形容
詞を先行させてもaを伴うという傾向はありません(極一部例外はありますが).

Masahiro Kodera
Seibo Women's Junior College
1 Tayacho, Fukakusha, Fushimi-ku, Kyoto 612
()


From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] RE: [lex] In other words {01} {02}
Date: Mon, 22 Feb 1999 10:36:33 +0900

Dodo様

井上昇です。

In Other Words, NTC, Anne Bertram著  
1996年発行ですか。八重洲ブックセンターによると。

八重洲ブックセンター、丸善ともに在庫なし、取り寄せとのことです。

在庫のある書店をご存じでしたらご連絡ください。
(こんなメールを出すのもどうかと思いますが、日本の書店の実状を知っていただ
くのもよいことかと。)

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373



From: kazuo kato <>
Subject: [lex] There were an estimated 200 million guns〜の数は?
Date: Mon, 22 Feb 1999 10:57:01 +0900

小寺先生/様:

加藤@岩手医大です.

Masahiro Kodera wrote:

> ところで,「あらゆる名詞は複数形をとりうる」という点ですが,私は賛成しかねま
> す.「あらゆる名詞は不定冠詞を伴う可能性がある」というのでしたら,条件付きで
> 賛成いたしますが.以前私もそう考えたことがあり,確かに COBUILDdirect や Brit
> ish National Ccorpus には,informations, knowledges, equipments といった例が
> 見つかりますが,複数のネイティヴに意見を聞きますと,この3例につきましては全
> 員が全ての例について, not acceptable とのことでした.この点がコーパスを用い
> ての研究の怖いところです.

(加藤)この問題については最近興味深い議論がありました:

Samuel Ahulu (1998), "Grammatical variation in international English,"
English Today 56, Vol. 14, No. 4 (October 1998), pp. 19-25 です.

この人は Cambridge で学位を取った Ghana の研究者ですが,かつて英国の植
民地だった "postcolonial" countries では次のような英語は普通だと述べて
います:

Furnitures are being manufactured.
They left their luggages at the railway station.
Tourist accommodations are availabe.
Can you please give some informations.

X stood on a furniture ...
X took a luggage ...
This is just an information about what we have in stock.

Ahulu はこの論文の結論の最後のところで次のように述べています:

We now have a really interesting question: will teachers mark as in-
correct forms such as:

X stood on a furniture.
All the luggages were destroyed.

If they are aware that such forms are perfectly normal in the English
written in postcolonial countries? (p. 25)

私自身もエジプトの Mubarak 大統領が "McNeil/Lehrer NewsHour" ([NHK BS]
7 April 1993) で "many informations" と言っているのを耳にしたことがあり
ます.

世界の英語が the English から Englishes へと多様化しつうあるのが現実で
すが,英文の学術雑誌にこういう英語で書いた論文を投稿すると,"native"
に校閲してもらうようにという指示がついて返ってくるのが常ですから,これ
までの「標準」を無視するわけにもいきません.


From: "SEKIYAMA, Kenji (Sekky)" <>
Subject: [lex] (TECH:) DOS-based on-line Dictionary {01}
Date: Mon, 22 Feb 1999 11:21:02 +0900

関山@愛知淑徳大院生 です。

 技術的?な質問で恐縮ですが,IBM(XT)互換機のMS-DOS上(Windows上ではなく)で
動く辞書ソフトウェアを探しています。今のところ,

*光の辞典(テグレット技術開発)→「パックス英和,和英,清水国語辞典」がセッ
トになった辞書ソフトで,Windows版を買うとオマケでDOS版もついてくる

*Collins English Dictionary & Thesaurus(いわゆるCED3とThesaurusで,COBUILD
ではない)

を持っていますが,ほかにご存じでしたらご教示下されば幸いです。とくに,EPWING
のCD-ROM辞書(電子ブック含)をDOS上で検索できるソフト(DDWinのDOS版のような
もの)を探しています。あるいは,EPWING辞書の本文データをテキストに落とせるよ
うなユーティリティがあれば,それでもかまいません。CGA/XT互換なので,VGAベー
スのソフトや80386以上向きのものは動きませんが,辞書ソフトならそこまで要求す
るものは少ないでしょう。

と言いますのは,Windows系のサブノートPCの不便さ(バッテリー寿命が短い,起動
が遅い,まだまだ重くて大きい)に嫌気がさし,最近はHP200LXという超小型DOSパソ
コン(80186/CGAという10数年前の標準的なデスクトップPCが,手のひらに載るサイ
ズにおさまっています)に大容量フラッシュカードをつけて使っているのですが,最
近は秋葉原などでもDOSソフトウェアはほとんど見かけないので困っています。

どなたかご教示下されば幸いです。

#RHD on CD-ROMの前バージョン(現行のv.2.0の一つ前,1.5?)にはDOS版も入って
いたという噂もききましたが,これも今は入手不能でしょうし。

---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---
SEKIYAMA, Kenji (Aichi Shukutoku University)

E-mail: , (alternative)

"Sociolinguistics is NOT sociolinguistics, but sociolinguistics is
linguistics" (William Labov)
---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---
= Webpage URL: http://members.tripod.com/~sekky =
→「学会発表マニュアル」第3版ができました



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] メールの補足 {01}
Date: Mon, 22 Feb 1999 11:30:52 +0900

小寺様 DoDo様 みなさま

前、前々メールに対する補足と、皆様からのご意見をうかがいたいこと。


日本の辞書が単語を覚えるための工夫をしていないことはいえますが、語源につい
ては、ランダムハウス大英和の初版(2版は後退)、研究社大英和の5版は、okです
。ただし、説明がuser
friendlyではない。高校生に読んでもらえるかどうかということです。
研究社のリーダースが評価できるのでは、非常にコンパクトですが原則として各言
葉に語源説明が1行くらいのっていて、暗記の補助となること。編集者の意図を感じ
ました。研究社大英和もそろそろ第6版が出される頃かと思いますが、語数を増や
さないで、むしろ減らしてもよいから、語源、使用例をたっぷりのせた発信型の辞
書を作成して欲しい。紙の辞典が語数競争をするなどとは、考え違いも甚だしいと
思う。それより、リーダースのCDrom版、のいんターフェースなんとかしてもらえま
せんかね。copy、プリントくらい自由にしなくちゃ。言葉は万民の財産なんですよ
、研究社さん。


マークピーターセンの著書、その題名もズバリ「日本人の英語、正続」。とくに正
編の出だしの数章、日本の教育界は
acceptableですか?私はびっくりしましたがね。とくに、出だしのchickenの一件で
けでも、眉唾です。今手元に置いてありませんが。
英語の世界観などと、まるで、すでに破産していると思われるChomsky理論の亡霊で
も見ているようでした。ピーターセンさんには、
是非「米国人の英語」なる書物を著してもらいたい。さらに、「日本人の英語」を
米英訳して、その考え方が、英米人、それに英語を
(準)公用語としている国々でどういう風に受け取られるのか是非しりたい。さら
に、時間があれば、「米国人の日本語」もついでに。

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373



From: 村田 年 <>
Subject: [lex] 辞書研シンポジウム詳細 {01}
Date: Mon, 22 Feb 1999 11:38:39 +0900

1999. 2.22
   JACET英語辞書研究会
世話人:赤野 一郎・赤須  薫・井上 永幸
            加藤 和男・小林ひろみ・南出 康世
            宮井 捷二・村田  年・山田  茂

先にご案内致しましたシンポジウムの詳細をお知らせ致します.
相当興味深い議論が展開されることが期待されます.特に音声学の知識
がなくても十分に楽しめるでしょう.広くお知り合いの方々に宣伝して
下さいますようお願い致します.(村田)

     JACET英語辞書研究会シンポジウム

日 時:1999年3月20日(土)14:00--17:00
場 所:早稲田大学西早稲田キャンパス9号館5階 商学部大会議室
テーマ:英和辞典の発音記号と日本人のための音声表記
司 会:國吉丈夫(千葉経済大学教授)
提案者及びタイトル:
 湯澤伸夫(高崎経済大学助教授)「IPA 表記とカナ表記の相補的利用
   ― DVD-ROM の活用を視野に入れて ―」
 南條健助(甲南大学非常勤講師)「英語音声学から見たカナ表記の有
   効性と限界」
島岡 丘(茨城キリスト教大学教授)「日本語を生かしたカナ表記こ
   の10年 ― 自信と希望が湧く21世紀英語発音教育」
会 費:無料

問合せ先:村田 年(,FAX: 043-290-3747,
     〒273-0865 船橋市夏見 4-9-5)

◎この案内文をできるだけ多くの方々へ転送してお知らせいただきたく
 お願い致します.

 各講師の提案のアブストラクト

湯澤 伸夫氏
 辞書では単語の発音表記に IPA が広く使われているが、英和辞典では特に
初級者向けにカナが活用・併用されている。カナでは英語音の正確な記述が難
しいため、その利用には反対意見があるが、IPAを理解できない我が国の大学
生もいるという現実を考えると、中間言語の立場から日本語音と英語音の橋渡
しとして、旧来のカナ表記は修正する必要はあるが、IPA とカナの相補的利用
が日本人学習者には便利であると考える。大切なのは、学習者が自分のレベル
に応じて表記の選択ができる環境を作ることであり、表記が簡単にカスタマイ
ズできる点、マルチメディア辞書が適している。マルチメディア辞書では、表
記ばかりでなく音声や映像はもちろん、発音診断プログラムを組み込むことも
できる。カナ、IPA、音声、映像、発音診断を有機的に利用することが今後の
辞書では大切であり、これだけ多量の情報を一つの媒体に組み込むには
DVD-ROM が最適だと考える。

南條 健助氏
本発表の前半では、英語音声学の理論と実践の両面から、英和辞典の発音表
記としての「カナ表記」の有効性と限界を論じる。「カナ表記」は、音の連続
やそれに伴う音変化、および「弾音の t」や「暗いl」などの異音の大体のイ
メージを示し、「聞こえ方」の大雑把な目安を与える上では、ある程度有効で
あろう。しかし、個々の「カナ」が日本語音である以上、いかに精密に工夫さ
れた「カナ表記」であっても、それをそのまま読んで出てくる音は、所詮「英
語音に近く聞こえる日本語音」でしかない。そもそも英語発音教育とは、英語
音と日本語音がいかに異なるかを教え、日本語音で代用しないように指導して
いくことであり、全面的に「カナ表記」を用いることは学習者にとって「害
毒」である。なお、本発表の後半では、このような議論を十分踏まえた上で、
それでも「カナ表記」を採用する場合には、どのような表記が最適であるかを
検討し、試案を提示したい。

島 岡  丘氏
 日本語と英語の文字や音声が互いにあまりにも違いが大き過ぎるために、英
語学習の手がかりになるはずの発音記号が教師にも生徒にも役立っていない。
そこで、支援システムとして「近似カナ表記システム」を実験的に使ったとこ
ろ、かなり効果があることがわかった。発表内容の展開は次の順で行う。
1 ヤコブソン、チョムスキーらのニ項対立理論(distinctive feature
theory)をさらに発展させ た3・3四角形で、日英語の共通枠組みを設定す
る。
2 日英語の対照表を示し、英語の分節音素のカナによる意図的な読み替え
(deliberate misreading)
3 カナ読み規約:太い/細い、大きい/小さい
4 補助記号と実際
最後に、最近の他のカナ表記の問題点を指摘し、英語の学習には母語活用が
当然であること、また日本語の優れた点への気づきが必要であることを述べ
る。

            提案者プロフィール

湯 澤 伸 夫 氏
 高崎経済大学経済学部助教授。文学修士、教育学修士。専攻分野は英語音声
学・音韻論。研究の中心はイントネーションと韻律音韻論。最近は基本周波数
の変化と音声環境の関係を研究している。所属学会は、JACET、日本言語学
会、英語発音表記学会など。
主な論文:
 1.Defooting in English(東北大学言語学論集 2)1993
 2.日本語と英語の発音の相違−音節構造の相違をもとにして(IRICE
PLAZA 4)1994
3.英語の分節法に関する一考察(東北大学言語学論集 4)1995
4.Some Features of the Rise-fall Tone in English (東北大学言語学
論集 6)1997
 5.Pre-nucleic Effects on the Rise-fall in English(高崎経済大学論
集 40-3)1998 など。

南 條 健 助 氏
 甲南大学国際言語文化センター非常勤講師。1997年甲南大学大学院人文科学
研究科博士後期課程単位取得満期退学。同年から現職。専攻は英語音声学・英
語学。英語音声学会評議員・同発音表記部会委員。
主な共著・論文:
1.『ジーニアス英和辞典《改訂版》』[発音校閲] 大修館書店。1994
2.『英語学用語辞典』[項目執筆] 三省堂。1999
3.『音声学・音韻論』(<英語学文献解題> 第3巻) [文献解説執筆] 研究
社。近刊
4.英語における /l/ の硬口蓋化と軟口蓋化『甲南大学紀要』文学編 96,
甲南大学。1996
5./r/ の歴史的発達について『甲南英文学』 第11号, 甲南英文学会。
1996
6.英語の異音過程『音韻研究理論と実践』開拓社。1996
7.英語音声学の「常識」再考『英語音声学』 第2号, 英語音声学会。
1998, など。

島 岡  丘 氏
 茨城キリスト教大学教授・筑波大学名誉教授。言語学博士。語学教育研究所
顧問、ELEC顧問。英語発音表記学会(1996年4月〜)会長、国際コミュニケー
ション英語研究所(Institute for
Research in International Communicative English [IRICE,アイリス] ) 代
表。中学英語検定教科書 (Sunshine English Course)著者代表。元 NHKラジオ
英会話講師。
 主な活動:英語発音習得のための母語表記(1990〜)。英語発音熟達度測定と
学会認定(1997〜)。英検講師、ほか。
カナ表記に関する出版物
1.島岡式カナ表記の定着と活用ー英語教育の新しいシステム化に向けて
『茨城キリスト教大学 紀要』第 31号.1997a.
2.英語の発音カナ表記はIPAより優る『茨城キリスト教大学紀要』第 32
号.1998a.
3.『中間言語の音声学ー英語の「近似カナ表記システム」の定着と活用』
小学館プロダクショ ン.1994.
4.『カナ活用:英語のリズムとレダクション』洋販出版.1997b.
5.『川柳で流暢英語のコツを詠む』洋販出版.1998b.
6.『通じる英会話はカタカナで』日本実業出版社.1991.
7.『目から覚えるスラスラ英語』小学館.1999.
8.『カナ活用わかる通じる英会話』創拓社.1995a.
9.『リトルスター英絵辞典』(共著:鳥飼玖美子)1993.
10.『リトルスター英会話辞典』(共著:鳥飼玖美子)1995b.
11.『英語の発音と表記 ― P.Roach来日記念講演』(共編:三上司、レパ
ヴー・マリ)1998c.



From: "SEKIYAMA, Kenji (Sekky)" <>
Subject: [lex] EPWing辞書の検索ソフト {01}
Date: Mon, 22 Feb 1999 11:56:29 +0900

井上さん,

> それより、リーダースのCDrom版、のいんターフェースなんとかしてもらえま
> せんかね。copy、プリントくらい自由にしなくちゃ。言葉は万民の財産なんですよ
> 、研究社さん。

「リーダーズ」のCD-ROM版ですが,バンドルされている検索ソフトは(私の主観では
)使いやすいとは言えないので,DDWinというフリーソフトを使っています。こちら
は,複数タイトルの串刺し検索や,辞書データをハードディスクへ格納可能(そのた
め,大容量ハードディスクがあれば,複数のEPWING,EBのタイトルを,CDをとりかえ
ることなく検索ができる。連装ドライブなどを使うより格段に高速です)であること
,「リーダーズ」on CD-ROM特有の,レーベル検索などで得た見出し語リストをファ
イルに落とせる(トピック別,スピーチレベル別などの語彙リストを作る際に重宝)
など,非常に高機能です。もちろん,検索結果のカット&ペーストも自由にできます
。※ 注,私のこの発言は,著作権法で認められる範囲をこえた複写,印刷を容認,
奨励するものではありません。著作権に関しては,利用される皆さんの判断で対応し
てください。

お試しください。

DDWinは,「窓の杜」http://www.forest.impress.co.jp/ などで最新版(3.X)が手
に入ります。ただし,窓の杜に入っているものはオンラインヘルプなどがついていま
せん(β版??)。Vector (http://www.vector.co.jp)などにもありますが,こちらは
旧版(串刺し検索などはできない)です。そのかわり,ヘルプもついていて,動作も
こちらのほうが安定しています。

p.s.

(私信で失礼いたします)山崎さん,お久しぶりです。以前Word Wide Webでお世話
になりました(TEAの紹介など)。

---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---
SEKIYAMA, Kenji (Aichi Shukutoku University)

E-mail: , (alternative)

"Sociolinguistics is NOT sociolinguistics, but sociolinguistics is
linguistics" (William Labov)
---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---
= Webpage URL: http://members.tripod.com/~sekky =
→「学会発表マニュアル」第3版ができました



From: "Tomohiro Dodo" <>
Subject: [lex] RE: [lex] In other words {01} {02}
Date: Mon, 22 Feb 1999 11:59:42 +0900

井上さん
>
Dodo

>在庫のある書店をご存じでしたらご連絡ください。
>(こんなメールを出すのもどうかと思いますが、日本の書店の実状を知っていただ
>くのもよいことかと。)
>
こちらは名古屋ですから、東京よりはもっと書籍は少ないですよ。「取り寄せ」と
言っても、2通りあると思います。つまり、海外から、と、洋書販売問屋からの2つ
です。海外だったらドツボですね。

私は最初、愛知県豊橋市の精文館書店(0532-54-2345)でこの辞書に出会いました
が、そのときは、まあいいか、と買わず、やはり気が変わって欲しくなり、名古屋の
書店に聞いたところ(私は名古屋在住、名古屋と豊橋は遠いのです)、在庫はなく、
名古屋市内の洋販から取り寄せてもらいました。つまり、モノ自体はあったので、
2、3日で手に入りました。(そのときも書店との間に一悶着あったのですが、それ
はさておき)

ドウデモイイ話をしましたが、上の精文館書店には今もあると思います。八重洲での
取り寄せが2、3週間かかるのなら、ここに送れとtelした方が早いかもしれませ
ん。

では、取り急ぎ、ご連絡まで。



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] There were an estimated 200 million guns〜の数は?
Date: Mon, 22 Feb 1999 12:25:03 +0900

小寺様

井上昇です。

私の読みとりかたが、あさかったのでしょうか。
現時点での私の理解ですが。
1 不可算名詞(いわゆる抽象名詞が多い)もa/anはとるものがある。
2 ただし、単独で取るのは a kindnessのような形。

抽象名詞といわれるものの中でも、aを全く取らないものがある。形容詞であろうと
形容詞句をともなっても。
たとえば、knowledgeはこのたぐい。端的に言えば複数形を取らないもの。95-90年
のtime誌にknowlegesの複数形は一度も現れません。しかし、educationsは多く例が
あります。ということは、educationなどは、単独ではともかく、形容詞あるいは形
容詞句がついた場合にaをとってもおかしくない。

このように理解しております。

いい例かどうかわかりませんが、oxford2から数例をあげておきます。

また機会があればご教示願います。

education

1769 Lett. of Junius vii. 30 An academical education has given you an
unlimited command..of speech.
1976 National Observer (U.S.) 20 Mar. 11/2 You work your ass off for years
so the kid can get a college education.
1936 F. Gerald Millionaire in Memories iii. 71 Travelling through the back
country with Bill Langford was an education, a 礎ushman痴
1936 F. Gerald Millionaire in Memories iii. 71 Travelling through the back
country with Bill Langford was an education, a 礎ushman痴

1968 Listener 31 Oct. 565/3 選s this what you call an education?
blue-rinsed Manhattan matron.
1832 Chambers痴 Edin. Jrnl. I. 226/1 There are very few..who have not
enjoyed the advantages of a classical education.

knowledge
1794 Sullivan View of Nat. I. 89 [He] discovers a very accurate knowledge
of mineralogy.

to have a personal knowledge that is not reciprocal.
-->これはoxford語義説明の項で現れている表現ですが、この場合はthat
以下があるからaがついているということでしょうか?ちょっと
上記の私の説明と矛盾するのですが。

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373


From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] There were an estimated 200 million guns〜の数は?
Date: Mon, 22 Feb 1999 12:54:33 +0900

加藤様

井上昇です。
貴重な情報をいただきありがとうございます。
Colony日本にとっては身につまされる話であり、かつ、英語だけに限らずあらゆる
文化現象とくに宗教などで現れる話です。

伝統的英語(これ自体も歴史的にみて大きな変革を経ていることはあきらかです。
そもそもnullからできた、と私は思っていますから。もっともChomskyなどによると
、「英語国民」は生まれたときから脳味噌の中に、現代英語文法?ROMが入っている
らしいですが。

>
> Masahiro Kodera wrote:
>
> >
ところで,「あらゆる名詞は複数形をとりうる」という点ですが,私は賛成しかね

> >
す.「あらゆる名詞は不定冠詞を伴う可能性がある」というのでしたら,条件付き

> > 賛成いたしますが.以前私もそう考えたことがあり,確かに COBUILDdirect や
Brit
> > ish National Ccorpus には,informations, knowledges, equipments
といった例が
> >
見つかりますが,複数のネイティヴに意見を聞きますと,この3例につきましては

> > 員が全ての例について, not acceptable
とのことでした.この点がコーパスを用い
> > ての研究の怖いところです.
>
> (加藤)この問題については最近興味深い議論がありました:
>
> Samuel Ahulu (1998), "Grammatical variation in international English,"
> English Today 56, Vol. 14, No. 4 (October 1998), pp. 19-25 です.
>
> この人は Cambridge で学位を取った Ghana の研究者ですが,かつて英国の植
> 民地だった "postcolonial" countries では次のような英語は普通だと述べて
> います:
>
> Furnitures are being manufactured.
> They left their luggages at the railway station.
> Tourist accommodations are availabe.
> Can you please give some informations.
>
> X stood on a furniture ...
> X took a luggage ...
> This is just an information about what we have in stock.
>
> Ahulu はこの論文の結論の最後のところで次のように述べています:
>
> We now have a really interesting question: will teachers mark as in-
> correct forms such as:
>
> X stood on a furniture.
> All the luggages were destroyed.
>
> If they are aware that such forms are perfectly normal in the English
> written in postcolonial countries? (p. 25)
>
> 私自身もエジプトの Mubarak 大統領が "McNeil/Lehrer NewsHour" ([NHK BS]
> 7 April 1993) で "many informations" と言っているのを耳にしたことがあり
> ます.
>
> 世界の英語が the English から Englishes へと多様化しつうあるのが現実で
> すが,英文の学術雑誌にこういう英語で書いた論文を投稿すると,"native"
> に校閲してもらうようにという指示がついて返ってくるのが常ですから,これ
> までの「標準」を無視するわけにもいきません.
>
私【井上昇】の見解を言えば、原著者の incorrect forms -->
はすくなくとも"incorrect forms"あるいはso-called
incorrect
formsとする必要があります。ただ、現実の話として、いわゆる「標準」も、戦略と
して無視するわけにはいかないのも事実です。Colony日本の一原住民としては、両
方を別文法、すなわちinternational(future) English, およびLocal
(=traditional)Englishにしたがうものとして、認識しておく必要があると思いま
す(両者にそれほど、大きな差はないものとおもいますが)。こういうことは、各
国で、あらゆる言語で、いつの時代にもあった話だとおもいます。

みなさんはどのようにお考えでしょうか?



From: "Tomohiro Dodo" <>
Subject: [lex] RE: [lex] In other words {01} {02}
Date: Mon, 22 Feb 1999 13:01:22 +0900

inoue-san
(ところで、昔の知り合いのアメリカ人の女の子は、日本語の「...さん」
を-sahnと書いていました)

Dodo

>三省堂の時事英語辞典がお奨めですね。boca-buil用に使えます。書店でごらんにな
れば私の言っていることに同意していただけると思います。

一度、見てみます。

>いつも勧めているので気が引けるのですが、三省堂の漢字引き、逆引き大辞林はい
>かがですか。
>もし、1日あげる、といわれたらこの辞典と蛍光ペンをもって、山手線にのります
>ね。

これも、一度見てみます。

もし、1週間あげる、といわれたら、部屋にこもってNODEを読み切ります。
>NODEはすばらしい。

New Oxford Dictionary of Englishのことですか。(Pardon my ignorance.)Shorter
Oxfordとは別物ですよね。いや、それは当然ですが、やはりOEDの子供ですか。東海
林さんの記事に登場しますね。

そうですか。NODEは、語源重視ですか。語法とか用例はどうなってるのでしょうか。
(いや、お聞きしなくとも、今日見てきます。あればいいんですがねぇ。名古屋は本
がない!最近紀伊国屋が進出しましたが、洋書の方はちょっとがっかり。前からある
丸善の方がまだマシです)

日本の英和辞典・英語教育について、もっと語源とvoca-builをやりなさいというこ
とですね。私は「語源」のことには詳しくない、というか、ほとんどまったく知らな
いのです。たまたま最近、加島祥造の「英語の辞書の話」(初めのやつです)を読ん
だので、辞書の語源欄を眺めるのも悪くない、くらいには思っていますが。というわ
けで、井上さんの考えに、まったくそのとおりですね!とも、いいや違うんじゃない
か、とも何ともよう言いません。

根底にあるのは、「語源を知れば単語は覚えられる」ということですよね(一言で
言ってしまうと)。私はNODEの起源欄を見ていないのでそれがどれほど素晴らしいか
分からないのですが、やはりvocabuilには語源、なのでしょうか。

というのは、LDOCE, OALD, Cobuild, CIDEなどの学習辞典は語源を載せず、定義の順
も頻度順です。英和も、研究社中英和やジーニアスは一行だけ原義を載せています
が、スーパー・アンカー英和などのやさしい辞典では一切記載なし、という現状で
す。つまり、学習者やnon-nativeにはできるだけ語源に触れさせない、そういうもの
は現代の英語を知る上では役にも立たない、と無言で言っているわけです。

まあ、私もどちらかと言えばその考えに近いです。ただ、先に言った通り、語源には
しっかりした知識がないため何とも言えません。

古い話ですが、森一郎の「試験に出る英単語」(今でも持ってます)には、ceed=go
とか書いてあったりして、高校生の目には新鮮でした。まあ、覚えようとはまったく
しませんでしたが。

「英語今日に戦略がない」−これはまったくその通りでございまして、私も予備校で
教鞭を取る一人としてまことに恥ずかしい限りです。

まあ、でもそれはさておき、矛先を高校と文部省に向けましょう。文部省の英語に対
する取り組み方はまったく行き当たりばったりで、最近までは「学問としての英語」
というスローガンでやってきたのに、これからは「しゃべること中心」でいきますか
らヨロシク、ということになっちゃった。じゃあ、今までやってきたことは間違って
いたの?と言いたくなります。でも、そこは一歩譲って、じゃあ、「しゃべる」とい
うことのために何をやっているかと言えば、「オーラル・コミュニケーション」とい
う名前の授業が出来て、文法の授業がなくなった、とこれだけです。

高校生に、オーラルって何やってるの?と聞くと、よくワカンナイ(こんなこと言う
高校生にも十分問題はありますが)とか、ときには英作文やってる、なんて返事が
返ってきます。生徒は当然大学に入りたいから、文法の授業がなくなって泣いてま
す。文部省はコミュニケーションなんだ!と言いながら、センター試験ではしっかり
文法(それも結構面倒なやつです)を出してくるから、結局、受験生は戸惑い、高校
教師たちは右往左往しています。

しかも、実は英語に当てられる授業数は、今年からまた減らされたのですよ。朝日新
聞で愛知学院教授の守誠という人が、いずれは大学受験、そして大学から英語がなく
なるかもしれない、と言っています。子供の人数の少ない今、大学が生き残るために
は「難しい」英語を受験科目からはずして、敷居を低くしなければならないという理
屈です。まあ、そんなことすぐには実現しないでしょうが、それにしても、大卒の人
間が英語が理解できない、という社会が誕生したら日本はどうなるんでしょう。だっ
て、英語が本当に必要となってくるのはこれからではないですか。いいのかなあ、こ
んなことで、と思えてきます。

それにしてもいつのまにみんなそれほど馬鹿になってしまったんでしょうか。たしか
に英語は難しい、数学や日本史などよりも難しいような気がする。全ての科目の中
で、英語だけ「横文字」ですからね。でも、仮にも大学へ行こうっていう連中がお手
上げになるほど難しいとは思えません。ドイツ語やフランス語と比べたら活用は少な
いし。

今日はこの辺りで。


From: "SEKIYAMA, Kenji (Sekky)" <>
Subject: [lex] Etymology and ELT {01}
Date: Mon, 22 Feb 1999 13:34:41 +0900

百々さん,

関山@愛知淑徳大院生です。

> もっと語源とvoca-builをやりなさいということですね。
(中略)
> 根底にあるのは、「語源を知れば単語は覚えられる」ということですよね(一言で言っ
>てしまうと)。私はNODEの起源欄を見ていないのでそれがどれほど素晴らしいか分から
>ないのですが、やはりvocabuilには語源、なのでしょうか。   というのは、LDOCE,
>OALD, Cobuild, CIDEなどの学習辞典は語源を載せず、定義の順も頻度順です。英和も
>、研究社中英和やジーニアスは一行だけ原義を載せていますが、スーパー・アンカー英
>和などのやさしい辞典では一切記載なし、という現状です。つまり、学習者や
>non-nativeにはできるだけ語源に触れさせない、そういうものは現代の英語を知る上で
>は役にも立たない、と無言で言っているわけです。

 語源の知識と英語教育に関してですが,うちの後輩の院生で,語彙習得に関する修
論を書いた人が調査したそうです。英語教育のMLでないので詳細は省きますが,語源
を教えることを含め,様々なストラテジーを比較してみたところ,ごく一部の上級学
習者には語源を教えることと成績の伸びとの間に若干の相関がみられたものの,一般
的なレベルの学習者には,語源を用いて語彙指導をすることは,かなりの負担だった
そうです。海外のEFL/ESL向け英英辞典を始め,日本で発売されている学習辞典が語
源情報を多かれ少なかれカットしているのも,そのような背景があるのかもしれませ
ん。

> 学習者やnon-nativeにはできるだけ語源に触れさせない、そういうものは現代の英語を
>知る上では役にも
> 立たない、

というポリシーがその背景にあるのかどうかは分かりませんが。

 私個人としては,よほど英語という「コトバそのもの」に関心のある学生ならとも
かく,普通の高校生,大学生は(私も昔はそうでしたが),新しい単語の語源を教え
ても,「そんなこと知ってどうするの?」という反応を示す者が大半でしょうから,
語源を,学校英語教育という一斉授業においてフルに取り入れることには消極的です
。英語教育の目的が「英語ファン」「英語愛好者」養成のためでなく,4技能を身に
つけるなり,異文化理解の精神を養うなりというものである以上,致し方ないでしょ
う。
 もっとも,曜日や月の名前や,'dandelion'のように,言語的側面以外からも興味
深い歴史のある語彙は,語源を与えることも,記憶を促進する上で有益でしょう。こ
のように,ごく限られた語彙に関しては,かなり初級レベルの英和辞典(「アプロー
チ英和辞典」など)でも語源情報を載せています。あるいは,プログレッシブのよう
な上級学習辞典では,リーダーズほどではないにせよ,かなりの単語に語源情報が載
っています。ですから,高校で教える際なども,語源に関心のある学生にはそのよう
な辞書もすすめています。ランダムの第2版やプログレッシブの語源記述は,約束事
が少ない(「<」とか「*」等の記号や言語名の略称が少ない)ので,私のような歴
史言語学のアマチュアにとっては重宝しています。

------------------------------
Kenji Sekiyama (ASU)

Email:
------------------------------
*1/28夕方から1/31までは
へお願いします*


From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] RE: [lex] In other words {01} {02}
Date: Mon, 22 Feb 1999 14:06:06 +0900

Dodoさんへ

井上昇です。

New Oxford Dictionary of Englishのことですか。(Pardon my
ignorance.)Shorter Oxfordとは別物ですよね。いや、それは当然ですが、やはり
OEDの子供ですか。東海林さんの記事に登場しますね。

別です。Shorterも良いですが。

そうですか。NODEは、語源重視ですか。語法とか用例はどうなってるのでしょうか。
(いや、お聞きしなくとも、今日見てきます。あればいいんですがねぇ。名古屋は本
がない!最近紀伊国屋が進出しましたが、洋書の方はちょっとがっかり。前からあ
る丸善の方がまだマシです)
いやNODEだけでなく、Oxfordの伝統です。どんな小型辞典にもついています。ただ、
NODEは、せつめいのしかたがこれまでより親切かなと。細かくはないですが。

語源重視は、研究社も引き継いでいるように思うのですが。ちがうのでしょうか。

日本の英和辞典・英語教育について、もっと語源とvoca-builをやりなさいというこ
とですね。私は「語源ヌ?:ぢのことには詳しくない、というか、ほとんどまったく知らな
いのです。たまたま最近、加島祥造の「英語の辞書の話」(初めのやつです)を読
んだので、辞書の語源欄を眺めるのも悪くない、くらいには思っていますが。という
わけで、井上さんの考えに、まったくそのとおりですね!とも、いいや違うんじゃな
いか、とも何ともよう言いません。

べつに語源がなければ始まらないというわけでもありません。しかし、ある程度以
上単語を増やすためには語源以外に手がありますか?英語版のどのVocabuil本
をみても、語源から覚えろと書いているでしょう。Colonyの人間が対等に太刀打ち
するには徹底的にやる、しかないとおもいます。日本人が日本の漢字を覚えるときも
パターン認識をするでしょう。さんずいとか、にんべんとか。書けなくてもだいた
いの意味は分かりますよね。これの一種だと思いますよ。ちなみにDodoさんに是非
、みてほしいのは、研究社のハルペーン著新漢英字典です。これを出版しただけで
も研究社はえらい。

Colonyでどのように高速、効率をもとめて英語を習得できるかは、必要としている
人が考えるべきで、CollinsとかOxfordに依存するわけにはいかないと思います。
わたしの採ってきた方法は、
1 分野別に覚える
私の場合、通信、コンピューター、機会、物理。この分野は有無を言わさず全部覚
える。 あと、経済、哲学、政治、社会などの基本語も有無を言わさず全部覚える。


シソラスあるいはボキャビル本など、あるいはTime誌などでわからないものをメモ
あるいはマークして、用例とともに自分の声でテープに吹き込み、繰り返し聞く。
そのあと、違う色の蛍光ペンでもういちど、覚えているかどうかチェックする。

講談社の学習辞典、英和中辞典の2445ページから2454ページまでをごらんにな
ってください。語根と関連単語がのっています。これを眺めただけでも語源によるvo
cabuilが必須であることがご理解いただけるのではないでしょうか。日本や英語圏
の出版社がどう考えるかではなく、英語が必要な人が、自分にどういう方法が適し
ているかを真剣に考えるべきであり、道を定めたらその道を徹底してやることだと
思います。

英語教育については、またいずれ。

根底にあるのは、「語源を知れば単語は覚えられる」ということですよね(一言で
言ってしまうと)。私はNODEの起源欄を見ていないのでそれがどれほど素晴らしい

分からないのですが、やはりvocabuilには語源、なのでしょうか。

というのは、LDOCE, OALD, Cobuild,
CIDEなどの学習辞典は語源を載せず、定義の順
も頻度順です。英和も、研究社中英和やジーニアスは一行だけ原義を載せています
が、スーパー・アンカー英和などのやさしい辞典では一切記載なし、という現状で
す。つまり、学習者やnon-nativeにはできるだけ語源に触れさせない、そういうも
のは現代の英語を知る上では役にも立たない、と無言で言っているわけです。

まあ、私もどちらかと言えばその考えに近いです。ただ、先に言った通り、語源に
はしっかりした知識がないため何とも言えません。

古い話ですが、森一郎の「試験に出る英単語」(今でも持ってます)には、ceed=go
とか書いてあったりして、高校生の目には新鮮でした。まあ、覚えようとはまった
くしませんでしたが。

「英語今日に戦略がない」−これはまったくその通りでございまして、私も予備校
で教鞭を取る一人としてまことに恥ずかしい限りです。

まあ、でもそれはさておき、矛先を高校と文部省に向けましょう。文部省の英語に
対する取り組み方はまったく行き当たりばったりで、最近までは「学問としての英語」
というスローガンでやってきたのに、これからは「しゃべること中心」でいきます
からヨロシク、ということていたの?と言いたくなります。でも、そこは一歩譲って、
じゃあ、「しゃべる」ということのために何をやっているかと言えば、「オーラル・コ
ミュニケーション」という名前の授業が出来て、文法の授業がなくなった、とこれ
だけです。

高校生に、オーラルって何やってるの?と聞くと、よくワカンナイ(こんなこと言
う高校生にも十分問題はありますが)とか、ときには英作文やってる、なんて返事が
返ってきます。生徒は当然大学に入りたいから、文法の授業がなくなって泣いてま
す。文部省はコミュニケーションなんだ!と言いながら、センター試験ではしっか
り文法(それも結構面倒なやつです)を出してくるから、結局、受験生は戸惑い、高
校教師たちは右往左往しています。

しかも、実は英語に当てられる授業数は、今年からまた減らされたのですよ。朝日
新聞で愛知学院教授の守誠という人が、いずれは大学受験、そして大学から英語がな
くなるかもしれない、と言っています。子供の人数の少ない今、大学が生き残るため
には「難しいヌ?:ぢ英語を受験科目からはずして、敷居を低くしなければならないと
いう理屈です。まあ、そんなことすぐには実現しないでしょうが、それにしても、大卒の
人間が英語が理解できない、という社会が誕生したら日本はどうなるんでしょう。だ
って、英語が本当に必要となってくるのはこれからではないですか。いいのかなあ、
こんなことで、と思えてきます。

それにしてもいつのまにみんなそれほど馬鹿になってしまったんでしょうか。たし
かに英語は難しい、数学や日本史などよりも難しいような気がする。全ての科目の中
で、英語だけ「横文字」ですからね。でも、仮にも大学へ行こうっていう連中がお
手上げになるほど難しいとは思えません。ドイツ語やフランス語と比べたら活用は少
ないし。

今日はこの辺りで。



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] Etymology and ELT {02}
Date: Mon, 22 Feb 1999 14:35:26 +0900

関山様、Dodo様

言葉の数を増やすことは、商売に直結するという私の職業からVocabuilの話につい
力を入れましたが。

ただ、TIME誌や、Internetによってえられるまともな情報はすべてが英語である現
状を考えると、生存のための道として、こういう方法はどうかと、お奨めしているわ
けです。それほど、英語を必要としない人でも、たとえば、田代まさお著「語源中心
英単語辞典」南雲堂などを使用すれば、効率的に単語をマスターし、いったん覚え
ると忘れない、という点で効果が大いにあるとおもっています。
これは、外国人が漢字を覚える場合に無規則に覚えるのと、ヘンやツクリべつに片
っ端から覚えるのでどちらが効率的かということにも通じます。
語源を利用しないで、たとえばTIME誌などにしょっちゅう出てくる
intact < NOT + 接触 contact
inveterate < VETER あるいはベテランからの類推
などをどう覚えるのですか。逆に、語源をおよびカタカナ英語などを動員すれば、
このような単語を中学三年生でも覚えらます。さらに
The fragile parcel arrived intact.
An inveterate smoker
などのぴったりくる用例でだめをおせば、この単語を忘れろというほうがむりです。
用例も重要で、この言葉しかないという用例を挙げている例が多すぎるように私
は思います。上記の例は、実例から抜いたものですが、このことばを
覚えた後は、いままでよくこの単語なしで済ませてきたな、という気にさせます。
そのような用例を抽出するためにコーパスはあるとおもいます。

いま電話が八重洲ブックセンターからあり、In Other
Wordsに在庫があったようです。私の念力の勝利です!?
(ついにオカルトの世界に!)

井上

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373


From: SATO Hiroaki <>
Subject: [lex] (TECH:) DOS-based on-line Dictionary {02}
Date: Mon, 22 Feb 1999 15:33:54 +0900

SEKIYAMA, Kenji (Sekky) wrote:

> を持っていますが,ほかにご存じでしたらご教示下されば幸いです。とくに,EPWING
> のCD-ROM辞書(電子ブック含)をDOS上で検索できるソフト(DDWinのDOS版のような
> もの)を探しています。あるいは,EPWING辞書の本文データをテキストに落とせるよ
> うなユーティリティがあれば,それでもかまいません。CGA/XT互換なので,VGAベー
> スのソフトや80386以上向きのものは動きませんが,辞書ソフトならそこまで要求す
> るものは少ないでしょう。

cdrom2がいいと思います。dosでもlinuxでも動きます。

http://www.nerimadors.or.jp/~jiro/cdrom2/index.html

私の作ったRebLin:
http://www.senshu-u.ac.jp/~thc0408/reblincall.html
は、cdrom2のソースコードを参考にして、linux, mac, windows95で動くようにプログ
ラミング言語perlで書き直したものです。

EPWING辞書の規格は、それほど複雑ではありません。頭の軟らかい大学院生ならば、半
年で理解できます。現在、RebLinでは、英語の自動辞書引きしかできませんが、フラン
ス語、ドイツ語の「難しい」単語の自動辞書引きも簡単に(といっても、数週間かかり
ますが)実現できます。

ある程度外国語の読める者には、不完全な機械翻訳の訳文よりも、「難しい」単語にル
ビが振ってある方が助かります。この分野の研究は、結構、役に立つような気がしま
す。

--
(SATO Hiroaki)
http://www.senshu-u.ac.jp/~thc0408/
〒214-8580 専修大学8号館8411研究室
佐藤弘明 専修大学・商学部・助教


From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] RE: [lex] EPWing辞書の検索ソフト {01} {01}
Date: Mon, 22 Feb 1999 16:11:45 +0900

関山様

井上昇です。

リーダース辞書の検索方法をお教えいただきありがとうございます。

いつか試してみます。ちなみに私は、リーダースは電子ブック版も購入しており、
現在はこちらを使用しています。
日本語からの検索などはできませんが、リーダースを和英として使うには限界があ
り、和英中辞典の
カプリングされている専用電子ブック版は、辞書切り替え、熟語、用例もそれなり
の速度で行えるので、重宝しています。とくに、米国の政府機関、人名、地名が+
には多くは言っているので、これがなければ困るくらいに活用しています。
本題からはそれましたが。

お礼まで



From: kazuo kato <>
Subject: [lex] bears notについて {02}
Date: Mon, 22 Feb 1999 17:18:59 +0900

高柳様:

加藤@岩手医大です.

Takayanagi Katsushige wrote:
>
>  かなり前の模試の問題です。
> Little can we do that is free from our culture's influence, and
> virtually nothing can we find that bears not culture's stamp.
> (出典 John Condon "Cultural Barriers.")
>
> 後半の部分のbears notですが、なぜ、does not bearではないのでしょうか。
>
> (1)研究社College Lighthouseのnotの項
> 語法-ただし、文語や詩では動詞の後に直接notをつけることがある。
> (Bolinger), (Ilson)
> 例文: Ask not what your country can do for you-ask what you can do for
> your country. (Kennedy大統領の言葉)
> (Geniusには、この種の注は、ついていないようです。)
>
> (2)「〜をもっている」いう意味で、have の否定が have notという形をとるこ
> とがありますが、他の動詞でも生じるのか。
> (この文のbearの意味がhaveと同じような意味だと思うので、個人的な類推で
> す)
>
> (1)か(2)の理由であろうと思うのですが、動詞の後にnotが来る理由について、
> 御教示いただければ幸いです。

(加藤)これは (1) の理由でしょう."研究社College Lighthouseのnotの"
情報はその通りだと思いますが,これが,古風な表現 (archaism) を文体上の
理由で意図的に用いたものであるという情報があればもっとよかったと思いま
す.
別な例を挙げます:cometh も archaism ですが,これは comes という形で
は得られない連想を持たせるために現代英語でも使うことがあります.例えば,
BNC [British National Corpus] (http://thetis.bl.uk) の簡易検索では次の
ような例が見つかります:

Age cometh to us all.
The draughtsman cometh.
The Ice Man cometh for Britain's ex IBF champ.

簡易検索では文脈までは検索できませんから,文脈はよくわかりません.しか
し,これらがいずれも comes という形では表現できない,ある文体的な効果を
意図したものであることは否定できません.(なお,最後の例は多分 Eugene
O'Neill の劇の題名 The Iceman Cometh (1946) を踏まえたものでしょう.)

また,この模擬試験の文章が模擬試験としてふさわしかったかどうかの判断
は控えますが,この Condon の原文 (1979年出版,南雲堂)は昔教科書として
使ったことがあるので,興味を覚えました.次の2文はこの本の引用ですが,
これらの例の文頭の倒置はかなり文語調です.そういう文体ですから,この場
合 does not bear よりも bears not のほうがふさわしかったのではないでし
ょうか.私は native ではありませんが,この文の does not bear には bears
not の「荘重さ」がないような気がします.

A paradox this seems to be: those who might best afford to travel
to learn are so often those who can afford to avoid learning once
they travel. (p. 52)

Barriers there will always be, but what appears to us as a barrier
today may serve us as a guidepost and landmark tomorrow. (p. 53)

ついでながら,"研究社College Lighthouse" が引用している Kennedy の文
は大統領就任演説のたしか最後の方の文句で,レコードやテープを聞いても,
かなり芝居がかったものです.これで,日本語の演説の中に歌舞伎のせりふを
まぜるような効果が出るのだと思います. 

なお,上の (2) ですが,to bear the stamp of ... はよく用いられる連語
ですから,この bear が have と互換可能であると断定するのにはちょっと抵
抗を感じます.



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] bears notについて {03}
Date: Mon, 22 Feb 1999 18:51:09 +0900

加藤様、高柳様

加藤さんのご指摘に関してですが。
動詞とnotの倒置形、古い動詞が使用される根拠は、聖書と教会ではないでしょうか

つまり、教会に行けば、牧師が説教をする。その文体は、KIng James
Versionの聖書でしょうから。
現代語訳?の聖書も多く出ていますが、権威をつけるには、古いものが喜ばれ、小
さい頃教会に
通った人たちはこんな形が出てもなんら驚かないのではないか、と。
逆に言えば、教会に全く行かない人にはたとえ、米国人であれ、とけ込めないので
は。という
ことですが。

O'neilの例を加藤さんはあげておられます。私はこの劇?小説?がどんなものか全
く知りません。
しかしこの表題を見ると、

Behold, thy King cometh unto thee with justice and salvation;

という、聖書の決まり文句?のcomethをたちまち思い出します。(IcemanとはLord/K
ingのParodyですか?)
大統領が倒置形を使用するのも、教会でそのような文体に国民が慣れている、とい
う想定なのではないでしょうか。

あるいは、詩や文学などを通じて、日本の高校生が古文を習うのと同じ流儀で、国
民がマスターしている
との想定なのでしょうか?

ところで、上記の古形は、何の注もなく試験にでるのですか?いやはや、大変です
ね、日本の受験生も。

井上昇



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] 文法の変化について {01}
Date: Tue, 23 Feb 1999 11:05:51 +0900

みなさま

千葉県、井上昇です。

わたしが会社に入社して数年のころ。25年前くらいです。
1 ButとかAndとかを、センテンスの最初に使用してはならない。
2 -ing形は複数形すなわち、ingsをとらない。

などと、いう英文法の「常識」が「まかり」通っていました。いつぞやは、英語訓
練講師(いわゆるnative)とこの点で、激論した覚えがあります。followingsだっ
たか、findingsだったか忘れましたが、わたしは実例をみていましたので。

今日では、上記の1,2ともたとえばTIME誌などには毎ページに少なくとも一回はあら
われると言う状況になっています。最近、可算名詞、不可算名詞の話が本MLで話
題になったので、例のFranklin社電子辞書のワイルドカード機能を使用して
*ings
*tions
*ments
などを、調べてみましたが、ヒット数が多すぎ、速度の遅い辞書では調査にならな
いためです。これらの語尾は動詞についてan instance of
actionを表すものでにたような正確があります。ただし、TIME誌などをみても、現
在頻繁に用いられる
followings, findings 昨日来話題になっているeducationsなど
のほかに、論理的にはともかく、現実的に、-sをとらない場合があります。私のも
っている95-90年TIME誌の全文ROMによれば、ですが。

多くの方は、上記1,2の取り扱いは、過去数十年に大きな変化を受けたことに同意な
さると思うのですが、これは、
どのような過程で、そうなったのかを示した調査なり、書籍は存在しないものでし
ょうか。あるいは、いや、それほど大きな変化は、おこっていないと思われる方は
、その根拠などをお示しいただければありがたいとおもいます。

個人的には、加藤さんがお示しになられた、ムバラク大統領のように、informations
は全く正当な表現であり、使用したいとおもっています。つまり、情報というのは
かならず、物理的な形態をとるものであり、極言すればイメージでも、脳味噌のな
かの電子的排列変化として物理的な一定形態をとるものですから。大統領はfactsと
同じ意味に使用しておられるものと思います。私が個人的にはこの使用法に同意し
ながらも実際上の翻訳の仕事で使用しない理由は非常に簡単です。informationsと
かequipmentsなどを使用すれば、職を失う可能性が非常に高いからです。子供にこ
ういう形があると教えると、試験の回答にそのまま使用する可能性があり、少なく
とも日本では、現実的な不利益を被るからです。ムバラク大統領がへいきでこうい
う表現を取るのは、これにより不利益を被る可能性がほとんどないからです。
加藤さんなり、英文論文投稿者がこういう表現を、ご使用にならないのも(かりに
この複数表現をみとめられたとして)おっしゃるように、レフリーなどのチェック
があるからです。

コーパスから、ある結論を導き出すに当たっては、こういう点を無視してはならな
いと思います。

そこで、And、Butについてですが。すくなくとも、学校文法では上記の1は?です。
著名な江川泰一郎、英文法解説にはまったくふれられていません。学習辞典にも2,3
当たってみた結果:
a ランダムハウス大英和では、andの19項目!、ほぼどん尻の説明として、And the
Load said unto
Moses.を引用し、聖書などの古い文語体に多く見られるが、現代英語の談話文章に
おいてもしばしば行われている。->語法、として語法解説があります。いわく「and,
butの両方とも、またしばしばsoも、全文からの受け継ぎを示す語として、しばしば
文頭に用いられる(文例省略、井上)」。
この記事直訳臭いから、RandomHouse原本でもそうなっているのか??
b 研究社 New College 6には説明なし、andの項。
c
上記ランダムハウスの系統をひく、小学館プログレッシブでは、本編の立項はなく
、語法欄に、aと同じ説明に加えて、「なお、平叙文で疑問を表す場合、接続詞で始
まることが多い:And you still plan to marry
him?(で、やっぱり彼と結婚するつもりなの)」 この説明に関する限り、ラ大英和
よりbetter。余談であるが、これでもわかるように、学習英和辞典がいわゆる大辞
典(ランダムハウス大英和を大辞典というには抵抗があるが)より、説明が詳しか
ろう、と想定するのは、全く誤り。たんに語数が多く、その文説明が貧弱なのが、
日本における大辞典の実状。
d
講談社英和。少し昇格して、最期から3項目に説明、いわく「<導入的>そして、そ
れにまた、それから、じゃあ。(略。会話の例。- How are you? Fine, thank you.
And(how are)you? - And you
actually)」ようは、交互でのみ使用するといいたいのだろうが、これはTIME誌など
、現実の使用形態を反映していないのでは?

そこで、例のNOEDの登場です。
全体で3項の説明のうち、2項につぎのような説明と例。
2 used to introduce an additional comment or interjection: (以下実例)- if
it came to a choice- and this was
the worst thing - she would turn her back on her parents.
(日本人なら関係代名詞を使って四苦八苦しそうな文もandを使えばさらりと切り抜
けられるという、さすが、の実例。TIME誌はおろか、論文誌にも使用できるのでは)
さらに
■used to introduce a question in connection with what someone else has
just said: "I found the bag in her bag.""AND did you steam it
open?"■(especially in broadcasting) used to introduce a statement about a
new topic:
"and now to the dessert" うーん!
まだまだつづきます。Usageとして、つぎの説明。訳します。
「and(but
やbecauseも)のような接続詞【副詞じゃないのこの場合、井上】を文頭で使用して
はならない、とする教え方、使用法が以前として広く行われている。つまり、andで
始まる文は、不完全な考え、したがって不正であるとする考え方。しかし、シェー
クスピアの時代から、最近のDavid
Lodge【「小説の技巧」というおもしろい本が一昨年出版された、井上】)、さらにNY
Tブックレビューに登場するライターは、この規則を平気で無視してきた。つまり、a
ndを文の頭から使うのである。これにより、ふつう、レトリカルな効果をねらって
いる。例:What are the government's chances of
winning in court? AND what are the consequences? 【この呼吸!】
NOEDの説明は以上。

さて、最後にCollins。さすが、ですね。NOEDに勝るとも劣らぬ説明です。Collins
の勝ち、かな。3項にわけてたっぷり説明があります。
まず7項で、ungramaticalであるとする考えがあること。8項で、会話において、直
前のことばに直ちに質問をなげかけるとき。AND
now?など。9項で、broadcasters(日本で言えばパーソナリティ、というやつでしょ
うか)やアナウンスをおこなう者が話題をかえるとき。AND now the drought in
Sudanあるいは、Football, AND Aston Villa will reclaim their lead at the top
of the English First Division.
7項、8項の実例は省略。内容的には、NOEDと同じです。

。。。という具合です。

かなり長くなりましたが、お聞きしたいのは、このように一部にungramaticalであ
るといいながら、informationsや
equipmentsのように超破格でもない。TIME誌などにはジャンジャン使用されている
表現は、教育界ではどのように扱われているのですか。And/Orは論文などには認め
られているのですか。米国ではOKであるが、nature/economistではrareであるとか
。お暇でしたらお調べいただけたらありがたいです。また、こういう話題に関する
書籍とか、ホームページはないのでしょうか。米国の大学系ホームページにはあり
そうですが。英米あるいは"colony"系の英語における特徴などもお教えねがえれば
参考になります。

ちなみに、私は、仕事上は、使い分けています。つまり、仕様書などには使わない
。ただし、挨拶原稿などには使う、などという風に。

ではまた。

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] RE: 文法の変化について 変換ミスのお詫 {01}び
Date: Tue, 23 Feb 1999 11:18:34 +0900

みなさま
井上/千葉です

上記の記事、変換ミスがありました。
交互 -->口語
以前として-->依然として

あいかわらず読みにくい文章ですみません。

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373
>



From: Minoru Moriguchi <>
Subject: [lex] 英和辞典うらおもて {01}
Date: Tue, 23 Feb 1999 13:09:20 +0900

井上様:

森口と申します。
少しタイミングがずれてしまいましたが、どなたからも書き込みがない
ようなので、調べてみました。

>はなしは全く異なるのですが、岩波新書黄版 忍足欣四郎「英和辞典うらおもて」
>に「あらゆる名詞は複数形をとりうる」という私にとっては非常に力強い宣言?を
>見いだした記憶があります。informations,
>equipmentsなども複数形を取りうる可能性があるといわれているのか
>どうか、たとえば。
>この新書は現在絶版のようですが、もしお持ちの方があったら暇な折り、どういう
>文脈でいっておられるかお調べいただければ幸いです。 

お話の記述は、5章「編集の実際」の「名詞の可算・不可算」のところに
あります。忍足氏は、英和辞典編集の際の名詞の可算・不可算について
OALDやLDOCEを参考にできると述べた後、次のように続けておられます。

「しかし、これらの辞書に収録されていない古い、または特殊な語や語義、
 アメリカ特有の語や語義の場合には、自分で多くの文例を集めて決定せざるを
 得なくなる。それに、これらの表示【可算・不可算の表示】には物事を
 割り切りすぎる危険性がある。例えば、どんな名詞(いわゆる物質名詞・
 抽象名詞も含めて)でも理論的には複数形を取り得るのであって、たいていの
 辞書で不可算とされているgeometry「幾何学」も「幾何学の一体系」の
 意味でならば可算になるのではないだろうか。」

以上、御参考になれば幸いです。

--
Minoru Moriguchi
Technical Communicator
Personal Computer Division
SHARP Corporation



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] RE: [lex] 英和辞典うらおもて {01} {01}
Date: Tue, 23 Feb 1999 14:16:50 +0900

森口様

表記記事の、ご調査、紹介ありがとうございました。井上/千葉県です。

この本を、廃棄するわけはなく、田舎【広島】に送り返していると確信し、先日、
田舎に住む弟に
倉庫探しを依頼したところでした。非常に短い記述であったことはおぼえています
ので、
メールでいただいた箇所ですべてだと思います。あらためて、このように言い切れ
るだけの、確信に
いたるまでの、忍足氏の精進をおもって感激している次第です。

感謝を込めて

>
> お話の記述は、5章「編集の実際」の「名詞の可算・不可算」のところに
> あります。忍足氏は、英和辞典編集の際の名詞の可算・不可算について
> OALDやLDOCEを参考にできると述べた後、次のように続けておられます。
>
> 「しかし、これらの辞書に収録されていない古い、または特殊な語や語義、
>  アメリカ特有の語や語義の場合には、自分で多くの文例を集めて決定せざるを
>  得なくなる。それに、これらの表示【可算・不可算の表示】には物事を
>  割り切りすぎる危険性がある。例えば、どんな名詞(いわゆる物質名詞・
>  抽象名詞も含めて)でも理論的には複数形を取り得るのであって、たいていの
>  辞書で不可算とされているgeometry「幾何学」も「幾何学の一体系」の
>  意味でならば可算になるのではないだろうか。」
>

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373



From: kazuo kato <>
Subject: [lex] 英和辞典うらおもて {02}
Date: Tue, 23 Feb 1999 15:39:01 +0900

森口様:

加藤@岩手医大です.

Minoru Moriguchi wrote:

> >はなしは全く異なるのですが、岩波新書黄版 忍足欣四郎「英和辞典うらおもて」
> >に「あらゆる名詞は複数形をとりうる」という私にとっては非常に力強い宣言?を
> >見いだした記憶があります。informations,
> >equipmentsなども複数形を取りうる可能性があるといわれているのか
> >どうか、たとえば。
> >この新書は現在絶版のようですが、もしお持ちの方があったら暇な折り、どういう
> >文脈でいっておられるかお調べいただければ幸いです。 
>
> お話の記述は、5章「編集の実際」の「名詞の可算・不可算」のところに
> あります。忍足氏は、英和辞典編集の際の名詞の可算・不可算について
> OALDやLDOCEを参考にできると述べた後、次のように続けておられます。
>
> 「しかし、これらの辞書に収録されていない古い、または特殊な語や語義、
>  アメリカ特有の語や語義の場合には、自分で多くの文例を集めて決定せざるを
>  得なくなる。それに、これらの表示【可算・不可算の表示】には物事を
>  割り切りすぎる危険性がある。例えば、どんな名詞(いわゆる物質名詞・
>  抽象名詞も含めて)でも理論的には複数形を取り得るのであって、たいていの
>  辞書で不可算とされているgeometry「幾何学」も「幾何学の一体系」の
>  意味でならば可算になるのではないだろうか。」
>
(加藤)忍足氏の発言のうち「どんな名詞でも」という一般論は,記述の対象
の英語を英米のいわゆる「標準英語」ないし「共通英語」に限定すると少し強
すぎたと私は思います.

かなり古いことになりますが,「英語教育」(大修館書店)1984年12月号の
投書欄に「Bamboo の複数形―百科事典の『辞典』としての利用―」(p.86)と
いう文を書いたことがあります.
これは百科事典の索引をコーパスとして利用できるという趣旨の文章でした
が,そのなかで次のように書きました:

また,Carroll, John B. (1978), "Continuous/Discrete: A reinterpreta-
tion of the mass/count feature of English common nouns," in Jazayery
et al. (eds.), Linguistics and Literary Studies in Honor of Archibald
Hill (Mouton), Vol. 2 [ISBN 90-279-7727-5], pp. 19-30 はかなり大規模
な用法調査であるが,information などのように単数形または複数形のどち
らかにしか用いない名詞は少数であり,大多数はどちらにも用いるという結
論に達している.ただ,不可算名詞として用いる場合はその名詞の連続量と
しての性質を強調し,可算名詞として用いる場合は分離量としての性質を強
調するとしている.その典型的なケースは次のような場合であろう.

It is because I like lambs that I don't like lamb. (Allan, Keith
(1980), "Nouns and countability," Language 56, p. 565)

 別便で書いたように,"postcolonial English" では informations という形
が普通に行なわれるとしても,informations と書いて国際誌に論文の掲載を断
られるよりは,s を外しておくほうを私は選びます.この種の規範はその是非
を争ってもしかたのないことが多いような気がしますので.



From: Minoru Moriguchi <>
Subject: [lex] 英和辞典うらおもて {03}
Date: Tue, 23 Feb 1999 16:41:47 +0900

加藤先生:

シャープ・森口です。

>> 「しかし、これらの辞書に収録されていない古い、または特殊な語や語義、
>>  アメリカ特有の語や語義の場合には、自分で多くの文例を集めて決定せざるを
>>  得なくなる。それに、これらの表示【可算・不可算の表示】には物事を
>>  割り切りすぎる危険性がある。例えば、どんな名詞(いわゆる物質名詞・
>>  抽象名詞も含めて)でも理論的には複数形を取り得るのであって、たいていの
>>  辞書で不可算とされているgeometry「幾何学」も「幾何学の一体系」の
>>  意味でならば可算になるのではないだろうか。」
>>
>(加藤)忍足氏の発言のうち「どんな名詞でも」という一般論は,記述の対象
>の英語を英米のいわゆる「標準英語」ないし「共通英語」に限定すると少し強
>すぎたと私は思います.
・・・
> 別便で書いたように,"postcolonial English" では informations という形
>が普通に行なわれるとしても,informations と書いて国際誌に論文の掲載を断
>られるよりは,s を外しておくほうを私は選びます.この種の規範はその是非
>を争ってもしかたのないことが多いような気がしますので.

おっしゃるように確かにこの種の規範の是非を争っても仕方のないことだと
思います。ごく単純に考えれば、受信の場合と発信の場合で我々の態度を変え
ざるを得ないということでしょうか。そして受信・発信と分けてしまえば、
加藤先生のように教育者の立場であっても、井上さんのように翻訳者の
立場でも変わりはないように思えます。付け加えるならば、自然言語処理と
いう観点からみても、これは同じです。私自身、英日機械翻訳用の専門用語
辞書を作成していた際、やはりほとんどすべての名詞に複数形を持たせました。
たとえ規範としてある名詞の複数が禁止されていたとしても、その複数形を
含んだ文が入力され、それを翻訳できなかった場合、翻訳システムの側の問題と
捉えられてしまうからです。しかし、もし、逆に日英翻訳システム用の辞書を
作っていたとしたら、やはり、規範通りに複数形のない名詞も設定していた
のではないだろうかと想像します。

--
Minoru Moriguchi
Technical Communicator
Personal Computer Division
SHARP Corporation



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] RE: [lex] 英和辞典うらおもて {03} {01}
Date: Tue, 23 Feb 1999 19:05:22 +0900

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373

井上/千葉です。

加藤さんから、森口さんあてメールに関するコメント

> > 別便で書いたように,"postcolonial English" では informations という形
> >が普通に行なわれるとしても,informations と書いて国際誌に論文の掲載を断
> >られるよりは,s を外しておくほうを私は選びます.この種の規範はその是非
> >を争ってもしかたのないことが多いような気がしますので.
>
> おっしゃるように確かにこの種の規範の是非を争っても仕方のないことだと
> 思います。ごく単純に考えれば、受信の場合と発信の場合で我々の態度を変え
> ざるを得ないということでしょうか。そして受信・発信と分けてしまえば、
> 加藤先生のように教育者の立場であっても、井上さんのように翻訳者の
> 立場でも変わりはないように思えます。付け加えるならば、自然言語処理と
> いう観点からみても、これは同じです。私自身、英日機械翻訳用の専門用語
> 辞書を作成していた際、やはりほとんどすべての名詞に複数形を持たせました。
> たとえ規範としてある名詞の複数が禁止されていたとしても、その複数形を
> 捉えられてしまうからです。しかし、もし、逆に日英翻訳システム用の辞書を
>含んだ文が入力され、それを翻訳できなかった場合、翻訳システムの側の問題と

> 作っていたとしたら、やはり、規範通りに複数形のない名詞も設定していた
> のではないだろうかと想像します。

=============

井上です。私は、是非を争って仕方のないことだとは思いません。是非を争う、と
いうことばは
正確にいう必要があります。この種の規範が合理的(注)であるかどうかを議論す
ることは
仕方がないどころか大いに意味のあることだと思います。ただし、仕方がない、と
いうことを、
規則を変える力にはなり得ないから、仕方がないということならそのとおりですが
、議論する
ことは、かりに規則を変えるに至らなくても有用であると私は考えていますので。

一般的に言って、議論して仕方のない、あるいは議論することが認められない規範
は世の中に存在しないというのが私の立場です。宗教的な規範あるいはドグマは別
でしょうが。(文法規範と宗教規範とは別だというのが私の認識)文法は、通信の
ための道具であり、世界(認識されたる世界、および、人間の意識)が変われば
自動的に変わるべき、正確には変えていくべきだと思っています。
すくなくとも変わってくれたほうが個人的な実益に合致し、同時に、公益にも合致
する
という意味で合理的(注)であると思われる「規範項目」が存在と考えています。
ただ、
このMLが議論する場であるかどうかはまったく別問題ですが。
もちろん、議論したくないというひとはいても当然です。かつ、議論すること自体
が、
既存の規範にしたがうことを、まったくさまたげるものでもありません。

したがって、私は、両氏の意見を「争っても仕方がないことであるかどうかを、争
っても仕方がない」というふうに解釈して、同意します。「一般的に、争っても仕
方がないこと
である」という意味ならば、同意しません。

両氏の意見は厳密に言えば同じでないようですし、少し単純化していますのでご容
赦を。

注:この場合、合理的とは、文法の成果物あるいは目的をそこなわないかぎり、規
則の数は最小におさえる、くらいの意味です。【といっても、目的が合意されてい
なければあまり意味はないのですが】

以上、私の立場表明。当然、どなたの同意を求める筋合いのものではありません。

**ついでですが、文法事項を議論するときに、ungramaticalということばが時々使
用されますが、現在の文法自体の妥当性を議論しているときに、あるいは、文法規
定を意図的に変えたいという議論をしているときに、ungramaticalである、というqu

alificationは使用してはならないとおもいます。憲法の規定が妥当であるかを審議
するときに、新案が現憲法に違反している、と唱えているようなものですから。illo

gicalである、あるいは、unpracticalである、という言い方ならばよろしいとおも
いますが。-->本件とは関係直接関係はありませんが。

===============

この場を借りて、朝出しましたメールの訂正。NOEDの引例に意味不明の文章があっ
たと思います。わたしの
引用ミスです。つぎのように訂正します。ミスの多いメールを出したことをお詫び
いたします。

■used to introduce a question in connection with what someone else has
just said: "I found the bag in her bag.""AND did you steam it
open?"
....--> I found the letter in the bag. ....のあやまりです。:

以上



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] -ingsについて {01}
Date: Tue, 23 Feb 1999 19:20:31 +0900

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373

MLの皆様
千葉県/井上

午前のメールと重なるところが多いのですが。

午前中のメールでAnd/Orの議論を紹介しましたが、個人の仕事として、あるいは
かなりのかたが遭遇していらっしゃると思われる ing形が複数形を取るかどうか
という問題についてお知恵を拝借したいと思います。

*ingsの形式が許されている動詞と、許されていない動詞があります。
findings、followingsなどは認められており、processingsは認められていません。

しかもこの記述は、あまり辞書には現れていないようです。かりに現れていてもこ
れを個々に
覚えるのはかなり大変な労力です。現実には、Wordなどのスペルチェッカーにおま
かせしている状態です。

どういう基準でsをつけるか、つけないかという規則のようなものがあるのでしょう
か。
(私には、まったく規則がなく恣意的にきめられている、としか思えないのですが
。)
どなたか、これに関する情報、参考資料などをご存じでしたら紹介ください。
なお、ing形にかぎらず、...mentとか、...tionなどの語尾を持つことばも同様です

よろしくお願いします。



From: Takayanagi Katsushige <>
Subject: [lex] bears notのお礼 {01}
Date: Tue, 23 Feb 1999 21:36:25 +0900

井上様、佐久間様、加藤様、bears notについてご教示ありがとうございまし
た。
3年ぐらい疑問に思っていたことが解けました。

問題文になっていたJohn Condonの文の他の部分は口語調の部分も多く、bears
not の部分が自分の理解を超えていました。(その箇所については注はふってあ
りませんでした。)比喩が絶妙で、個人的に好きな文章でしたので質問した次第
です。



From: kazuo kato <>
Subject: [lex] -ingsについて {02}
Date: Wed, 24 Feb 1999 09:37:03 +0900

井上様:

加藤@岩手医大です.

時間がなくてこの前のメールを拝見していないので,もし誤解があったらお許し
ください.

noboru inoue, mr wrote:

> 午前中のメールでAnd/Orの議論を紹介しましたが、個人の仕事として、あるいは
> かなりのかたが遭遇していらっしゃると思われる ing形が複数形を取るかどうか
> という問題についてお知恵を拝借したいと思います。
>
> *ingsの形式が許されている動詞と、許されて「ない動詞があります。
> findings、followingsなどは認められており、processingsは認められていません。
>
> しかもこの記述は、あまり辞書には現れていないようです。かりに現れていてもこ
> れを個々に
> 覚えるのはかなり大変な労力です。現実には、Wordなどのスペルチェッカーにおま
> かせしている状態です。
>
> どういう基準でsをつけるか、つけないかという規則のようなものがあるのでしょう
> か。
> (私には、まったく規則がなく恣意的にきめられている、としか思えないのですが
> 。)
> どなたか、これに関する情報、参l資料などをご存じでしたら紹介ください。
> なお、ing形にかぎらず、...mentとか、...tionなどの語尾を持つことばも同様です
> 。

(加藤)processings が認められないのは,processing がいわゆる「質量名詞」
(mass noun) で,「分離量」としては扱われないからだと思います.money も
特殊な経済学的な用法以外では「質量名詞」としてしか用いられません.つま
り,momneys (monies は別)という形は例外的です.これに対して,
finding や following は可算名詞で「分離量」扱いだから正規の複数形があ
ると普通は言われているように思います.

ついでながら,動詞から派生した -ing 形名詞には複数形はありえないとい
う規則があると述べておられたように思うのですが,私は聞いたことがありま
せん.どこかの文法書に書いてあるのでしょうか?

以上,取り急ぎ.



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] -ingsについて {03}
Date: Wed, 24 Feb 1999 10:13:25 +0900

加藤様

千葉県の井上です。
さっそくのご回答ありがとうございます。

>
> (加藤)processings が認められないのは,processing
がいわゆるヌ☆ぢ質量名詞」
> (mass noun) で,「分離量」としては扱われないからだと思います.money も
>
特殊な経済学的な用法以外ではヌ☆ぢ質量名詞」としてしか用いられません.つま
> り,momneys (monies は別)という形は例外的です.これに対して,
> finding や following は可算名詞で「分離量」扱いだから正規の複数形があ
> ると普通は言われているように思います.

そこまではわかるのですが、これはトートロジーではないでしょうか。
いいかえれば、findingsが、findした結果あるいは成果物であるのと同じく、proces
singもprocessした結果である
ととらえれば、ingsをとってもよいではないか、というのが、私の質問であり(か
なり、困難な質問であることは、
重々承知していますが)ます。いいかえれば、動詞ing形の名詞を、分離量としてす
べてとらえることができるはず
であるのに、何故取らないのか。これを説明する合理的理由はなになのか、をしり
たいということです。もちろん、理由など全くない、というのも一つの答えですが
。いちおう、つきつめて考えておこうとおもいまして。

>
> ついでながら,動詞から派生した -ing 形名詞には複数形はありえないとい
> う規則があると述べておられたように思うのですが,私は聞いたことがありま
> せん.どこかの文法書に書いてあるのでしょうか?

これは、私の推定です。文法書をみているわけではありません。おそらく、上記の
加藤氏の説明にとどまっているのであれば、この説明に納得のいく人は皆無であろ
うというのが私の推測です。端的にいって、findingsはOK、processingsはNG、xxx
はOK,
yyyはNGなどと、個々に覚えるのは無駄な努力と私にはおもえます。統一原理があれ
ば(これを称して文法といいます。個々に覚えなければならないのでは「無文法」
です)、個々のprogressive
formについて覚えずにすむだけでも、多大な労力の節約になるとおもわれます。い
いかえれば、任意の動詞が提出されたとき、これがingsをとるかとらないかを、ど
うやってきめるのでしょうか。辞書にその都度あたって、どういう用法が可算名詞
か、非可算名詞かをそのつど調べなさい、というのは過酷なかつ無駄の多い作業に
おもえます。

加藤さんの質問にかえりますと、たとえば、この数十年、以前、ingしかとらなかっ
た動詞も、だんだん、ingsをとるようになってきたのではないか、というのが推定
なのです。すくなくとも、上記のように主張していたnativeは数人いましたから(
なにもこれが絶対的な根拠にはなりませんが、私をして上記の推定にいたらしめた
根拠の一つにはなっています)。もし、そうであれば、つぎに、このように変化し
た理由は何なのか、が知りたい。そうすると、類似条件が
みたされれば、全動詞にわたって同一条件が適用できる、ということになります、
可能性として。このような、見通しは
現実の不便をたちまち解消させませんが、文法なるものの説明となります。こうい
う調査は文法に対する信頼感を増しこそすれ、減ずるものではないと確信していま
す。

少々余計なことを述べました。



From: Minoru Moriguchi <>
Subject: [lex] -ingsについて {04}
Date: Wed, 24 Feb 1999 12:05:51 +0900

シャープ・森口です。
-ings について、議論を広げすぎる危険があるのですが、若干思うところを
述べさせて頂きたいと思います。

>> ついでながら,動詞から派生した -ing 形名詞には複数形はありえないとい
>> う規則があると述べておられたように思うのですが,私は聞いたことがありま
>> せん.どこかの文法書に書いてあるのでしょうか?
>
>これは、私の推定です。文法書をみているわけではありません。おそらく、上記の
>加藤氏の説明にとどまっているのであれば、この説明に納得のいく人は皆無であろ
>うというのが私の推測です。端的にいって、findingsはOK、processingsはNG、xxx
>はOK,
>yyyはNGなどと、個々に覚えるのは無駄な努力と私にはおもえます。統一原理があれ
>ば(これを称して文法といいます。個々に覚えなければならないのでは「無文法」
>です)、個々のprogressive
>formについて覚えずにすむだけでも、多大な労力の節約になるとおもわれます。い
>いかえれば、任意の動詞が提出されたとき、これがingsをとるかとらないかを、ど
>うやってきめるのでしょうか。辞書にその都度あたって、どういう用法が可算名詞
>か、非可算名詞かをそのつど調べなさい、というのは過酷なかつ無駄の多い作業に
>おもえます。
>
>加藤さんの質問にかえりますと、たとえば、この数十年、以前、ingしかとらなかっ
>た動詞も、だんだん、ingsをとるようになってきたのではないか、というのが推定
>なのです。すくなくとも、上記のように主張していたnativeは数人いましたから(
>なにもこれが絶対的な根拠にはなりませんが、私をして上記の推定にいたらしめた
>根拠の一つにはなっています)。もし、そうであれば、つぎに、このように変化し
>た理由は何なのか、が知りたい。そうすると、類似条件が
>みたされれば、全動詞にわたって同一条件が適用できる、ということになります、
>可能性として。このような、見通しは
>現実の不便をたちまち解消させませんが、文法なるものの説明となります。こうい
>う調査は文法に対する信頼感を増しこそすれ、減ずるものではないと確信していま
>す。

井上・加藤両氏のこの議論を拝見しておりまして、私はもう少し別の角度から
考えてみました。井上氏の求める仮説は、-ings を取る動詞には何らかの意味的
もしくは統語的共通点があるのではないか、ということだと理解しています
(間違っていたら申し訳ありません)。しかし、私はそれについては疑問が
あり、理由は以下の通りです。

この問題を inflectional ending と derivational ending の問題として考えて
みればどうなるのでしょうか。御承知のように、通常inflectional ending が
derivationaol ending より前に着くことはありません。

agreements - *agree-s-ment
computerized - *computer-ed-ize

しかし、inflectional ending が単語の一部として受け入れられてしまった場合、
この逆転が起ります(report-ed-ly)。この -ings についても、同様に
考えられないでしょうか。-ing までを一つの単語として認知されているときには
複数形をとり得、そうでないときは不可能(何か当たり前の結論かもしれませんが)。

もちろん、上述の考え方には「一単語としての認知」をどう定義づけるかという
大問題があるのですが、これはいわゆる文法の方からではなく、認知言語学、
心理言語学といった方面からのアプローチの方が適切ではないかと思います。
その上で、一単語として認知されている語に共通点があるかどうかがわかれば
井上氏の仮説に対する一つの回答が出るように思われます。

--
Minoru Moriguchi
Technical Communicator
Personal Computer Division
SHARP Corporation



From: kazuo kato <>
Subject: [lex] -ingsについて {04}
Date: Wed, 24 Feb 1999 13:32:08 +0900

井上様:

加藤@岩手医大です.会議と会議の間に書いていますので意を尽くさないとこ
ろがあるかもしれません.

noboru inoue, mr wrote:
>
> そこまではわかるのですが、これはトートロジーではないでしょうか。
> いいかえれば、findingsが、findした結果あるいは成果物であるのと同じく、proces
> singもprocessした結果である
> ととらえれば、ingsをとってもよいではないか、というのが、私の質問であり(か
> なり、困難な質問であることは、
> 重々承知していますが)ます。いいかえれば、動詞ing形の名詞を、分離量としてす
> べてとらえることができるはず
> であるのに、何故取らないのか。これを説明する合理的理由はなになのかAをしり
> たいということです。もちろん、理由など全くない、というのも一つの答えですが
> 。いちおう、つきつめて考えておこうとおもいまして。

(加藤)私は,人工言語ならいざ知らず,自然言語においては論理的な説明を
拒否するような現象があります.よく知られていることですが,ドイツ語とフ
ランス語では太陽と月の文法的性が逆になっています.外国人学習者はこれを
リストとして覚えるしかしようがありません.そういう事情が processings と
findings の差にもあるのではないかということです.
英語の名詞で,なぜ one sheep, two sheep は OK で,one lamb, two lamb
がだめかと問い詰められても,あまりすっきりした答えは出ないのではないで
しょうか.

> > ついでながら,動詞から派生した -ing 形名詞には複数形はありえないとい
> > う規則があると述べておられたように思うのですが,私は聞いたことがありま
> > せん.どこかの文法書に書いてあるのでしょうか?
>
> これは、私の推定です。文法書をみているわけではありません。おそらく、上記の
> 加藤氏の説明にとどまっているのであれば、この説明に納得のいく人は皆無であろ
> うというのが私の推測です。端的にいって、findingsはOK、processingsはNG、xxx
> はOK,
> yyyはNGなどと、個々に覚えるのは無駄な努力と私にはおもえます。統一原理があれ
> ば(これを称して文法といいます。個々に覚えなければならないのでは「無文法」
> です)、個々のprogressive
> formについて覚えずにすむだけでも、多大な労力の節約になるとおもわれます。い
> いかえれば、任意の動詞が提出されたとき、これがingsをとるかとらないかを、ど
> うやってきめるのでしょうか。辞書にその都度あたって、どういう用法が可算名詞
> ゥ、非可算名詞かをそのつど調べなさい、というのは過酷なかつ無駄の多い作業に
> おもえます。
>
外国語としての自然言語の習得にはそうした「苦役」がつきものだと考えてき
ました.

> 加藤さんの質問にかえりますと、たとえば、この数十年、以前、ingしかとらなかっ
> た動詞も、だんだん、ingsをとるようになってきたのではないか、というのが推定
> なのです。すくなくとも、上記のように主張していたnativeは数人いましたから(
> なにもこれが絶対的な根拠にはなりませんが、私をして上記の推定にいたらしめた
> 根拠の一つにはなっています)。もし、そうであれば、つぎに、このように変化し
> た理由は何なのか、が知りたい。そうすると、類似条件が
> みたされれば、全動詞にわたって同一条件が適用できる、ということになります、
> 可能性として。このような、見通しは
> 現実の不便をたちまち解消させませんが、文法なるものの説明となります。こうい
> う調査は文法に対する信頼感を増しこそすれ、減ずるものではないと確信していま
> す。
>
自然言語はいろいろやっかいなところがありますが,また,そこがおもしろいと
いうか challenging なところでもあります.
>
> > 以上,取り急ぎ.
> >
> >



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] -ingsについて {05}
Date: Wed, 24 Feb 1999 13:33:52 +0900

森口様

千葉県井上です。
ご意見ありがとうございます。

私にはおっしゃっている意味がすぐにはよくのみこめないので、もう少し考える時
間を
いただきますが。

ただし、

> もちろん、上述の考え方には「一単語としての認知」をどう定義づけるかという
> 大問題があるのですが、これはいわゆる文法の方からではなく、認知言語学、
> 心理言語学といった方面からのアプローチの方が適切ではないかと思います。
> その上で、一単語として認知されている語に共通点があるかどうかがわかれば
> 井上氏の仮説に対する一つの回答が出るように思われます。

まさに、。。。認知をどう、(誰が?)定義づけるこそ、きいているのですが。

文法からでなく。。。。もちろんです。文法は、成果物であり、それを定めるには
文法以外の、数々の事実と、論理が必要だと思います(ちょっとおおざっぱですが
)。
かりに認知、心理、数理、xx, yy言語学を動員したとしても最終的には文法書に
反映されるということでようのですか。

いまや、世界に分布する国際語としての英語ユーザーに伝えることになるのでしょ
う。
いずれにしてもこれらの言語学は経験的epistemological?な学問であり、規範的norm

ative?
な学問ではないということでよいですか?

まえにもどりますが、inflectional ending/derivational
endingという区分も経験的に=偶然的に
できあがったものですね。この動詞は、i型であるか、d型であるかを、きめるルー
ルが無い限り。
この区分はすべての動詞に自明なものとして付随しているのでしょうか?
そうでなければ、呼び方を変えただけで
可算名詞、不可算名詞とおなじでtautologyの世界に落ち込むわけです。

加藤さんはmoneyの例を挙げておられましたが葡萄酒を貨幣代わりにしていた時代で
あればmoneyを
べったり型名詞と思っていたかもわかりませんがすでに、moneyはすべてcomputer管
理されている時代であり
完全にdigitalです。すくなくとも両方の使用法があったほうが、事実に即していま
す。=新しい学習者にとって
簡単にマスターできるという意味。これゆえに、moneysを認める、というような決
め方は森口さん風にいえば、
認知言語学の理論なのですか?

ちなみに、英語国民族になれば(日本も来来世紀にはこうなるかも)、辞書を見な
くても
inflectional/derivationalの区分は脳内にbuilt-inされており、辞書をreferする
ひつようなど無いのでしょうね。-->半分冗談。実際はどうなんですか?nativeは
どうやって判断するのですかこの二つを。経験的にですか?学校で教えるのですか

英語世界に住んでいれば「英語的世界観」が身に付き自ずと判断できるようになる
のですか。
このへんの常識をきいてみたいですね、機械翻訳者グループには。

ps
私見によれば、世界にdigitalでないものは、なにも無いとおもいます。
脳の活動自体がdigitalであり、世界の構造がdigitalなのですから。
これと上記の話はとりあえず関係ありませんが。

referのため、これまでのmail最後につけたままにします。

〔井上(島根大学)注:これは省略します〕

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373


From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] -ingsについて {05}
Date: Wed, 24 Feb 1999 13:50:33 +0900

加藤様

千葉県/井上です。

だいたい、加藤さんの言われている趣旨はわかりました。
これで議論はほぼ打ち留めに近いと思います。森口さんには伺いしたいことがあり
ますが。

以下は私見。

ただし、厳密に言えば、「自然言語」なるものはなく、言語は、すべて「人工言語
」であるということです。
われわれが今使っている言葉が、平安時代、奈良時代、江戸時代、明治時代、の言
語とは異なっている
理由を考えれば明らかです。英語でも同じだと思います。
一朝一夕に言語はchangeできないというのは、俗説であり、政治力を持ってすれば
あっというまに
変わると思います。名詞から男性、女性をなくしすべて中性にするなどと言うこと
も含め。(わたしが、いま
議論していることはこんな大がかりなものでは全くありませんが)

すくなくとも現在は「自然言語」というよりは「管理言語」になかばなっていると
おもいます。わたしに
言わせれば、真の意味の、自然言語にせよ、ということです。

これからの、いわゆる「自然言語」とこれからの、いわゆる「自然言語」を、こと
なった環境に
おいていいのではないかということは、optionとしておいたほうが良いと思います

以上



From: Minoru Moriguchi <>
Subject: [lex] -ingsについて {06}
Date: Wed, 24 Feb 1999 14:58:12 +0900

井上様:

シャープ・森口です。

>> もちろん、上述の考え方には「一単語としての認知」をどう定義づけるかという
>> 大問題があるのですが、これはいわゆる文法の方からではなく、認知言語学、
>> 心理言語学といった方面からのアプローチの方が適切ではないかと思います。
>> その上で、一単語として認知されている語に共通点があるかどうかがわかれば
>> 井上氏の仮説に対する一つの回答が出るように思われます。
>
>まさに、。。。認知をどう、(誰が?)定義づけるこそ、きいているのですが。

恐らく色々な実験方法があるのだと推測します。この辺りはどなたか詳しい方が
いらっしゃれば、御教示お願いしたいところです。

>文法からでなく。。。。もちろんです。文法は、成果物であり、それを定めるには
>文法以外の、数々の事実と、論理が必要だと思います(ちょっとおおざっぱですが
>)。
>かりに認知、心理、数理、xx, yy言語学を動員したとしても最終的には文法書に
>反映されるということでようのですか。

辞書にだけ反映されるか、文法書にも反映されるかは、一単語として認識される
動詞に何らかの規則性が見られるかどうかにかかっているのではないでしょうか。

>いまや、世界に分布する国際語としての英語ユーザーに伝えることになるのでしょ
>う。
>いずれにしてもこれらの言語学は経験的epistemological?な学問であり、規範的norm
>
>ative?
>な学問ではないということでよいですか?

そのように理解しています。

>まえにもどりますが、inflectional ending/derivational
>endingという区分も経験的に=偶然的に
>できあがったものですね。この動詞は、i型であるか、d型であるかを、きめるルー
>ルが無い限り。
>この区分はすべての動詞に自明なものとして付随しているのでしょうか?

世の中の多くのカテゴリーは、ある意味で経験的に出来上がったものだと
思われますので、inflectional ending と derivational ending の区分も
その例外ではないかもしれません。ただ、英語の動詞は通常すべて inflectional
ending を取り得ますので、i型とd型というように動詞を区分することは
できないのではないでしょうか。

>そうでなければ、呼び方を変えただけで
>可算名詞、不可算名詞とおなじでtautologyの世界に落ち込むわけです。

仮に -ing 形が derivational ending を取り得る動詞は、すべて、
-ing 形が一つの名詞として認識されていると仮定しても、今度は
その名詞をすべて可算と考えて良いかどうかという問題は、たしかに
残ります。

>加藤さんはmoneyの例を挙げておられましたが葡萄酒を貨幣代わりにしていた時代で
>あればmoneyを
>べったり型名詞と思っていたかもわかりませんがすでに、moneyはすべてcomputer管
>理されている時代であり
>完全にdigitalです。すくなくとも両方の使用法があったほうが、事実に即していま
>す。=新しい学習者にとって
>簡単にマスターできるという意味。これゆえに、moneysを認める、というような決
>め方は森口さん風にいえば、
>認知言語学の理論なのですか?

実験によって多くの native speaker が moneys を正しく認識できるならば
moneys は認められるべきだと思います。

>ちなみに、英語国民族になれば(日本も来来世紀にはこうなるかも)、辞書を見な
>くても
>inflectional/derivationalの区分は脳内にbuilt-inされており、辞書をreferする
>ひつようなど無いのでしょうね。-->半分冗談。実際はどうなんですか?nativeは
>どうやって判断するのですかこの二つを。経験的にですか?学校で教えるのですか
>?
>英語世界に住んでいれば「英語的世界観」が身に付き自ずと判断できるようになる
>のですか。
>このへんの常識をきいてみたいですね、機械翻訳者グループには。

そうですね、人間にとっての常識のようなものを機械に入れて利用できれば
よりよい翻訳結果が出てくるはずです。ところが、それをどうやって組み込むか
が大問題で、機械翻訳の技術者たちは四苦八苦していたようです。
(最近は、あきらめて別の方向に向かっているようですが。)

--
Minoru Moriguchi
Technical Communicator
Personal Computer Division
SHARP Corporation



From: "NISHIMURA Tadamasa" <>
Subject: [lex] RE: [lex] An estimated 1,000 guerrilla {01}s were ....他の記述
Date: Wed, 24 Feb 1999 16:17:18 +0900

an estimated pl. について

>> > したがって,理論的には,estimated だけを特別扱いする理由はなく
>> > なると思 いますが,いかがでしょうか.

に説明のつくものではありませんが、『The New Fowler's MEU 3rd』
(1996) の a, an の項目にある 「記述」 があるので引用いたします。

a, an - 9 _A grammatical oddity_. The indefinite article has been
used with nouns of multitude (_a thousand selected men_, . . . ) for
centuries. What seems to be a fairly recent extension of this use
is the type indef. article + adj. + pl. noun (usu. preceded by a
large number): _The police found themselves confronted by an
estimated two hundred youths_; It [sc. a stone dyke] was an
astonishing 30 feet wide, six feet high and 500 yards long._.

なお、これは 2nd (1965) にはありませんでした。

西村 公正



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] RE: [lex] In other words {01} {02}
Date: Wed, 24 Feb 1999 16:55:01 +0900

Dodo sahhhn
井上/千葉です。

In Other Wordsについて

問題点の多い辞典なのでどうすれば改善されるかを書いてみます。あくまで私見で
す。
批評するには1日くらい書けるのがほんとでしょうが。時間がないので。ちょっと見
ただけですが。

1
語彙が少ないこと。かつ、選択基準が不明であること。見出しに、abscondが入って
いて、なぜwrongが入っていないのか。など。


前書きはok.すべての言葉は異なる。ある文脈にぴたりと当てはまる言葉はひとつし
かない、など。


引く方からすると、見出しのみで、....を見よ、という二段階になるcaseが多くな
るので、利用頻度が下がる。
時間がもったいない。したがって、読む辞典として、数時間で一挙に読んでおしま
い、という使い方になる。


読む辞典として使用するには、。。。を見よ、という見出し?は不要。これを全部
削除して、最後に索引をつけるべきである。たとえば、
lather See entries for foam, sweat
となっているから、latherは2箇所でreferされている。一般的に複数回referがあり
そうだから、索引にして、大見出し+
pageとしたほうが便利では。資源の無駄遣いをさけ、早く引ける。一挙両得。ある
いは見出しを増やす。

だいたい以上です。わたしは、読む辞典として使用します。

比較の対象にはならないでしょうが、Roget' 21st Century
Thesaurusと内容を比較してみます。

本書にはwriteの大見出しにつぎのreferenceがあります。おのおのの単語に、write
のqualificationと例文があります。
たとえば、inscribe = carefully write something on a
surfaceなどのように。したがって適語をさがせるという
メリットがあります。
inscribe, jot, record, print, scrawl, scriblble

21stにはこのようなサービスはありません。
write v. =put language down on
paperのあとに、約50個の類似語がならんでいるだけです。もちろん上記の
5個は入っていますが、jotはjot
downとしています。例文がないことの代償として50個の類義語が並んでいる。
どっちを取るか、という問題ではないとおもいます。21stでぴったりくる単語
をみつけてもその意味や使用法を
知っていない場合はCollinsなどで確認する必要があります。本書の場合、多少ぴっ
たりこなくても、まあいいや、ということで、上記の5つのどれかで我慢すれば例文
がおまけでついてくる、ということですね。
私は、21stをとります。なぜかというと、語数が少ないため、当たり外れに合う可
能性が高い、からです。時間がもったいない。
ところで、writeの類似語として掲げてある下記の語は作文にもよくつかいます。受
験生にも必要と思われるのですがいかがですか?意味は微妙にずれます。おのおの
の単語が適所をもっていますから、間違えると??をつけられますが。
address, author*, communicate, compose*, create*,draft*, print, record,
reproduce, rewrite, sign,
write down, write up

このような単語は作文でもよく使いますので、のせておく必要があると思います。*
はとくによく使用。

ちなみに、Activatorをみると、上記の5個はのっています。とくに、take
downとか、jot down, make downなど
動詞句が充実していること、また、関連名詞、副詞句がのっている。text, words,
manuscirptなど
in writing、on
paper。目配りがきいています。作文をするばあい、書く、という意味を表すときに
、このような
周囲環境?用語が必須となりますから。

以上



From: kazuo kato <>
Subject: [lex] -ing の複数形(訂正) {01}
Date: Wed, 24 Feb 1999 17:09:57 +0900

加藤@岩手医大です.

お恥ずかしい次第ですが,訂正です.今朝次のように書きました:

> (加藤)processings が認められないのは,processing がいわゆる「質量名詞」
> (mass noun) で,「分離量」としては扱われないからだと思います.money も
> 特殊な経済学的な用法以外では「質量名詞」としてしか用いられません.つま
> り,momneys (monies は別)という形は例外的です.これに対して,
> finding や following は可算名詞で「分離量」扱いだから正規の複数形があ
> ると普通は言われているように思います.

"momneys" はもちろんミスタイプです.また,"(monies は別)" も拙速でし
た.
NODE のよると,moneys と monies は同じものです.BNC [British National
Corpus] には moneys の例がたくさんあります.しかし,これは不可算名詞
(質量名詞)としての money とは区別すべきものだと思われます.

以上,拙速をお詫びすると同時に訂正します.



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] -ingsについて {07}
Date: Wed, 24 Feb 1999 17:33:08 +0900

森口様

井上/千葉県

おねがいがあるのですが、inflectinal ending/derivational endingをもすこし
わかりやすく説明してください。最初にお願いすべきだったのですが、わたしの
誤解があるようで、これに関する今までの発言はとりあえずresetします。
申し訳ない、かつ、よろしく。

それと、上記に関係なく、私がも森口さんの考えに反対の点はつぎの1点。

> 実験によって多くの native speaker が moneys を正しく認識できるならば
> moneys は認められるべきだと思います。

1 native
speakerとはだれのことですか?具体的に。文法に関してもさまざまな理解の仕方が
ある
ときに、しかも、native=英語を公用語と認めている国の文部大臣諮問委員会、みた
いなものですか具体的には。
singapore、phillipineなども入るのですか?

これはまず、日本語のことは、日本人にきけ、というのと同じことで、話にならな
い議論であると思われます。
日本人が、日本の文法のauthorizerであるなどとはいえないでしょう。

もうひとつ。現在の文法で管理された人は、新しい言葉の使用法に対する認知は当
然おくれるわけです。
natural selectionもfittest for
suvivalも起こらないわけですから。いわば、動物園で生まれた動物の認知度を
検査して、野生の動物のルールを見つけるようなモンだと思いませんか。この点に
関する限りは、normativeに
しなくては、ならないと思います。体制はここでは論じませんが。あまり議論して
も仕方がないので、事実として
この50年で変動したと思われる特定文法項目が受け入れられてきた過程、推進要素
、妨害要素などの調査結果があれば、とおもっているのですが。単に、pollingによ
る調査よりは、こちらのほうが私には興味があります。

以上



From: kazuo kato <>
Subject: [lex] RE: [lex] An estimated 1,000 guerrilla {01}s were {01}....他の記述
Date: Wed, 24 Feb 1999 17:55:25 +0900

西村先生:

加藤@岩手医大です.情報ありがとうございました.

NISHIMURA Tadamasa wrote:
>
> an estimated pl. について
>
> に説明のつくものではありませんが、『The New Fowler's MEU 3rd』
> (1996) の a, an の項目にある 「記述」 があるので引用いたします。
>
> a, an - 9 _A grammatical oddity_. The indefinite article has been
> used with nouns of multitude (_a thousand selected men_, . . . ) for
> centuries. What seems to be a fairly recent extension of this use
> is the type indef. article + adj. + pl. noun (usu. preceded by a
> large number): _The police found themselves confronted by an
> estimated two hundred youths_; It [sc. a stone dyke] was an
> astonishing 30 feet wide, six feet high and 500 yards long._.
>
> なお、これは 2nd (1965) にはありませんでした。
>
なるほど,Burchfield も "A grammatical oddity" と言っているわけですね.
私はここは見ませんでした.



From: Minoru Moriguchi <>
Subject: [lex] -ingsについて {08}
Date: Wed, 24 Feb 1999 18:57:47 +0900

井上様:

森口です。

>おねがいがあるのですが、inflectinal ending/derivational endingをもすこし
>わかりやすく説明してください。最初にお願いすべきだったのですが、わたしの
>誤解があるようで、これに関する今までの発言はとりあえずresetします。

実は私も書き送ってから自分の論旨が少し錯綜していたかなと反省していた
ところです。論旨の整理も兼ねてもう一度述べさせて頂きたいと思います。

まず、お尋ねの2語ですが、実は今手元に資料がなく訳語に自信がなかったので
英語のまま使いました(英語の資料はたまたまあるんですが)。恐らく
inflectional ending = 屈折語尾、derivational ending = 派生語尾だと
思います。内容としては、inflectional ending には、動詞の変化形、名詞の
複数形などが含まれ、derivational ending には、-ly, -ment, -less などの
接尾辞含まれます。

次に井上さんの仮説ですが、
「ある動詞の -ing 形に -s が着くかどうかは、その動詞の意味または統語的な
特徴によって決まる」
と考えてよろしいですね。

それについては、私はそういった特徴を求めることはできないのではないかと
考えました。その辺りは加藤先生のお考えに賛成です。

で、そういった特徴を求めることはできないのではないかという自分の仮説を
検証する方法論として、inflectinal ending と derivational ending の実験が
ありえるのではないかと考えました。具体的には、任意の動詞を選んで、
それに inflectional ending である -ing を付ける。次に、適当な derivational
ending、たとえば、-ly を付ける(この derivational ending の選択も難しい
と思いますが)。そういった人工的に作った単語を集めたリストを作り、
十分な数の native speaker(後述します)に見せ、accept できるかどうかを
判断してもらう。そのリストの中で accept されたものは -ing が付加されて
いる状態で一つの単語として認識されたと考え、-ings を取る可能性が存在する。
accept されなかったものは -ings をとりえないと判断できる。

実はここまでは第一段階で、本当はそうやって一つの単語として認識された
後に、また別のスクリーニングが必要だということは、前のメッセージでも
書いたつもりです。

自分ではこういうことを言いたかったはずなんですが、非常に分かりにくい
言い方になってしまい、申し訳ありません。まだすっきりしているという
自信がないし、上記の実験は素人の私が考えたものなので、多分、認知言語学等
を専門とする方は、もっと洗練された方法をお持ちなのだと想像します。

賛成、反対はともかく、私の主旨がお分かり頂けたでしょうか。

>> 実験によって多くの native speaker が moneys を正しく認識できるならば
>> moneys は認められるべきだと思います。
>
>1 native
>speakerとはだれのことですか?具体的に。文法に関してもさまざまな理解の仕方が
>ある
>ときに、しかも、native=英語を公用語と認めている国の文部大臣諮問委員会、みた
>いなものですか具体的には。
>singapore、phillipineなども入るのですか?

さて、この native speaker については、確かにちょっと安易な使い方を
してしまったかもしれません。ただ、これはどこまでの範囲を調べよう
とするかによって変ってくると思います。そういう意味では恣意的に
ならざるを得ないでしょう。-ings について、世界英語(そういう言い方
があるかどうか知りませんが)を調べるならば、英語を母語とする様々な人々を
集める必要があるでしょうし、逆に、ある国だけに限ってその国の -ings を
調べるということもできると思います。

>もうひとつ。現在の文法で管理された人は、新しい言葉の使用法に対する認知は当
>然おくれるわけです。
>natural selectionもfittest for
>suvivalも起こらないわけですから。いわば、動物園で生まれた動物の認知度を
>検査して、野生の動物のルールを見つけるようなモンだと思いませんか。

この点については、特殊な条件でインフォーマントを集めるのでなければ
井上さんのおっしゃるような懸念はないのではないかと思います。
認識の違いかもしれませんが、我々はそこまで文法で管理されているのでしょうか。

>この50年で変動したと思われる特定文法項目が受け入れられてきた過程、推進要素
>、妨害要素などの調査結果があれば、とおもっているのですが。単に、pollingによ
>る調査よりは、こちらのほうが私には興味があります。

私もそういった要素には非常に興味があります。恐らく最近の最も大きな要素は、
日常語にも浸透しつつあるパソコン関係語法でしょうか。

以上、長くなって申し訳ございません。

--
Minoru Moriguchi
Technical Communicator
Personal Computer Division
SHARP Corporation



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] -ingsについて {09}
Date: Wed, 24 Feb 1999 20:28:42 +0900

森口様

井上/千葉県です
> まず、お尋ねの2語ですが、実は今手元に資料がなく訳語に自信がなかったので
> 英語のまま使いました(英語の資料はたまたまあるんですが)。恐らく
> inflectional ending = 屈折語尾、derivational ending = 派生語尾だと
> 思います。内容としては、inflectional ending には、動詞の変化形、名詞の
> 複数形などが含まれ、derivational ending には、-ly, -ment, -less などの
> 接尾辞含まれます。

ほぼ了解。つぎのような不規則変化はどうなるのですか?inflectというイメージで
ないのですが?特に過去形は。
go->went->goneもinfrectional formですか?

>
> 次に井上さんの仮説ですが、
> 「ある動詞の -ing 形に -s が着くかどうかは、その動詞の意味または統語的な
> 特徴によって決まる」
> と考えてよろしいですね。
いえ、ちがいます。下記の文法があるべき姿だと思います。一歩譲って、もしings
をとったりとらなかったり
するばあい、何らかの基準をつくるべきだとおもうのです。たとえば、a-kで始まる
動詞にはつける、l-zで始まる動詞にはつけない、とか。そうすれば、辞書をそのた
びに引く必要はないでしょう。これを統語的な決め方というのでしょうか。
あるいは、生物が取る動作にはつけるけれども、自然動作にはつけないとか。-->こ
れは内容なしの文です。あくまで例として。無規則に、辞書にきけ、辞書にそう書
いてある理由はわからない、-->認知言語学者に聴けという、はなしにはならないの
ではないですか?

まず、まえもって-ingsのあるべき私設文法を示します。
1 動詞はすべてing形を名詞として取る。 -ingは、現在認められているとおり
a. - an instance of action
> b. - a product of the action
の意味を持つ。

2 -ing形は、すべて複数形を取る 上記a. bの意味の場合。

以上です。非常にシンプルであり、現在の文法をこう変えた場合の利害得失はいろ
いろあるでしょうが
効果のほうが多いことは自明であると思います。


> それについては、私はそういった特徴を求めることはできないのではないかと
> 考えました。その辺りは加藤先生のお考えに賛成です。

そうすると、「英語世界観」のauthorized
holder(s)にきけ、ということになるのですか。nativeにも説明が付かない、nati
veの脳味噌のなかのROMを調べなければならない、ということでしょうか。むしろ逆
に、すっかり既存文法に
染まった人より、conolny学者にきいたほうが良いと思うのです。

>
> で、そういった特徴を求めることはできないのではないかという自分の仮説を
> 検証する方法論として、inflectinal ending と derivational ending の実験が
> ありえるのではないかと考えました。具体的には、任意の動詞を選んで、
> それに inflectional ending である -ing を付ける。次に、適当な
derivational
> ending、たとえば、-ly を付ける(この derivational ending の選択も難しい
> と思いますが)。そういった人工的に作った単語を集めたリストを作り、
> 十分な数の native speaker(後述します)に見せ、accept できるかどうかを
> 判断してもらう。そのリストの中で accept されたものは -ing が付加されて
> いる状態で一つの単語として認識されたと考え、-ings
を取る可能性が存在する。
> accept されなかったものは -ings をとりえないと判断できる。

acceptされるか、どうかを、きいてみなくてはわからないようでは困るのではない
でしょうか。
まるで美人投票ですね。美人の基準を決めて、170cm以上、体重。。。とか公示し
て、個人に依存しない
公明なルールにすべきではないでしょうか。まず、英語は森口さんのいわゆるnative
のものではなく、日本を含めた、すべての使用者のものである、ということに合意
しないと話は進まないようですね。
inflection/derivation以前の問題であると思います。

で、つぎの議論ですが。

> 実はここまでは第一段階で、本当はそうやって一つの単語として認識された
> 後に、また別のスクリーニングが必要だということは、前のメッセージでも
> 書いたつもりです。

単語として認識された、ではなく、単語として規定された、とすれば、スクリーニ
ングなども不要でしょう。

> 自分ではこういうことを言いたかったはずなんですが、非常に分かりにくい
> 言い方になってしまい、申し訳ありません。まだすっきりしているという
> 自信がないし、上記の実験は素人の私が考えたものなので、多分、認知言語学等
> を専門とする方は、もっと洗練された方法をお持ちなのだと想像します。

認知言語学の何たるかをしりませんが、その理論より、使用法が問題のようですね。

>
> 賛成、反対はともかく、私の主旨がお分かり頂けたでしょうか。
よくわかりました。残念ながら、同意できないところが多いですが。

>
> >> 実験によって多くの native speaker が moneys を正しく認識できるならば
> >> moneys は認められるべきだと思います。

上記の通り、複数形を取るか取らぬかは、事実により決めるべきであり、美人投票
的なものに
ゆだねるべき者ではないと思います。

> >1 native
>
>speakerとはだれのことですか?具体的に。文法に関してもさまざまな理解の仕方が
> >ある
>
>ときに、しかも、native=英語を公用語と認めている国の文部大臣諮問委員会、みた
> >いなものですか具体的には。
> >singapore、phillipineなども入るのですか?
>
> さて、この native speaker については、確かにちょっと安易な使い方を
> してしまったかもしれません。ただ、これはどこまでの範囲を調べよう
> とするかによって変ってくると思います。そういう意味では恣意的に
> ならざるを得ないでしょう。-ings について、世界英語(そういう言い方
> があるかどうか知りませんが)を調べるならば、英語を母語とする様々な人々を
> 集める必要があるでしょうし、逆に、ある国だけに限ってその国の -ings を
> 調べるということもできると思います。
私の意見は上記。かなり、道通しという感じはしますが。ほうっておくと、あちこ
ちにlocal englishがでてきて
収拾がつかなくなる可能性はないのでしょうか?分派がたくさんできるまでに、異
教徒と妥協をはかり
世界宗教をこしらえようじゃないか、というキリスト教みたいなものですかね。パ
ウロを気取るわけではありませんが。
パウロのシンパくらいには、なれるかも。余談でした。

>
>
>もうひとつ。現在の文法で管理された人は、新しい言葉の使用法に対する認知は当
> >然おくれるわけです。
> >natural selectionもfittest for
> >suvivalも起こらないわけですから。いわば、動物園で生まれた動物の認知度を
> >検査して、野生の動物のルールを見つけるようなモンだと思いませんか。
>
> この点については、特殊な条件でインフォーマントを集めるのでなければ
> 井上さんのおっしゃるような懸念はないのではないかと思います。
>
認識の違いかもしれませんが、我々はそこまで文法で管理されているのでしょうか

がんじがらめに管理されている故に気がつかないのだと思います。受験生は苦労し
ているのではないでしょうか。
英文法は、通信の道具であるのに、通信そっちのけで、文法の約束事ばかり、丸暗
記させられている
というのが私の印象ですが。そうでも無いのでしょうか。一例ですが。
私の例で言えば、このまえはなしたような、processingがなぜingsをとらないのか
という、合理的な説明
はできないでしょう。御社のenglish speaking
countryからきたcomputer技術者にきいてみてください、機会があれば。Wordのスペ
ルチェックがそうなっている、といえるのがせいっぱいではないでしょうか。
非合理なものを強引に覚え込むのは、きついし、無駄だと思います。だんだん、容
量のすくなく
なってくる脳味噌をもすこし価値あることに使いたいです。年ですから。

いわゆる文法間違い、を起こすのは
発想的に、いわゆるnative以外についていけないところ=unnaturalなものがあるの
だと思います。
可算名詞・不可算名詞、不定詞、定冠詞など。すべてを変えるわけにはいかないで
すが、nativeの
なかにも異教徒がいる状況で、conony国が、法王(こんなものいないのかもしれな
いが.Fowler氏、White氏?)
>
> 以上、長くなって申し訳ございません。  -->同左

good nite



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] But/And {01}
Date: Wed, 24 Feb 1999 21:34:45 +0900

西村様
千葉の井上ともうします。

Fowler’Sをおもちとのことで、お暇な折り、チラリと、But/Andについてなんと言
っているのか
お教えねがればとおもいまして、あつかましくしゃしゃりでました。

ほんじつ、上記の件をしらべるため、しばらつツンドクであったTIME誌をしらべま
したが、もう、
すっかり根付いていますね。4−5年前にも興味があって数えながら読んだ?こと
があるのですが
1ページ平均1個くらいだったとおもいます。今や、1ページ4-5個ですね。Well,
.....ではじまる、
まるで現地からの実況中継を口述筆記したような文章もあります。NYTのコラム欄、
社説にも
現れていますから、米国ではすっかり公認という感じがします。そうすると、英国
対米国という図式なのでしょうか?

NOEDの記述を先日ご紹介しましたが、Collinsも含め私の疑問は、使用者たちは、こ
れを、副詞あるいは
間投詞として、However、So,
Wellなどのように、使用しているのに、辞書では接続詞として説明していることで
す。
これは、こういう使用に反対する旨の辞典編集者の意志表示なのでしょうか。それ
とも
冒頭使用でも、破格?の接続詞なのでしょうか。私自身は、副詞なり間投詞として
、項目をもうけるべきだと
思っていますが。

Fowler'sは何か答えを用意しているのでしょうか。急いでおりませんので、お暇な
折りに
お調べいただければ幸いです。

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] But/And {02}
Date: Wed, 24 Feb 1999 23:21:58 +0900

西村様、みなさん

井上/千葉県です

娘(中学校一年)の中間試験の手伝いをしていたのですが、教科書のサブテキスト

つぎのような文章がのっています。

- But in Picture B, he gets up at seven.

- Tomorrow is my birthday.
And it's Mother's Day.

こういう例が中1のサブテキストにのっているということは、一部ungramaticalであ
ると
するグループのある、And/Butの文頭使用が日本でも受け入れられているとの実例に
なるのでしょうか?

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] 辞書の評価 {01}
Date: Thu, 25 Feb 1999 09:10:16 +0900

みなさま

昨日私は、In Other Wordというシソラスのつたない評価をしました。
すくなくとも、シソラス、この書も一種のシソラスですが、において、Wrong、など
の基本語が
ぬけているということは、その見出し語のチェックを十分やっていない証拠であり
、このことから
著者は、辞書編修の素人であると推測します。また、本の出版にあたって、優秀なch
eckerも
つけていない、と。比較相手とした、Roget'sの21st Century
Thesaurusは一読して、大力作
であるとおもっていますが。その、コンパクト、かつ私には説得的な前書きと、
小さな文字でぎゅうぎゅう詰まった内容(シソラスとは量で勝負するしかない)か
ら、
私は著者グループの決意と情熱を感じました。これで1000円ですから。

三省堂の学習和英辞書、現バージョンの一つ前ですが、ぱらぱらめくって、たとえ
ば、移動、などという
私に言わせれば基本語が抜けているのに気がついたことがあります。こういう場合
も、基本語のリストの
チェックを行っていない、と判断します。現バージョンにはのっていますが。

いったい、日本の学習辞典について、その詳しい評価をみたことがありませんが、
どこかでなされている
のでしょうか。もちろん、大辞典あるいは中辞典?についてもそうですが。
高校生、学生は通常、何冊も辞書を購入しないと思われるので、もすこし評価を厳
しくし、
被る不利益をなくし、また、要望もどんどん出版社に出して質の向上を図るように
すべきであると
おもいます。

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373



From: kazuo kato <>
Subject: [lex] "An estimated 1,000 geurrillas" vs. "A special thanks" {01}
Date: Thu, 25 Feb 1999 10:21:00 +0900

加藤@岩手医大です.

"An estimated 1,000 geurrillas" で思い出したことがあります.昨年4月に
"A special thanks" が主語になった場合,単数扱いなのか複数扱いなのかが
問題になりました.実際の用例では複数扱いが多数派だったように記憶してお
りますが,単数扱いもありました."A special thanks" も "An estimated
1,000 geurrillas" と同様「不定冠詞+修飾語句+複数名詞」という構造を持
っています.どうやら,A special thanks" も "An estimated 1,000
guerrillas" と同様 "A grammatical oddity" ということになりそうです.
"A special thanks" 問題の詳細はログにあると思います.

> Subject: [lex] thanks (n.) の 単/複 ?
> Date: Sun, 26 Apr 1998 13:27:56 +0900
> From: "NISHIMURA Tadamasa" <>
> Reply-To:
> to: "lex" <>
>
> American Heritage ESL Dictionary の p. v (実質の第1ページ)
> を読み出しまして、
> A special thanks goes to Angela Castro and . . .
> ~~ ~~~~~~ ~~~
> で思わす、留まっています。
>
> 名詞 thanks は複数扱いとばかり思っていました。なるほど
> Washington Times には用例が出てきます。.
>
> アメリカ人に、
> A special thanks ( ) to Angela Castro と書いた紙を見せて
> たずねたら、「私は I express my special thanks to . . .
> という表現をつかう、とうまく逃げられました。
>
> 西村 公正



From: kazuo kato <>
Subject: [lex] But/And {02}
Date: Thu, 25 Feb 1999 12:03:03 +0900

井上様:

加藤@岩手医大です.たまたま,私のところにも The New Fowler's Modern
English Usage, Third Edition, Edited by R. W. Burchfield (Oxford, 1996)
[ISBN 0-19-869126-2] がありましたので,お応えいたします:

noboru inoue, mr wrote:

> Fowler’Sをおもちとのことで、お暇な折り、チラリと、But/Andについてなんと言
> っているのか
> お教えねがればとおもいまして、あつかましくしゃしゃりでました。
>
There is a persistent belief that it is improper to begin a sentence
with an And, but this prohibition has been cheerfully ignored by
standard authors from Anglo-Saxon times onwards. An initial And is a
useful aid to writers as the narrative continues.... (pp. 52-53)

Used at the beginning of a sentence. The widespread public belief that
But should not be used at the beginning of a sentence seems to be
unshakeable. Yet it has no foundation.... (p. 121)

なお,すでに Fowler's Modern English Usage, Second Edition, Revised by
Sir Ernest Gowers (1968) に同趣旨の記述があります.

And beginning a sentence. That it is a solecism to begin a sentence
with and is a faintly lingering superstition. (p. 29)

...., and for the superstition about beginning a sentence with but or
and see AND 5. (p. 69)

以上.



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] But/And {03}
Date: Thu, 25 Feb 1999 12:20:49 +0900

加藤様へ

貴重な情報ありがとうございました。


and/butが文頭にくることが禁止事項であることなど、知らない人がほとんどである

これを違反とする一部の人がいる、というのは辞書制作者(自身もそうおもってい
なににもかかわらず)の引継事項のひとつであり、やむなく同じことを書いている
。すなわち、迷信。
3 文頭のAnd/Butはちまたにあふれている。

And/But以外にも案外このような、引継事項、が多いのではないかと思います。

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

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From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] "An estimated 1,000 geurrillas" vs. "A special thanks" {02}
Date: Thu, 25 Feb 1999 13:03:01 +0900

加藤様

井上/千葉県です。

おもしろい情報をありがとうございます。もういい加減にしとこう、という気持ち
が、ぐらついて
またまた余計な一言を。

西村様の当初にあります、うまく逃げたアメリカ人を、わたしはうまく逃げた辞書
と、つい読んで
しまいます。

以前した質問の繰り返しですが、Special thanks to ...というように、A
をとらない用法もありますよね?
ちょっと自信がないですが。
 A
をつける場合と、つけない場合はどういう風に発想の仕方が異なるのでしょうか。
いつかお答えしていただいたかもわかりませんが、なかなか脳内に定着しないので
。すみませんが。

O.Henry(何度もご登場いただきます)の例、Twenty years is
からすると、Special thanks goesという
ことになるのでしょうか。それともSpecial thanks go toとなるのでしょうか。

Special thanks ( ) to Mr. Kurosawa.
A special thanks ( ) to Mr. Kurosawa.

しかし、どちらでもよい、というのが今風の答えかもしれませんね。aをとろうとと
るまいと、goes/go
のどちらであろうと。ちなみに上記の試験問題に対して先生方はどのような採点を
なさるのでしょうか。
あ、そのような問題は出さないように気をつける。なるほど。

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373



From: kazuo kato <>
Subject: [lex] "An estimated 1,000 geurrillas" vs. "A special thanks" {03}
Date: Thu, 25 Feb 1999 16:35:49 +0900

井上様:

加藤@岩手医大です.

noboru inoue, mr wrote:

> 以前した質問の繰り返しですが、Special thanks to ...というように、A
> をとらない用法もありますよね?
> ちょっと自信がないですが。

(加藤)あるようです.

>  A
> をつける場合と、つけない場合はどういう風に発想の仕方が異な驍フでしょうか。
> いつかお答えしていただいたかもわかりませんが、なかなか脳内に定着しないので
> 。すみませんが。

(加藤)下に引用した昨年4月の書き込みがその回答になれば,と思います.

> O.Henry(何度もご登場いただきます)の例、Twenty years is
> からすると、Special thanks goesという
> ことになるのでしょうか。それともSpecial thanks go toとなるのでしょうか。

(加藤)下の [ ] 内のようになりそうです:

> Special thanks ( ) to Mr. Kurosawa. [go]
> A special thanks ( ) to Mr. Kurosawa. [goes/go]

>ちなみに上記の試験問題に対して先生方はどのような採点をなさるのでしょ
うか。> あ、そのような問題は出さないように気をつける。なるほど。
>
私の場合はご推察のとおりです.また,うっかり正解が複数個の可能性がある
問題を出してしまった場合は,「疑わしきは罰せず」ということですべて正解
扱いをすることにしています.以下は昨年4月の書き込みです:

> Subject: Re: [lex] thanks (n.) の 単/複 ?
> Date: Mon, 27 Apr 1998 10:38:51 +0900
> From: kazuo kato <>
> To:
> References: 1
>
> 西村先生:
>
> 加藤@岩手医大です.
>
> NISHIMURA Tadamasa wrote:
> >
> > (いつも岡目八目 的で申し訳ありませんが、私は利用者の立場
> > でこの ML に参加させてもらっています。)
> >
> > American Heritage ESL Dictionary の p. v (実質の第1ページ)
> > を読み出しまして、
> > A special thanks goes to Angela Castro and . . .
> > ~~ ~~~~~~ ~~~
> > で思わす、留まっています。
> >
> > 名詞 thanks は複数扱いとばかり思っていました。なるほど
> > Washington Times には用例が出てきます。.
> >
> > アメリカ人に、
> > A special thanks ( ) to Angela Castro と書いた紙を見せて
> > たずねたら、「私は I express my special thanks to . . .
> > という表現をつかう、とうまく逃げられました。
> >
> > 西村 公正
>
> まず,手元の例です:
>
> (1) I worked most closely with research archivist Erwin Mueller and
> with librarian Elizabeth Saftly, and to them I owe a special thanks.
> (Strictly Personal and Confidential: The Letters Harry Truman Never
> Mailed ed. by Monte M. Poen, 1982, p. xi)
>
> また,米国の小説家 Flannery O'Connor の書簡集に次のような例があります.
> ただ,彼女の手紙の英語はかなり天衣無縫なところがありますので,一般的とは
> 言えないかもしれません.
>
> (2) Much thanks for the notes and general thoughts. (The Habit of Being:
> Letters Edited and with an Introduction by Sally Fitzgerald, 1979,
> p. 329)
>
> しかし,Ralph B. Long (1961), The Sentence and Its Parts: A Grammar of
> Contemporary English, p. 226 には次のような記述があります.私は前から
> a special thanks や much thanks も Long があげている語と同類ではないか
> と思っています.なお,例文のイタリックは大文字で表記することにします:
>
> Quantifiable status is sometimes given, especially in informal styles,
> to such uncountable pluralizers as ASHES, BRAINS, FIREWORKS, MORALS,
> OATS, and SUDS.
>
> We have TOO MUCH ASHES in the fireplace.
> He just doesn't have MUCH BRAINS.
>
> The situation is very similar in sentences such as JOHNNY'S EATEN TOO
> MUCH MASHED POTATOES. MANY is obviously not usable here: individual,
> countable potatoes are not present in mashed potatoes.
>
> 手元には次のような例もあります.これらの much guts, much friends,
> much victims, much runs も同類と考えられます.ただ,thanks はこれらの
> 語のようにこのような文脈で完全に不可算語になりきっているわけではなくて,
> 可算・不可算用法が混在し,規範文法的には可算語扱いが優勢なのかもしれま
> せん.このように考えると (2) の例もうまく説明できそうです.
>
> (3) "Thank you for being so honest with us; I'm sure the people in our
> audience can understand how much guts it must take for you to tell
> us these things." (Bob Greene, Cheeseburgers, Ballantine Books,
> 1986, p. 104)
>
> (4) "You're not that much friends nowadays and I've never been friends
> with your wife...." (Bernard Malamud, Dubin's Lives, Avon Books,
> 1980(?), p. 185)
>
> (5) If she asked herself whom she really detested in all this, it
> wasn't the blacks, who in many ways were as much victims as she
> was; .... (J. Anthony Lukas, Common Ground: A Turbulent Decade
> in the Lives of Three American Families, 1985, p. 468)
>
> (6) "165 wickets, eh?"
> "No, that means we scored 165 runs."
> "Not much runs, huh?"
> "No," said Walker, "not much runs at all."
> (Malcolm Bradbury, Stepping Westward, arrow Books, 1979, p. 212)
>
> なお,どなたかが言及されていた criteria の単数扱いの問題はこれとは別の
> 問題のような気がします.これは,criteria は例外的な複数形なのでこれが
> criterion の複数形であることを意識しない人の,かなり一般的な「誤」用と
> 考えるべきではないかと思います.同種の問題は data-datum, media-medium,
> phenonena-phenomenon にもあります. (加藤 和男)

なお,(A/My, etc) special thanks の例は British National Corpus の簡易
検索でも見ることができます:

http://thetis.bl.uk



From: Hideo HIBINO <>
Subject: [lex] Singular or Plural? {01}
Date: Thu, 25 Feb 1999 20:22:51 +0900

ML の皆さん。おくればせながら、単複論争に参加させてください。

COBUILD で ...thanks go/goes を検索してみました。...go = 60例 ...goes = 2
例でした。
.... のところには、My, Our, Special, Extra, Especial, And, My warm, My
heartfelt,
Sincerest のどがありました。
単数扱いは2例だけでした。そのうち1例は "...My heartfelt thanks goes out
to everyone
for making me feel so welcome in England. " ひょっとすると、英語国の人ではな
いのかも。
A special (big, heartfelt) thanks to ...は8例ありました。しかし動詞は巧みに
避けて(?)
ありました。A...thanks goes/go... ではどちらにせよ脳神経が処理にこまるようで
す。

実はわたしは次のような、英語国民の単数、複数 感覚になやまされています。
COBUILD では
0.5, 0.01, 0.025 gram などが10例。0.99, 0.114, 0.004 grams など約130 例
見つかり
ます。最近、The Reality Club (http://www.edge.org/discourse) で、0.0000000001
gramsを見つけました。どうやら 1以外は0を含め、すべて複数ということのよう
です。
たしか、30年ほど昔は、1以上は複数(1.0001=複数),1以下は単数(0.9999=単数
)と
文法書にあったように思うのですが、ご関心をお持ちの方のご意見をお聞かせくださ
い。

日比野 日出雄 (京都市)



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] Singular or Plural? {02}
Date: Thu, 25 Feb 1999 20:51:35 +0900

ひびのさま
井上です(いやな顔しないでください)

> A special (big, heartfelt) thanks to
...は8例ありました。しかし動詞は巧みに
> 避けて(?)
> ありました。A...thanks goes/go...
ではどちらにせよ脳神経が処理にこまるようで
> す。
この記述を読むと、胸が痛みます。じつは、単複になやむと、 will ...などと、
問題を回避しているのです。どこかの
辞書編集者と同じなのです(きっと、弱点がばれていますね)

> 実はわたしは次のような、英語国民の単数、複数 感覚になやまされています。
> COBUILD では
> 0.5, 0.01, 0.025 gram などが10例。0.99, 0.114, 0.004 grams など約130例
> 見つかり
> ます。最近、The Reality Club (http://www.edge.org/discourse)で、0.0000000001
>gramsを見つけました。どうやら 1以外は0を含め、すべて複数ということのよう
> です。
>たしか、30年ほど昔は、1以上は複数(1.0001=複数),1以下は単数(0.9999=単数
> )と
>文法書にあったように思うのですが、ご関心をお持ちの方のご意見をお聞かせくださ
> い。
1以外は複数。これはそのとおりにやってます。考えても無駄です。(こんなとこ
ろにはこだわらない私)
それより、Either A or B are...かEither A or B is
か、ですが、技術系の本にはすくなくとも、areで受ける形
が多いと思っていたのですが、そうでもないみたいですね、理屈屋さんによると(
だれのことか)。
翻訳を訂正して返されました。実質的に意味が変わるわけでもないのにケンケンガ
クガクやっていて、。。。きっと良いのですね。やりましょう。おおいに。



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] Singular or Plural? {02}
Date: Thu, 25 Feb 1999 21:12:34 +0900

ひびのさま
井上です(どうぞ、いやな顔してください)

>
> 実はわたしは次のような、英語国民の単数、複数 感覚になやまされています。

この箇所で思い出しました。むかし、マークピーターセンというひとがいまして、
「ニッポン人の英語」なる書を表した
人ですが、その本に
「英米国人、倒すにゃわけはない。日本人英語数発ぶつければ、やつらはふっとぶ
!」などと悪態をついた手紙を
だしたおぼえがあります。というわけで、ひびのさん元気を出してくださいよ。日
本人英語を国際英語にしましょう。
(あ、nationalistであることがばれたかな。ん。とっくにばれてる?あそ)



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] Singular or Plural? {02}
Date: Thu, 25 Feb 1999 23:56:58 +0900

MLのみなさん

日比野さんのいわれる単複論争はこれまであちこちで、さまざまな形で、もっと深
く論じられているはずですが
そもそも何故、単数複数をwordに反映されたのか、ということですね。これは謎な
のでしょうか、言語学的に?
かつ、これを、引継事項=文法として、なぜ、維持し得たのか。(もちろん、特定
言語で。日本語などには、適切にも、この区別がない。逆に余計なものもあります
が)途方もない、無駄なモノを持ち込んだと言う気はしますね。何の役にも立たな
いのに(正確に言えば、コストパフォーマンスが悪い)。エスペラントには単数、
複数による語形の変化inflectionはあるのでしょうか?

どなたか、このあたりの事情にくわしいかたの知識を披露していただければ、すこ
し、
幅広い考察ができるかと。

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] But/And {03}
Date: Fri, 26 Feb 1999 00:36:25 +0900

加藤様、皆様

1年くらい前に講習して、まだ、開いたことがなかった、
The Columbia Guide to Standard American English 1993発行のpaperback
のAndの記述を紹介します。

Avoid frequently beginning sentences with the coordinating conjunctions AND
or BUT.
Such sentences can be stylistically appropriate at any Standard level, but
as a habitual
beginning, especially in writing, the initial conjunction can seem
unpleasantly garrulous
and mechanical. (see also BUT)

BUTの項は、省略します。要はungramaticalなどとはいわず、極言すれば主観的な評
価にまかせて
いるようですね。時代が違えば、またterseな?文章が喜ばれ、このようなものがな
くなることもあるのかも
しれません。(スカートの丈のようなモノか)

本書は、約10年前の発行。10年一昔といいますから、現在の新聞雑誌の現実をどの
ように評価するのでしょうか、この執筆者は。ちなみに、私からみれば、最近のTIME
誌などの表現は、だらしなく聞こえます(文字通り。しゃべったモノが、推敲もな
く印刷された印象。もちろん、記者により異なりますが)。

みなさんの印象はいかがでしょうか。平均的’native’はどのように感じているの
でしょうか。作文上の指示は、適切に使用せよ、という風になっているのでしょう
か。White氏の書いた非常に薄いルールブック(だいぶ古いですが)がありましたが
(以前はよくreferされていました)、この本は、AND/ORは断然禁止のはずですよね
(当たり前すぎて、のっていなかも)。

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373



From: "Hiroshi Shoji" <>
Subject: [lex] thanks & apologies {01}
Date: Thu, 25 Feb 1999 22:49:07 -0000

東海林@バーミンガムです。

thanksの話題で思い出したことがあります。
thank youとほぼ同義で用いられるthanksは、一種の発話行為と考えていいのだ
と思います。つまり、saying = actingということですね。
同じように複数形の名詞で発話行為として用いられるものに、apologiesがある
ことに最近気付きました。複数のメーリングリストに同じ投稿をすることを詫び
るのに、

> Apologies for cross posting

などという言い方で使われます。
「名詞による発話行為」というテーマはなかなか興味深い感じがします。今のと
ころ他に例が浮かばないのですが、同じような現象にお気付きの方は具体例をお
示しいただけませんでしょうか?

Hiroshi Shoji
<University of Birmingham, UK>
<Shion Junior College, Japan>

P.S. 送信直前に突然思い付いたのですが、'Cheers!'はどうでしょうか?



From: Asao Kojiro <>
Subject: [lex] But/And {04}
Date: Fri, 26 Feb 1999 10:10:42 +0900

朝尾@東海大学です。

文頭に現れる and と but について私も興味深く話題を
たどっておりました。これについて、調べてみたことが
ありますので、ご紹介です。

文頭に現れる And について、日本人、中国人(台湾)
の大学生が書いた英語、英米人が書いた英語で調べてみ
たところ、結果は次のようでした。

-----------------------------------------------
日本人 中国人 英米人
5.6% (202) 1.7% (137) 1.1% (729)
3,642文のうち 7,905文のうち 63,962文のうち
-----------------------------------------------

文頭に And を置くのは日本人の英語にきわだって多い
ようです。おもしろいのは日本人は

And, I like especially traveling aborad.

のように And, とコンマを使う例があることです。これ
は次のような結果です。

-----------------------------------------------
日本人 中国人 英米人
0.3% (10) 0.05% ( 4) None
-----------------------------------------------

日本人が And を文頭に置くことが多いのは日本語の「そ
して」の影響によるところが大きいようです。But につ
いても同じような結果が出ています。(Because もそう
です。JACET で発表したもののハンドアウトを次に置いて
います)

http://www.lb.u-tokai.ac.jp/lcorpus/papers/asao02.html

文頭に And を置くことについて上のことをネイティブが
主体の集まりで発表したことがあります。「文頭に And
を置くのはふつう discourage されますが」と前置きし
て発表しました。すると、「文頭に And を置いてどうし
ていけないの。よく使いますよ」といった反応が返って
きて、やや驚いたことがあります。
-----
朝尾幸次郎 東海大学(文学部)英文学科
Tel: 0463-58-1211 内線: 3133 / Fax: 0463-50-2239
/ http://www.lb.u-tokai.ac.jp/~koji/



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] But/And {05}
Date: Fri, 26 Feb 1999 10:49:10 +0900

朝尾様

興味深いデータを拝見しました
昨日紹介しましたColumbia
Guide1993でも、And/Butは適切には使用すれば有効であると
言っているくらいですから、現在ではほとんど一般的な使用になってるようです(
日本の中学校
のサブテキストに現れるくらいですから)
TIME誌などでは、それで、とか、Well。。。とかいう、
場つなぎ用に使用され、接続詞の意味は全く持っていません。

私の疑問は、ThenとかHowever、あるいはSo,
Wellと同じように使用され、接続詞の意味は
失っているのに、何故、副詞として分類していないのか、ということです。いずれ
、本家帰りをする
時のために、まだ、戸籍は移さないでおこう、ということでしょうか?

接続詞の副詞化と言う現象としてとらえれば、使用の多い、少ないは美観の話で
文法の話ではなくなります。

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373



From: kazuo kato <>
Subject: [lex] But/And {05}
Date: Fri, 26 Feb 1999 11:22:49 +0900

朝尾先生:

加藤@岩手医大です.興味深い情報どうもありがとうございました.

Asao Kojiro wrote:

> 文頭に And を置くのは日本人の英語にきわだって多い
> ようです。おもしろいのは日本人は
>
> And, I like especially traveling aborad.
>
> のように And, とコンマを使う例があることです。これ
> は次のような結果です。
>
(加藤)実は今年度非常勤で出講している大学で「英語表現基礎」というコー
スを担当し,学生の(自由英)作文をほとんど毎週のように見ました.そして,
ご指摘の現象があまり多いのでげんなりしました.

> 日本人が And を文頭に置ュことが多いのは日本語の「そ
> して」の影響によるところが大きいようです。But につ
> いても同じような結果が出ています。(Because もそう
> です。JACET で発表したもののハンドアウトを次に置いて
> います)
>
(加藤)まったく,ご指摘のとおりでした.



From: kazuo kato <>
Subject: [lex] thanks & apologies {02}
Date: Fri, 26 Feb 1999 11:37:32 +0900

東海林先生:

加藤@岩手医大です.

Hiroshi Shoji wrote:
>
> 東海林@バーミンガムです。
>
> thanksの話題で思い出したことがあります。
> thank youとほぼ同義で用いられるthanksは、一種の発話行為と考えていいのだ
> と思います。つまり、saying = actingということですね。
> 同じように複数形の名詞で発話行為として用いられるものに、apologiesがある
> ことに最近気付きました。複数のメーリングリストに同じ投稿をすることを詫び
> るのに、
>
> > Apologies for cross posting
>
> などという言い方で使われます。
> 「名詞による発話行為」というテーマはなかなか興味深い感じがします。今のと
> ころ他に例が浮かばないのですが、同じような現象にお気付きの方は具体例をお
> 示しいただけませんでしょうか?
>
(加藤)次の BNC の例はいかがですか:

> BMX 667 `Greetings, brother Tuck,' the small man said.



From: Masahiro Kodera <>
Subject: [lex] Singular or Plural? {02}
Date: Fri, 26 Feb 1999 12:02:47 +0900

日比野  先生

小寺(聖母短大)です.

先日は,ご無理を申し上げました.

Hideo HIBINO wrote:
> 実はわたしは次のような、英語国民の単数、複数 感覚になやまされています。
> COBUILD では
> 0.5, 0.01, 0.025 gram などが10例。0.99, 0.114, 0.004 grams など約130
>例
> 見つかり
> ます。最近、The Reality Club (http://www.edge.org/discourse) で、0.0000000
>001
> gramsを見つけました。どうやら 1以外は0を含め、すべて複数ということのよ
>う
> です。
> たしか、30年ほど昔は、1以上は複数(1.0001=複数),1以下は単数(0.9999=単
>数
> )と
> 文法書にあったように思うのですが、ご関心をお持ちの方のご意見をお聞かせくだ
>さ
> い。

私も,英語の単数,複数には関心がありますので,以前,'Some Basic Questions on
Number in English' という大層なタイトルを付けて勤め先の短大の紀要に書いたこ
とがあります.その中で,引用した文献を紹介させていただきます.

Hirtle, Walter H. (1982) Number and Inner Space. Les Presses De
L'universite Lavel, Quebec.
(確か,邦訳も出ていたと思います.今でも手にはいるかどうかはわかりませんが.
10行ほど触れているだけです.)

この中(P.44)で,以下のような例を挙げて,Why "zero" should call for an s-endi
ng was - and is even now - a mystery. としております.
1 gram
..5 grams (Does the notion of '5' call for the -s?)
..1 gram(s) (Usage seems to vary)
..0 grams

Reid, Wallis. (1991) Verb and Noun Number in English: A Functional
Explanation. Longman, New York. (pp.82-83)
上記の,Hirtle を引用後,Morgan, J (1984) 'Some Problems of Determination in
English Number Agreement'. In Alvarez, G., Brodie, B., McCoy, T. (eds)
Proceedings of the First Eastern States Conference on Linguistics.
Macmillan Press, London. (これは私は持っておりません)から,

1.0 voters (read 'one point zero voters')

という例を引用しております.結論としては,こうした問題は,科学分野の専門的な
雑誌などで関わるだけで,日常的には分数を用いるので,大きな問題とはならない.
さらなる調査が必要ということでした.(1ページ半ほどしか,この問題に関しては
割いておりません)

ゼロにつきましては,Back to The Future の中のDoc(Brown) の台詞に以下のような
ものがあります.何度も聞き返して確認しておりますが,はっきりと -s を発音して
おります.

BROWN: The temporal displacement occurred at exactly one twenty A.M. and
zero seconds.

以上をまとめますと,やはり1以外は複数とのようです.ただし,1.0 も複数扱いの
ようです.

以上,ご参考になれば幸いです.

小 寺 正 洋
聖母女学院短期大学



From: "浅田 幸善" <>
Subject: [lex] AHD with Thesaurus & Idioms {01}
Date: Fri, 26 Feb 1999 12:30:54 +0900

新しい電子辞書の紹介です。

(システムソフトのNEWS RELEASEより)
株式会社システムソフト(本社:福岡市、代表取締役社長:佐藤隆治)は、システ
ムソフト電子辞典シリーズの新タイトル「The American Heritage Dictionary of
The English Language,Third Edition with Thesaurus and
Idioms(アメリカンヘリテイジ ディクショナリ オブ イングリッシュ ランゲージ
サード エディション ウィズ シソーラス アンド
イディオム)」のWindows版とMacintosh版を99年3月19日(金)に発売する。標準小
売価格は、各14,800円(税別)。

◆これはハードディスクに収めて使用するタイプの辞典のシリーズです。イディオ
ム辞典(The American Heritage Dictionary of Idioms
(1997))をあわせたものはアメリカでもCD-ROMはまだ出ていないかもしれません。た
だ、CD-ROM版は発音とCULTURAL
LITERACYの辞典が含まれていたので、そちらも買っておきたくなります。

浅田幸善 (ASADA Yukiyoshi)

P.S.
このMLに参加させていただいて、約1年になりました。
改めて調べてみると、井上先生から『辞書学メーリングリスト開設のご案内』 と
いうメールをいただいたのが昨年の2月19日でした。(送信時刻
23:10  23:12受信となっています)
このML自体が1歳の誕生日をすでに迎えたわけですね。
はやいものだなあ、と思っています。
(実は、今日は気持ちとしては、辞書の紹介よりも、この遅ればせながらの"Happy
Birthday (or Anniversary?)!"の方がメインです。A special thanks (go/goes) to
Inoue-sensei!)



From: Nagayuki Inoue <>
Subject: [lex] AHD with Thesaurus & Idioms {02}
Date: Fri, 26 Feb 1999 17:02:09 +0900

浅田先生

いつも貴重な情報をありがとうございます。

> P.S.
> このMLに参加させていただいて、約1年になりました。
> 改めて調べてみると、井上先生から『辞書学メーリングリスト開設のご案内』 と
> いうメールをいただいたのが昨年の2月19日でした。(送信時刻
> 23:10  23:12受信となっています)
> このML自体が1歳の誕生日をすでに迎えたわけですね。
> はやいものだなあ、と思っています。
> (実は、今日は気持ちとしては、辞書の紹介よりも、この遅ればせながらの"Happy
> Birthday (or Anniversary?)!"の方がメインです。A special thanks (go/goes) to
> Inoue-sensei!)

ありがとうございます。皆さんのおかげを持ちまして,登録者数も270名に近づこ
うとしております。ますます活発な議論の場としてお役に立てていただきければ
幸いです。この場を借りまして,この1年間,貴重な情報をお寄せくださった方々,
議論を盛り上げて下さった方々,また,時間のかかる項目別ログの作成を担当し
ていただいております佐賀の松本先生(MCS),さらに最近では書誌データの
公開をしてくださっております東海林先生(シオン短期大学),この辞書学ML
開設当初に特にお世話になった南出先生(大阪女子大学)及び赤野先生(京都外
国語大学),そしてバックアップしていただきました村田先生(千葉大学),な
どなど,ここに書ききれていない方々にも,お礼申し上げます。<m()m>

**********************井上永幸 <>*********************
[辞書学MLログを公開中: http://lexis.edu.shimane-u.ac.jp/inoue/ml_log.html]
--辞書学ML脱会は宛てにsignoff lexと送る--



From: "NISHIMURA Tadamasa" <>
Subject: [lex] But/And {06}
Date: Fri, 26 Feb 1999 22:14:25 +0900

文頭の and/but について、バランスのとれた記述だと思うのに
以下の『Webster's Dictionary of English Usage』(Merriam-Webster,
1989) はどうでしょうか(長すぎる引用ですが、手許に無い方のために)。

Everybody agrees that it's all right to begin a sentence with _and_,
and nearly everybody admits to having been taught at some past
time that the practice was wrong. Most of us think the prohibition
goes back to our early school days. Bailey 1984 points out that
the prohibition is probably reant to correct the tendency of
children to string together independent clauses or simple
declarative sentences with _ands_: . . .Consequently, many of us
go through life thinking it wrong to begin a sentence with _and_.
Few commentators have actually put the prohibition in print; the
only one we have found is George Washington Moon:
It is not scholarly to begin a sentence with the conjunction _and_
-『The Bad English of Lindley Murray and Other Writers on
the English Language』, 1868 (in Baron 1982).
.. . . .

それと、友人の教示に従って OED-2 をみると、

III. introductory. に 11(引用省略)と
12. In expressing surprise at, or asking the truth of, what one has already
heard.
1844 Disraeli Coningsby iii. iii. 96 _And you walked here!' said Lady
Everingham.
_ 1884 Mod. O John! and you have seen him! And are you really going?

のようなものもあり(1900年代の用例がないのが気にはなりますが)、
自身が以前 Nifty FENGC に、単なる And (大/小文字区別)検索だけの調査
で書き込みをして、今大いに反省しています。)

西村 公正(関西外国語大学短期大学部)



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] But/And {06}
Date: Fri, 26 Feb 1999 22:25:48 +0900

朝尾様、加藤様
千葉県、井上です

> > 日本人が And を文頭に置ヌ?:ぢことが多いのは日本語の「そ
> > して」の影響によるところが大きいようです。But につ
> > いても同じような結果が出ています。(Because もそう
> > です。JACET で発表したもののハンドアウトを次に置いて
> > います)
> >
> (加藤)まったく,ご指摘のとおりでした.

本件が論じられて以後、しばらく蛍光ペンをもって、TIME誌を読んでいますが、い
やになるくらい
TIME誌には文頭and/orが多くなっています。加藤様が日本人の作文をみられて感じ
られているのと
同様な感覚をもつひともTIME誌の読者にはすくなからずいるとおもいます(特に、
私も含めた、年輩の人)

Usageにも適切に、if used sparinglyとありますから。

日本人の作家では、志賀直哉のある時期の文章は特に、そして、しかし、をはじめ
とする、私流に言えば
粘着語がひじょうにめだって、私には特に見苦しく、何十年も前ですが、文庫本に
赤鉛筆で印を付けて数を数えたことがあります。(私は、志賀直哉は名文家とはま
ったく思いません)。文章と文章の間に、論理的な接続語を挿入しなければ、心理
的に不安定になるのではないか、この傾向は日本人のある傾向を示すのではないか
と思っています。論理的には、なくても内容が変わるわけではありません。しかし
、そして、などという語はあらかじめ読者に引き続く文章の内容を予感させますか
ら、読み手にとっては、うるさい、ということになります。ちなみに、漱石とか太
宰(いずれも好きな作家ですが)のような落語の影響を受けた(これは私の推定)
人の文章はもすこし、きびきびしているとおもいます。

だいぶ余談が入りました。本論はこれからですが、TIME誌などにAndやButがやたら
に増えるたということは、
日本人と同じように、志賀流の(すなわち日本的な?)「そして」「しかし」組が
増えたと言うことではないでしょうか。あるいは、昔は許されていなかった表現が
、すなおにとれるようになり、爆発的?に増えてきた、と、勝手に推定しているの
ですが。

But,
Andの後には、読むときは、一呼吸おく、すくなくともほんの一瞬は、とおもいます
。したがって、コンマをおく例はまだ非常に少ないですが、私はあってもおかしく
なく、Well、Soなどの場合と同じように将来カンマがおかれるのではないかと予測
しています。

ちなみに、先日紹介した、Columbia GuideのBUTの項ですが、
。。。And(ママ) you may occasionally want to use a dash to imitate a pause
in spoken version:
But --we never saw him again.

とダッシュの使用を認めて?います。ダッシュがよいのであれば、コンマもよいの
ではないか、とおもいますがいかがでしょうか。いずれにしても、頻発は興ざめで
すが。



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] But/And {07}
Date: Fri, 26 Feb 1999 22:48:11 +0900

西村様

本日たまたま、丸善でご紹介のMerriam-Websterを立ち読みしました(買っても置き
場がないもので。
約4000円。ちなみに1994年版)引用されている範囲では同一内容です。改訂なし。
しかし、すくなくとも
この記述は、英語教育先進国日本にはあてはまりませんね。日本の中学校のテキス
トには
And/Butが文の先頭に出現する例をのせています。(当然、米国でも通用しないでし
ょう。すくなくとも1994年版では改訂すべきだったのでは。と、勝手な想像ですが

米系と英系では、状況が違うのでしょうか。英系とおもわれるシンガポールなどで
はどうなのでしょうか?
あるいはEconomistなど英系の雑誌でも、同傾向なのでしょうか。Oxford辞書の扱い
と、米系の辞書では
少しニュアンスが違うような気がしますので。

西村様の記事全文添付します。〔井上(島根大学)注:省略しました〕

//////井上 昇 Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373


From: "Hiroshi Shoji" <>
Subject: [lex] thanks & apologies {03}
Date: Fri, 26 Feb 1999 15:23:03 -0000

東海林@バーミンガムです。

加藤先生:

> 次の BNC の例はいかがですか:
>
> > BMX 667 `Greetings, brother Tuck,' the small man said.

先日投稿したCOBUILD E-dictとAND Compendium '99の組み合わせで'greetings'
を全文検索してみました。その結果、手紙の結びなどに使われる'regards'や
'best wishes'も同じような例ではないかと感じております。また、
'salutations'が発話行為的に使われる例もBank of Englishの検索から確認でき
ました。
それから、'Congratulations!'も例に加えることができるかもしれません。

このようなテーマの検索をするのに、電子版シソーラスが結構威力を発揮するこ
とがわかりました。今までは冊子版にせよ電子版にせよ、シソーラスというもの
が使いこなせていなかったので、面白い使い方が発見できて喜んでおります。

情報提供感謝申し上げます。

Best wishes

Hiroshi Shoji
<University of Birmingham, UK>
<Shion Junior College, Japan>

P.S. 「辞書学メーリングリスト」開設1周年おめでとうございます
(Congratulations!)。私は途中参加組の一人ですが、海外での勉強中に日本と
の貴重なコンタクトができて大変ありがたく思っております(Thanks!)。これ
までに大変勉強させていただきました。これまで舌足らずの発言で御迷惑をおか
けしたことをお詫びしつつ(Apologies)、今後ともどうぞよろしくお願い致し
ます。以上、Greetings!でした。



From: "AKANO, Ichiro" <>
Subject: [lex] thanks & apologies {04}
Date: Sat, 27 Feb 1999 08:35:42 +0900

赤野@京都外大です。

東海林先生

> P.S. 「辞書学メーリングリスト」開設1周年おめでとうございます
> (Congratulations!)。私は途中参加組の一人ですが、海外での勉強中に日本と
> の貴重なコンタクトができて大変ありがたく思っております(Thanks!)。これ
> までに大変勉強させていただきました。これまで舌足らずの発言で御迷惑をおか
> けしたことをお詫びしつつ(Apologies)、今後ともどうぞよろしくお願い致し
> ます。以上、Greetings!でした。

先生のメールをいつも興味深く拝見しています。前にも書いたことがあるかもし
れませんが,10年近く前,夏休みにバーミンガム大学に滞在しましたので,先生
の最近のバーミンガム大学の様子などを知ることができて,大変うれしく思って
います。

先生のそちらでの研究期間も,あとわずかですね。大いに成果を上げられること
を期待しております。これからも貴重な情報をお寄せ下さい。

__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/
AKANO, Ichiro
Kyoto University of Foreign Studies
TEL: 075-322-6103
E-MAIL:
英語語法文法学会: http://member.nifty.ne.jp/usage_grammar
__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/__/



From: "Matumoto Yosihito" <>
Subject: [lex] (C) と (U) {01}
Date: Sat, 27 Feb 1999 09:23:48 +0900

おはようございます。松本祥仁@佐賀です。

"cuisine" (イタリア料理,などというときの「料理」です)という単語をひくと,
(U)表示になっているのですが,Yahoo で検索すると(加藤先生に教えていただいた
方法です)

Key West Restaurant Information Center - search from a variety of cuisines.

Ophelia's on the Bay - offers an evolving American cuisine style that is
combined with other world cuisines;

といった複数形がたくさん見つかります。(Yahoo検索なので a cuisine や the
cuisine は探せませんが,きっとあると思います)

ということは,(U)(C)と,「複数形になる,ならない」,「冠詞がつく,つかない」
は,関係がない?ということなのでしょうか。

今まで教えてきた生徒達に謝らなくてはならないかもしれません(^_^;)。



From: "Asako Mizuno" <>
Subject: [lex] (C) と (U) {02}
Date: Sat, 27 Feb 1999 09:40:31 +0900

水野@特許翻訳の世界です。
ここ数日超多忙でMLを見ていなかったらログの山で呆然です。

松本先生、おはようございます。
> Key West Restaurant Information Center - search from a variety of cuisines.
>
> Ophelia's on the Bay - offers an evolving American cuisine style that is
> combined with other world cuisines;

これは種類を表す複数形ではありませんか?
化学などでも、例えばアルコール類をalcoholsとしたり、様々な種類の同類物を
表す時は複数形にします。上記の例だけに限っていえば、様々なcuisineを表し
ているのではないかと思います。このような使い方は、特に化学やバイオ系の文
献にはよく出てきます。

前の方のログを読んでいないので的はずれだったらすいません。

****************************
有限会社サグラーシェ 水野麻子
特許翻訳の世界
http://www.monjunet.ne.jp/PT/
Have a Good Time!
http://port.monjunet.ne.jp/



From: kazuo kato <>
Subject: [lex] thanks & apologies {04}
Date: Sat, 27 Feb 1999 09:47:58 +0900

東海林先生:

加藤@岩手医大です.

Hiroshi Shoji wrote:
>
> > 次の BNC の例はいかがですか:
> >
> > > BMX 667 `Greetings, brother Tuck,' the small man said.
>
> 先日投稿したCOBUILD E-dictとAND Compendium '99の組み合わせで'greetings'
> を全文検索してみました。その結果、手紙の結びなどに使われる'regards'や
> 'best wishes'も同じような例ではないかと感じております。また、
> 'salutations'が発話行為的に使われる例もBank of Englishの検索から確認でき
> ました。
> それから、'Congratulations!'も例に加えることができるかもしれません。
>
> このようなテーマの検索をするのに、電子版シソーラスが結構威力を発揮するこ
> とがわかりました。今までは冊子版にせよ電子版にせよ、シソーラスというもの
> が使いこなせていなかったので、面白い使い方が発見できて喜んでおります。

(加藤)昨夜寝ながらこの問題を考えて,Congratulations! と regards に思い
いいたり,更に Condolences,はどうかと思って(ただ,これには頭に疑問符を
つけて),そのメモを持参して学校へ来てみると,やっぱり先生のメールが入
っていました.さっそく BNC を検索してみると次のような例が見つかり,ヤマ
カンもあたることがあると思った次第です:

AR3 1633 Dr Meredith rose and said: 'My condolences, Stevens.

東海林先生は最初のメールで次のように書かれております:

> thank youとほぼ同義で用いられるthanksは、一種の発話行為と考えていいのだ
> と思います。つまり、saying = actingということですね。
> 同じように複数形の名詞で発話行為として用いられるものに、apologiesがある
> ことに最近気付きました。複数のメーリングリストに同じ投稿をすることを詫び
> るのに、
>
> > Apologies for cross posting
>
> などという言い方で使われます。
> 「名詞による発話行為」というテーマはなかなか興味深い感じがします。

「発話行為」動詞 ("performative verbs") という概念を最初に唱えたのは,
Austin, J. L. (1962), How to Do Things with Words (Oxford UP, 1962) で
はないかと思うのですが,かれが挙げたのは,シャンパンのビンを割りながら船
に命名する "I name this ship the Queen Elizabeth" とか,結婚の誓いのこ
とば "I do [take this woman/man as my lawful wedded wife/husband]." な
どでした.
東海林先生が気づかれた「名詞による発話行為」というのは次のような枠に
収まる名詞句がすべて含まれるのかもしれないと思ったりしております:

I offer you (my) NP.

そして,この文頭の I offer you が省略されたと考えるわけです.



From: "Matumoto Yosihito" <>
Subject: [lex] RE: [lex] (C) と (U) {02} {01}
Date: Sat, 27 Feb 1999 09:55:16 +0900

水野さん早速のレスありがとうございます。松本祥仁です。

|これは種類を表す複数形ではありませんか?
|化学などでも、例えばアルコール類をalcoholsとしたり、様々な種類の
|同類物を表す時は複数形にします。上記の例だけに限っていえば、
|様々なcuisineを表しているのではないかと思います。このような使い方
|は、特に化学やバイオ系の文献にはよく出てきます。

大体考えていたことと同じレスで,ほっとしています。つまり,牛乳は数えられない
けど,カップは数えられる(例えが悪いかもしれません)のと同じわけですね。

生徒達には謝らずに済みそうです(^_^)。



From: kazuo kato <>
Subject: [lex] (C) と (U) {02}
Date: Sat, 27 Feb 1999 09:57:47 +0900

松本先生:

加藤@岩手医大です.

Matumoto Yosihito wrote:
>
> といった複数形がたくさん見つかります。(Yahoo検索なので a cuisine や the
> cuisine は探せませんが,きっとあると思います)
>
> ということは,(U)(C)と,「複数形になる,ならない」,「冠詞がつく,つかない」
> は,関係がない?ということなのでしょうか。
>
(加藤)BNC [http://thetis.bl.uk] の簡易検索でもヒットします:

> Your query was
>
> a cuisine
>
> Only 3 solutions found for this query
>
> APC 1432 As a cuisine it was not very attractive to the man who had left
> half his insides across Central Asia two years before.
>
> C9F 716 This month we feature her recipes from Burgundy, which is
> renowned for its beef, poultry and wine; sunny Provence, which boasts a
> cuisine built around colourful seasonal produce and pungent herbs; and
> Auvergne and Limousin, an isolated, unspoilt region of France, famous for
> its cheeses, hearty meat dishes and the delicate Puy lentil.
>
> CFS 3069 Because China was often short of material to fuel ovens, a
> cuisine sprang up where a strong flame cooked food very quickly.



From: "Asako Mizuno" <>
Subject: [lex] RE: [lex] (C) と (U) {02} {03}
Date: Sat, 27 Feb 1999 10:16:37 +0900

水野です。

Matumoto Yosihito wrote:

> 大体考えていたことと同じレスで,ほっとしています。つまり,牛乳は数えられない
> けど,カップは数えられる(例えが悪いかもしれません)のと同じわけですね。

具体的な輪郭を与えてやるという意味ではおっしゃる通りだと思います。ただ、
a cup ofは準単位に含まれるフレーズのようなので、「生徒さん向け」に話しを
されることがあったら違う例の方がよいかもしれませんね。

****************************
有限会社サグラーシェ 水野麻子
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http://port.monjunet.ne.jp/



From: kazuo kato <>
Subject: [lex] "bears not" と "ain't" {01}
Date: Sat, 27 Feb 1999 11:29:03 +0900

加藤@岩手医大です.

この間,現代英語で強調のために故意に古形 (archaism) を用いた

> Little can we do that is free from our culture's influence, and
> virtually nothing can we find that bears not culture's stamp.
> (出典 John Condon "Cultural Barriers.")

が問題になりました.これは文体的な効果のために故意に異なる speech
levels を混ぜた例とも言えます.同じ手法は(やや)あらたまった談話の中で
"substandard" とされる表現をわざと使う場合にも見られます.その一つの例
が "ain't" です.例えば,

A saint he ain't.
T. S. Eliot I ain't.

はほとんど cliche として用いられます.26(25?)日 NHK BS で放映された
"Jim Lehrer NewsHour" では, David Gergen というジャーナリストが,英国の
週刊科学雑誌 Nature の前編集長 (Emeritus Editor) John Maddox の新著
"What Remains to be Discovered" について著者と対談をしていました.その
中に次のような部分があります:

(John Maddox) I think the 21st century is going to be more staggering
than even this century. And indeed I'm sorry, as many people are,
that in my 70s I shan't be here to see much of this great excitement.
But the way to summarize it, in my opinion, is we ain't seen anything
yet.

David Gergen は多分この ain't に反応したのでしょう.この個所で笑ってい
ました.ここで "we ain't seen anything yet" を "we haven't seen any-
thing yet" と言ったのではインパクトがまるで違います.

なお,この ain't を最初に辞書の見出し語にして Webster's Third New In-
ternational Dictionary (1961) が「顰蹙を買った」わけですが,この間の事
情については次の本がくわしく扱っています:

Herbert C. Morton, The Story of Webster's Third: Philip Gove's Con-
troversial Dictionary and Its Critics (Cambridge University Press,
1994) [ISBN 0-521-46146-4]
 
例によって,まだ読んではいませんが,....



From: "Matumoto Yosihito" <>
Subject: [lex] RE: [lex] (C) と (U) {02} {01}
Date: Sat, 27 Feb 1999 13:50:23 +0900

加藤先生,ご教示ありがとうございます.松本祥仁です.

(加藤先生)
BNC [http://thetis.bl.uk] の簡易検索でもヒットします:

早速やってみました.

Your query was

the cuisine

Only 25 solutions found for this query

という結果でした.大体思った通りの中身でしたが,今まで考えたことがなかったの
で,人に説明できるようになるのには少し時間がかかりそうです.(水野さんにはご
心配をおかけしました)

基本がしっかりしている生徒達と一緒に考えてみることにします.



From: Hideo HIBINO <>
Subject: [lex] Thanks! {01}
Date: Sat, 27 Feb 1999 19:11:10 +0900

小寺 先生

たいへん貴重な情報有り難うございました。 今熱中してやって
いるこたがらなので、助かります。A thousand thanks!

日比野 日出雄 (金蘭短大)



From: "Hiroshi Shoji" <>
Subject: [lex] thanks & apologies {05}
Date: Sat, 27 Feb 1999 11:03:24 -0000

東海林@バーミンガムです。

赤野先生:

> 先生のメールをいつも興味深く拝見しています。前にも書いたことがあるか
> もしれませんが,10年近く前,夏休みにバーミンガム大学に滞在しましたの
> で,先生の最近のバーミンガム大学の様子などを知ることができて,大変う
> れしく思っています。

メッセージありがとうございます。縮小されたとは言え、COBUILDも頑張ってお
り、夏のAILA99(早稲田大学)には何人かの参加も決まっているそうです。

> 先生のそちらでの研究期間も,あとわずかですね。大いに成果を上げられる
> ことを期待しております。これからも貴重な情報をお寄せ下さい。

本当に時の流れが速いのを痛感しております。こちらから情報をお届けできる期
間も本当に後わずかとなりましたが、現在受講しているMAの授業のLexicography
についての簡単なレポートをいずれ投稿したいと考えております。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

Hiroshi Shoji
<University of Birmingham, UK>
<Shion Junior College, Japan>



From: "Hiroshi Shoji" <>
Subject: [lex] thanks & apologies {05}
Date: Sat, 27 Feb 1999 11:04:35 -0000

東海林@バーミンガムです。

加藤先生:

> 昨夜寝ながらこの問題を考えて,Congratulations! と regards に思いいい
> たり,更に Condolences,はどうかと思って(ただ,これには頭に疑問符を
> つけて),そのメモを持参して学校へ来てみると,やっぱり先生のメールが
> 入っていました.さっそく BNC を検索してみると次のような例が見つかり,
> ヤマカンもあたることがあると思った次第です:
>
> AR3 1633 Dr Meredith rose and said: 'My condolences, Stevens.

「寝ながら」考えて下さったとは恐縮です(^_^;)。BNCの検索もして下さり、あ
りがとうございます。condolencesも例に加えてよさそうですね。

> 「発話行為」動詞 ("performative verbs") という概念を最初に唱えたのは,
> Austin, J. L. (1962), How to Do Things with Words (Oxford UP, 1962)
> ではないかと思うのですが,かれが挙げたのは,シャンパンのビンを割りな
> がら船に命名する "I name this ship the Queen Elizabeth" とか,結婚の
> 誓いのことば "I do [take this woman/man as my lawful wedded wife/
> husband]." などでした.

学部時代に「英語学概論」の授業でAustinのことを知り、その後友人とHow to
Do Things with Wordsを苦労しながら読んだ思い出があります。また、
Coulthard, M (1985) An Introduction to Discourse Analysis, 2nd ed.,
Longmanの第2章にこの本の内容が要約されております。「名詞による発話行
為」の問題を考え始めた時、Austinのことは頭の中にありました。

> 東海林先生が気づかれた「名詞による発話行為」というのは次のような枠
> に収まる名詞句がすべて含まれるのかもしれないと思ったりしております:
>
> I offer you (my) NP.
>
> そして,この文頭の I offer you が省略されたと考えるわけです.

We offer you (our) NP.というframe sentenceも加えていいように思います。
apologiesには次のような例もありますので。

> Our apologies if you receive multiple copies of this message.

さて、なぜ「複数形」なのかということに関して、ちょっと考えがあるのです
が、今時間がありませんので、後で整理して書きたいと思います。

Hiroshi Shoji
<University of Birmingham, UK>
<Shion Junior College, Japan>



From: Masaaki Ohsugi <>
Subject: [lex] Greeting {01}
Date: Sat, 27 Feb 1999 11:07:57 +0000

初めまして、清泉女子大学の大杉正明と申します。昨年4月よりExeter大学の客
員教授として英国に来ております。「辞書学メーリング・リスト」開設1周年と
いう記念すべき時に仲間に入れていただきました。よろしくお願いします。御紹
介くださった投野先生(元学芸大・現在ランカスター大)と畠山先生(大阪国際
大)にはこの場を借りて改めてお礼申しあげます。入会の手みやげになるかどう
かわかりませんが、情報をひとつ。最近OxfordのOUPを訪ね、OEDの改訂作業の進
み具合などについて編集長のJohn Simpson 氏に聞きましたところ、第3版では
アメリカ英語の発音を併記することを決定したそうです。「決めたばかりだ」と
言っていましたので、もしかするとまだ日本には伝わっていないかと思いおしら
せした次第です。皆さんの議論を読ませていただき、大いに刺激を受けておりま
す。あと1ヶ月ほどで日本に帰りますが、今後ともよろしくお願い致します。



From: "Hiroshi Shoji" <>
Subject: [lex] Greeting {02}
Date: Sat, 27 Feb 1999 17:09:03 -0000

大杉先生

先生の「英語会話」では大変勉強をさせていただいた東海林と申します。先生が
Exeterで御研究されていることは筑波の磐崎先生より伺って存じておりました。
友人の中にExeterで勉強した者も何人かおります。

> 最近OxfordのOUPを訪ね、OEDの改訂作業の進み具合などについて編集長の
> John Simpson 氏に聞きましたところ、第3版ではアメリカ英語の発音を
> 併記することを決定したそうです。

この情報はOEDのWebsiteにも流れておりました:

http://www.oed.com/inside/revision.htm

イギリス英語の発音の表記がどうなるのかにも興味があります。特に気になるの
は、hairなどの母音をCOD9 (1995)のように'broad e + :'と表記するのかどう
か…

> あと1ヶ月ほどで日本に帰りますが、今後ともよろしくお願い致します。

現在私も英国のバーミンガム大学で勉強させていただいておりますが、先生と同
じく3月いっぱいで帰国致します。こちらでは主にコーパス言語学の学習辞書編
集への応用を勉強しているのですが、先生はどんなテーマで御研究されているの
でしょうか。

Exeterの御様子などをいろいろ教えていただけたら幸いです。どうぞよろしくお
願い申し上げます。

Hiroshi Shoji
<University of Birmingham, UK>
<Shion Junior College, Japan>



From: "Hiroshi Shoji" <>
Subject: [lex] thanks & apologies {06}
Date: Sat, 27 Feb 1999 18:11:04 -0000

東海林@バーミンガムです。

「名詞による発話行為」という現象が本当にあるとして、それが何故「複数形」
によってなされるかという問題を考えてみたいと思います。

これまでに加藤先生のお力を借りて集めた具体例を並べてみます:

thanks, apologies, cheers, greetings, regards, best wishes, salutations,
congratulations, condolences.

以上を眺めて気付くのは、いずれもpolitenessに関した単語だということです。
そして、複数形になっているにもかかわらず、輪郭のはっきりしない抽象的な感
情を表す名詞でもあります。

相手に対する敬意を表すのに、本来数えられない感情を無理やり数えてしまう。
そしてその気持ちを「たくさん」持っていることを最も端的に表せるのが「複数
形」ということになりはしないでしょうか?

日本人の感覚では少々わかりにくい部分もあるので、学習辞典では配慮すべき分
野なのかなとも思います。

Hiroshi Shoji
<University of Birmingham, UK>
<Shion Junior College, Japan>



From: "浅田 幸善" <>
Subject: [lex] Newbury House Dic. '99 {01}
Date: Sun, 28 Feb 1999 11:03:16 +0900

★ すでに店頭に並んでいるので、速報にはなりませんが。

The Newbury House Dictionary of American English の99年版が出ています。

Paperback - 1100 pages 2nd Bk&cdr edition (June 1998)
Heinle & Heinle Pub; ISBN: 0838478123 ; Dimensions (in inches): 1.58 x 8.42
x 5.61
List Price: $19.95→Amazon Price:$15.96 (cf.
丸善などの店頭では本体 \3,411)

裏表紙を見ますと、年1回のペースで新版を出す計画のようです。
今回の特長は、何と言っても辞書のCD-ROM版が付属したことでしょう。
見出し語の発音なども収録されています。
それだけで『買い!』とは言えませんが、CD-ROMが標準でついてきたというのには
少々驚かされました。

あとは、新語の収録をセールスポイントにしています。
DVDはもちろんSUV(→●注), など、いくつか追加されています。
1年ごとにupdateするというのであれば、収録語数に限りがあるとはいえ、新語辞典
としての性格も持ってくるということなのでしょう。

●注 1年くらい前でしたか、SUV =sport utility vehicle
という語を初めて見たとき、どういう日本語になるのだろうと思っていましたが、
どうも新聞などではカタカナで済ましてしまっているようです。
(小学館プッログレッシブ英和辞典第3版によれば 「sport utility vehicle:
スポーツユーティリティ:乗用車とジープの特徴を具有する車;日本でいうRV車.⇒RE
CREATIONAL VEHICLE」)

(ここまで丸善の立ち読みで得た情報(=記憶)に基づいて書いていましたが、やは
り実際に使ってみないと正確な判断はできないと思い、この辞書を購入してきまし
た。CD-ROMの問題点などもう少しあとで別便にてご報告しようかと思います。)

浅田幸善 (ASADA Yukiyoshi)



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] Newbury House Dic. '99 {02}
Date: Sun, 28 Feb 1999 12:23:44 +0900

浅田様

千葉県井上です。辞書の話ときくとにおいをかぎつけ、しゃしゃり出ます。

> ★ すでに店頭に並んでいるので、速報にはなりませんが。
>
> The Newbury House Dictionary of American English の99年版が出ています。
>
> Paperback - 1100 pages 2nd Bk&cdr edition (June 1998)
> Heinle & Heinle Pub; ISBN: 0838478123 ; Dimensions (in inches): 1.58 x
8.42
> x 5.61
> List Price: $19.95→Amazon Price:$15.96 (cf.
> 丸善などの店頭では本体 \3,411)

気がつきませんでした。
年1回のペースで新版を出すのは、日本の大辞典、広辞苑とか大辞林も是非見習っ
て欲しいですが。その都度
新本を出すのではなく、追加語のみにしていただきたいですね(ちょっと不便です
が、なにが追加されたか、も
情報ですから。それに新語情報のみ欲しいという人もいるでしょう。わたしも辞書
に書き込み、マークをつける
ほうですから、これをすてるのは女房を捨てるようなわけにはいかない(ここだけ
のハナシ)。ちなみに、広辞苑新版がでましたが、新語何千語追加、説明を全面訂
正、といっても、なにが追加されたかの表示が全くありません。前版をもっている
人もかなりいるでしょうに、ユーザがなにを望んでいるかを知らないのでは、と思
います。日本の辞典に限りませんが。初出語をOED2のように示していない場合はわ
たしは是非、この表示が欲しいと思います)

>
> 裏表紙を見ますと、年1回のペースで新版を出す計画のようです。
> 今回の特長は、何と言っても辞書のCD-ROM版が付属したことでしょう。
> 見出し語の発音なども収録されています。
>
それだけで『買い!』とは言えませんが、CD-ROMが標準でついてきたというのには
> 少々驚かされました。

CD-ROM化のコストが、下がったのでしょうが、雑誌辞書が、なんでもかでもCD-ROM
にするのも困りものです。追加料金はらってでも、CD-ROMは本屋で引き取ってくれ
といいたいのもあります。この辞典のことをいっているつもりではないですが。私
の好みで言えば、OED2とか、少なくとも1ギガに近い情報を含んだモノしかCD-ROM
化は必要ありません。それより、分冊化して欲しいですね、大辞典は。大辞林が3
分冊版を出していますが。(わたしはNOEDも6−7冊にばらして使用することにし
ました。ランダムハウス大英和は9冊にわけています。もし、分けていなかったら引
く回数も今より減っていたと思います。体力=握力はすこし増加したでしょうが。
ひょっとして、SOHOなどのための体力維持のことも考えていただいたのでしょうか
。。。。。)出かけるとき電車の中でも読めるし、引くにも読むにも便利がよいで
す。体力のひ弱な方、ぜひ、分冊運動を起こしましょう!

> あとは、新語の収録をセールスポイントにしています。
> DVDはもちろんSUV(→●注), など、いくつか追加されています。
>
1年ごとにupdateするというのであれば、収録語数に限りがあるとはいえ、新語辞典
> としての性格も持ってくるということなのでしょう。
新語辞典もときどきみかけましたが、今はあまりないようですね、編集がくたびれ
るのでしょうか?売れないのでしょうか?新語がのっているかどうかも、辞典購入
の際の動機になりますが、NOEDを選んだときには fab(半導体製造工場)がのってい
たので購入しました(これは新語とはいえないのですが、ほかに載っている辞書を
見たことがありません)NHDAE1998にはのっていますか?

>
> ●注 1年くらい前でしたか、SUV =sport utility vehicle
>
という語を初めて見たとき、どういう日本語になるのだろうと思っていましたが、
> どうも新聞などではカタカナで済ましてしまっているようです。

かたかなといいますと?エスユーヴィーですか。スポーツユーティ車ですか?
NOEDなどに新語が何万のっていても、意味は分かったとしても、何という日本訳を
つけたら良いのかという問題がつぎに残り、喜び半分という場合もあります。

>
(ここまで丸善の立ち読みで得た情報(=記憶)に基づいて書いていましたが、やは
>
り実際に使ってみないと正確な判断はできないと思い、この辞書を購入してきまし
> た。CD-ROMの問題点などもう少しあとで別便にてご報告しようかと思います。)
私も購入します!

PS
昨日、買い物ついでに、行方不明のジニアス英和を、店頭で見ていたのですが、
aの説明中、項目番号をたてて
an estimated ....
のみ、をのせていたので驚きました。よく使われる使用法なのでしょうか。

また、estimateの項にも、解説があり、a がついているのは、a以降をひとまとま
りとして集合名詞(記憶不確か)と
して扱うためである、という解説が付いていました。

今回の件で、学習辞典をreferしなければならない、といことがわかったのが大きな
収穫でした。さて、そこで。。。
上記のCD-ROMの件
ら私は2枚でも(3枚となると
考えますが)購入します。前回のNHKクイズ日本人の質問によれば、阪神タイガース
優勝の翌日、大阪の駅売店で、関西スポーツ新聞社5社が協力して、スポーツ紙5紙
をまとめて袋づめで販売し普段の5倍を売り切ったということです。スポーツ紙と学
習辞典じゃ、話が違う!?そうでしょうか。
ながいPSでした。



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] 語源辞典など {01}
Date: Sun, 28 Feb 1999 13:08:35 +0900

MLの皆様

1 ラテン語/ギリシャ語(語源)をキーワードとして、OED2
(現在のCD-ROM版で)を検索することは可能なのでしょうか。
たとえば、pels, pulsあるいはPELLEREを入力すると、
pulse, pulsate, compel, expel, ipmel, propel,
appeal。。。およびそれらの派生語 などがすべてリストアップされる
ような引き方を望んでいます。


英単語をindexにした語源辞典はOUPをはじめかなり出版されていますが、語源をinde
xに英単語の派生語のフルリストを載せた書物は出版されていませんか?

3 ペーパーバック版のVocaburary
Building本は何冊か洋書売場で見かけますが、OUPも社会人向けに
類書を出版しているのでしょうか。

とくに本MLのなかには、先日来読んでいますと、OUPと懇意になさっておられるかた
がおいでのようなので、お伺いする次第です。

井上・千葉県

//////Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373



From: "SEKIYAMA, Kenji (Sekky)" <>
Subject: [lex] 語源辞典など {02}
Date: Sun, 28 Feb 1999 13:27:14 +0900

井上さま

At 13:08 +0900 99.2.28, you wrote:

> 1 ラテン語/ギリシャ語(語源)をキーワードとして、OED2
> (現在のCD-ROM版で)を検索することは可能なのでしょうか。
> たとえば、pels, pulsあるいはPELLEREを入力すると、
> pulse, pulsate, compel, expel, ipmel, propel,
> appeal。。。およびそれらの派生語 などがすべてリストアップされる
> ような引き方を望んでいます。

OED on CD-ROMでは,語源検索の機能がありますので,メニューのSearch ->
Etymology でcited formのところにPELLEREを入れるとpulse, pulsate, compel,
expel, ipmel, propel, appealなどは検索されます。もちろん,Search -> Textから
,全文検索で行うこともできますが,Search -> Etymologyのほうが,語源欄のみに
限定して検索できるので,検索ノイズが少なくなるでしょう。同様の検索は,OED on
CD-ROMに限らず,NSOEDやMWCD,RHDのCD-ROMでもできます。それ以外のCD-ROM辞書で
も,欧米が出しているものは,ほとんどすべて(電子ブック版含め)のものが,全文
検索はサポートしているはずです。

---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---
SEKIYAMA, Kenji (Aichi Shukutoku University)

E-mail: , (alternative)

"Sociolinguistics is NOT sociolinguistics, but sociolinguistics is
linguistics" (William Labov)
---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---=---
= Webpage URL: http://members.tripod.com/~sekky =
→「学会発表マニュアル」第3版ができました



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] RE: [lex] 語源辞典など {02} {01}
Date: Sun, 28 Feb 1999 14:19:58 +0900

関山様
千葉県、井上です。

早速使用しました。どうもありがとうございました。

ついでにおうかがいしますが、PELLEREと、過去分詞形 PULSUSで検索した場合の両
者で
出力結果は異なります(一部合致しますが)。これを併せて出力させる方法(OR条
件)もEtymologyで可能なのでしょうか。一般にラテン語なりから派生語を探す場合
には、語源の変化形(過去分詞など)を含めてイチモウ打尽に出力したい、場合が
多いのですがそういうときは、あらかじめ、ラテン語辞典なりで過去形なり派生語
をしらべたうえで、OEDを引くという手順になるのでしょうか。

マニュアルに書いてあることかもしれませんが。よろしくお願いします。

//////Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373



From: Minamide Kosei <>
Subject: [lex] thanks と duality {01}
Date: Sun, 28 Feb 1999 14:31:35 +0900

東海林先生

 thanks, apologies をめぐる加藤先生との議論興味深く拝見してい
ます。特になぜ複数形なのかという点に関心があります。これには強調
説、二者一対(duality)説,感情複合説などがあるようです。先生のお考
えは「相手に対する敬意を表すのに、本来数えられない感情を無理やり
数えてしまう。そしてその気持ちを「たくさん」持っていることを最も
端的に表せるのが「複数形」ということになりはしないでしょうか?」
ということですので強調説に近いと思います。そこでduality説などを
M.A.Wickens(1992): Grammatical Number in English Nouns(John
Benjamins ISBN 9027235732)を参考にして紹介したいと思います。
まず、thanksですが、感謝というのは(話し手の)感謝の表出
(expression)という行為があり、それを(聞き手が)承認
(acknowledgement)するという行為があって初めて成立するものです。
この意味で二者一対ということになります(Wickensは発話行為につい
て言及していませんが、発話行為理論の用語を借りるなら、発語媒介行
為(perlocutionary act)を読み込んだ発語内行為ということができま
す)。この説明は遂行動詞的に用いることが可能な(あるいは可能と思
われる)apologies, condolences, congratulationsにも当てはまりま
す。
 regards, remembrances, greetings,best wishes, complimentsは
まとめて言えば、「よろしくとの伝言」で「よろしく」には、感謝、お詫
び、依頼などいろいろな気持ちがこめられるので感情複合説が妥当かと思
います。
しかし、実際にはどの語にどの説が当てはまるかという問題でなくて、
強調、二者一対、感情複合が渾然一体となった複数表現というのが最も
妥当でしょうか。
「日本人の感覚では少々わかりにくい部分もあるので、学習辞典では配
慮すべき分野なのかなとも思います」とのご指摘はその通りで、語用論
の分野での研究成果と現行の辞書記述との間には相当なギャップがあり
ます。そのギャップをどのように埋めてゆくかは今後の英和辞典編集の
課題の一つだと思います。

====================================================
南出康世
自宅 〒630―0267生駒市仲之町3―46―401
 電話・ファックス:0743―75―7050
 email: /
=====================================================



From: "SEKIYAMA, Kenji (Sekky)" <>
Subject: [lex] RE: [lex] 語源辞典など {02} {03}
Date: Sun, 28 Feb 1999 14:58:54 +0900

井上さま,

At 14:19 +0900 99.2.28, you wrote:

> ついでにおうかがいしますが、PELLEREと、過去分詞形 PULSUSで検索した場合の両
> 者で
> 出力結果は異なります(一部合致しますが)。これを併せて出力させる方法(OR条
> 件)もEtymologyで可能なのでしょうか。一般にラテン語なりから派生語を探す場合
> には、語源の変化形(過去分詞など)を含めてイチモウ打尽に出力したい、場合が
> 多いのですがそういうときは、あらかじめ、ラテン語辞典なりで過去形なり派生語
> をしらべたうえで、OEDを引くという手順になるのでしょうか。

OR条件のようなBoolean operator(AND, OR, NOT, AND NOT)を利用した検索は,OED
on CD-ROMの場合,検索式を作らないといけなかったはずです。マニュアルが手元に
ないのでうろ覚えですが,メニューのFile -> Query File Newをやってください。ま
っさらなウインドゥが出るので,その中に

select etymology cf="pellere" or cf="pulsus" into (pul)

と入れてください。ちなみに,

select etymology ->「OEDの語源欄のみに検索範囲を限定しなさい」

cf="pellere" or cf="pulsus" ->「語源欄の中のcited formに関する検索に限定し,
"pellere"または"pulsus"のいずれか1つ以上(OR)を満たしているものを抽出しなさ
い」

into (pul) -> 「その結果をpulというファイルに落としなさい」

という意味です。

Queryを入れ終わったら,File -> Save and Run で,検索式が保存されると同時に,
検索が実行され,pellereまたはpulsus(あるいはこれら両方)を語源欄に含む見出
し語がさがせます。

なお,OED on CD-ROMには,base formを入れれば過去分詞形なども引っぱってくれる
機能はついていないはずなので,前述のように,OR検索するしかないと思います。あ
るいは,英語の規則変化形のように,語尾(語頭)だけが変化する場合は,ワイルド
カード(?,*)をうまく使えば多少手抜きができます。

Query Languageは,慣れるまではめんくらいますが,select [フィールド](スペー
ス)[検索種]=[検索キー]into (出力ファイル) という公式さえ覚えれば,あとは[
]内を変えるだけでどのような複雑な検索でもできるようになります。

#個人的には,OED on CD-ROMの強力なquery languageは重宝していますが,やはり
使いにくいところもあります。ちなみに,NSOED on CD-ROMは,比較的使いやすいイ
ンタフェース(式のかたちにしなくてよい)で,しかもOED on CD-ROMのquery
languageなみの高度な検索ができます。

------------------------------
Kenji Sekiyama (ASU)

Email:
------------------------------



From: "浅田 幸善" <>
Subject: [lex] Newbury House Dic. '99 {03}
Date: Sun, 28 Feb 1999 15:24:34 +0900

井上 様

(井上さん wrote)
新語辞典もときどきみかけましたが、今はあまりないようですね、編集がくたびれ
るのでしょうか?売れないのでしょうか?新語がのっているかどうかも、辞典購入
の際の動機になりますが、NOEDを選んだときには fab(半導体製造工場)がのってい
たので購入しました(これは新語とはいえないのですが、ほかに載っている辞書を
見たことがありません)NHDAE1998にはのっていますか?

◆ さすがに、のっていません。
◆ もともと収録語数が多いとはいえないので、新語といっても home page,
second-hand smokeなど他の辞書にも入っていそうな語がかなりあります。new words
というよりは、new additionsという方があたっているかもしれません。(99年版に
追加された語句については、目次の前に、New Words, Terms, and Phrasesという見
出しのもと、57語(句)がリストアップされています。)現時点で他の辞書にあまり
載ってなさそうなのを少しあげておきますと
dot (as in "dot com")
help desk
casual Friday, warehouse club (共に英辞郎にあり)

(浅田 wrote)
> ●注 1年くらい前でしたか、SUV =sport utility vehicle
>という語を初めて見たとき、どういう日本語になるのだろうと思っていましたが、
> どうも新聞などではカタカナで済ましてしまっているようです。
(井上さん wrote)
かたかなといいますと?エスユーヴィーですか。スポーツユーティ車ですか?
NOEDなどに新語が何万のっていても、意味は分かったとしても、何という日本訳を
つけたら良いのかという問題がつぎに残り、喜び半分という場合もあります。

◆ 申し訳ありません。ちゃんと書くべきでした。
『スポーツ・ユーティリティー・ビークル』です。

※ この辞書を購入されるのは、ちょっと待った方がよいかもしれません。またあと
で書くつもりでしたが、1点だけ問題をあげておくと、一部(というよりかなりの)
語の音声(発音)が聞けません。本来なら音声が用意されているはずの見出し語
(delicious, party, together, total, etc.)の音がなぜか再生されません。私だけ
の問題ではないと思います。バグ?  音声の欠けているのが致命的な欠点ではあり
ませんが、あるはずのものがないのはちょっと不満に思う人もいるでしょう。

浅田幸善 (ASADA Yukiyoshi)



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] サピア 言語 安藤貞夫訳 {01}
Date: Sun, 28 Feb 1999 15:59:36 +0900

MLのみなさんへ

だいぶ前に、原書を購入しながら、おそらくいまでは、そうこの中で虫食い状態と
なっている、上記書物の
岩波文庫版を昨日見つけて購入しました。ざっと目次を見てげんざいいちばん興味
を引く第5章「言語の形式--文法的概念」を読みました。原本は1921年発行でかなり
古いものですが、私には非常におもしろく読めました。

サピアは1つの典型的な単文からはじめます。
The farmer kills the duckling 農夫が子ガモを殺す
この文には三つの異なる基本概念、これが相互にいくつかの方法で互いに関連づけ
られている。farmer, kill,
duckling。として、この単純な文に、言語のいろいろのな基本概念が具体化されて
いる、とのべ始めます。わたしは
まずこのスタイルが気に入りました。以下、farmer、kill、ducklingに具現されて
いる観念(概念)の分析がつづきます。

途中で、もし、theを削除し、接尾語のsをはぶい他とすれば、全く新しい一組の関
係が得られるとし、
Farmer, kill the duckling 農夫よ、子ガモを殺せ
「という文は、わたしがいまや、その農夫のことを話題にしているだけではなく、
かれに向かって話しかけているのであり、さらに、農夫は実際に子ガモを殺してい
るのではなくて、殺せとわたしに命じられていることを含意する。。。。
。。。小さなtheは元の位置に戻らなければならないし、-sも省略してはならない、
という結論になる。。。。
The farmer killed the
duckling(農夫はその子ガモを殺した)のような文との比較から、この過度に負担を
かけられた-sには、はっきりした現在時への指示も含まれていることがわかる。。
。。。英語をはなすひとびとからは、数は、明らかに、必要な関係をあらわすもの
と感じられている。そうでなければ、数の概念を二度も、名詞と動詞において表現
する理由はないものと思われる。。。。

ここでは、ピーターセンの「日本人の英語」の第1章にいう英語の世界観なるものが
述べられております(私見)。ピーターセン氏は、日本人からの手紙に私はチキン
を食べた、のチキンの冠詞の使い方がまちがっているために生きている鳥をたべた
、と解釈され、ふつうの米国人なら気味悪がる。。。とのべていました(それで、
私はピーターセン氏の頭には、このとき、口のまわりに血を滴らせた日本人しか想
像できなかったらしい。日本語その他では文脈から解釈するのでそのような恐怖に
おそわれることはなくちゃんと調理したとりを食べたと推定する。”vulnerable”
な英語をもつ米国人に同情もうしあげる、などと書いたり思ったりしました)これ
は、嘘であろうと、おもっていましたが、サピア氏などのこの記述によると、どう
なのか、ちょっと自信がなくなります。

さて、ここから、この例文によって例証される概念のタイプとして
I 具体概念
A 語感概念
B 派生概念
II 関係概念
指示
モダリティー
対人関係

に分類し、この語からなる短文中には、13の明確に異なる概念が表現されている。
。。。として、つぎの節

類似概念の非整合的な表現
につなげ、こう述べます。

この分析は、ややこじつけに思われるかもしれないが、それは単に、われわれが英
語の使い古した表現の溝になれすぎて、それを必然的なものと、感じるようになっ
ているためにほかならない。けれども、なじみのものを破壊的に分析することこそ
、根本的に異なる表現形式を理解するための唯一の接近法なのだ。母語の構造のな
かで、なにが偶発的で非論理的で、不均衡なものであるかを感じられるようになっ
たときには、そのひとはすでに、異国風のことばで種種のクラスの概念がどのよう
に表現されているかについて、共感をもって理解をだいぶすすんだと言っていい。

以上引用です。もすこし引用させてください。

「異国風」のものがおしなべて、本質的に非論理的で荒唐無稽なわけではない。視
野を広げるならば、奇異で例外的なものとしてみえてくるのは、まさに、当のなじ
みのものであることが多いのだ。純粋な論理的な観点からすれば、さきの文で表現
されている概念が、なぜ、あのように選び出され、取り扱われ、群にまとめられて
、他の方法よらなかったのかについては、内在的なりゆうなどないのは明らかであ
る。

サピアはかなり古いひとですが(あとがきによると、言語の普遍性に注意を向け、
言語能力は生得的なものとするチョムスキーの影響のもとにとみに力がなくなって
きた、と書かれています)、私はこの文章に非常に共感します。

この章はまだまだつづきます。「語順と強制」「品詞、絶対的な分類は不可能--名
詞と動詞」など。

この章を読んだにしかすぎないのですが、ひとつの文章から、英文法(正確には文
法概念=すなわち認識)をときすすめるという方法は(マルクスが具体的な商品か
ら、資本主義社会を叙述する方法にに
ような文章からも、文法の世界を切り開かれると言う、はっきりしたメッセージを
えたことが収穫です。

文庫本、760円+税。安いですから、未読の方はどうぞ。私の文章がこの著作への興
味を逆に失わせていなければよいんですが。

以上

//////Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373


From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] RE: [lex] RE: [lex] 語源辞典など {02} {01}{03}
Date: Sun, 28 Feb 1999 16:04:28 +0900

浅田様
千葉、井上です

お忙しいところ、 OED検索方法について、ご丁寧に回答をいただき感謝に堪えませ
ん。
さっそくしごとがかたづきましたら、実行してみたいと思います。細かい質問にな
りますのでML
のみなさんの関心を引かないとおもわれるものは個別に質問させてください。

ありがとうございました。

//////Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] Newbury House Dic. '99 {04}
Date: Sun, 28 Feb 1999 16:17:57 +0900

浅田様

千葉県、井上です。

Newbury Houseの情報ありがとうございました。

使わないと入ったモノのの、CD-ROMのerrorがあると、きいたら、損をしたような気
がするから
現金なモノです。
(だから余計なモノをつけなかったらよかったのに!)などと、ますます思います

では

相乗りですみません。
別便で、サピアの小著を(ほんの1章ですが)紹介しましたが、下記の書物をご存じ
の方、2,3紹介していただければ
ありがたいのですが。

1
サピアころから、現代までの、チョムスキーを含む、言語学、とくに英語の、「わ
かりやすい学説史」
できれば、翻訳があるものがよいのですが。

2 「めっぽうおもしろい」英文法書 形容矛盾でしょうか?

//////Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373



From: Hironobu Matsuoka <>
Subject: [lex] サピア 言語 安藤貞夫訳 {01}
Date: Sun, 28 Feb 1999 18:27:41 +0900

こんにちは。

実は個人的な話ですが、この本の訳者である安藤貞夫先生は、現在、私どもの大学であ
る広島の安田女子大学におられます。
この本の刊行を大変喜ばれておられて、私も一冊寄贈していただき、読みました。

身近に居て、いかに先生が大変なご努力をはらわれてこの本の訳を完結されたか存じ上
げている私としても
是非みなさまにすばらしい訳本である、この「言語」をご一読頂きたいと思います。

----
Hironobu Matsuoka
URL: http://ace.yasuda-u.ac.jp/~hmatuoka
Office: 082-878-9833(direct dialing)
Fax: 082-872-2896



From: "noboru inoue, mr" <>
Subject: [lex] RE: [lex] サピア 言語 安藤 {01}貞夫訳 {01} {01}
Date: Sun, 28 Feb 1999 18:58:37 +0900

松岡様

メッセージありがとうございます。

内容豊富な本に私のような主題に関して素養のないものが、言語学の概説書とはい
え有名な専門書の紹介をするなど場違いも甚だしいことをして汗顔のいたりです。

どうかみなさま、直接お読みになってください。

内容的には難しいことをいっているのでしょうけど、わかるところだけ飛ばし読み
しても、インスピレーションにみちた
ことばにあふれています。いずれ、全部読んだ後に、疑問点などを提出されていた
だければ幸いです。それにしても、このMLにおける議論がなければこの本を購入す
ることもおそらくなかったことをおもい、本MLのみなさんに感謝したいとおもいま
す。

井上・千葉県

//////Noboru Inoue//////

Inzai-shi, Chiba-ken, Japan 270-1341
fax 81-476-46-2847 tel 81-90-481-38373



From: "浅田 幸善" <>
Subject: [lex] RE: [lex] Newbury House Dic. '99 {04} {01}
Date: Sun, 28 Feb 1999 19:23:26 +0900

今までに気づいたCD-ROM版の特徴を簡単に記しておきます。(Windowsにて確認) 

1. Windows(3.1, 95/98)とMacの両方で使えるハイブリッドタイプ。
2.
テキストデータ部分はハードディスクにコピーされる。図版・音声データを呼び出
すにはCD-ROMドライブにCD-ROMが入れてあることが必要。(『CD革命』を用いて作
成した仮想CD-ROMドライブに複製を作って使用することは可能でした。もちろんこ
れは正規の使い方ではありません。)
3.
書籍版にはない図版の追加。さらに、カラー写真が新たに追加されています。(た
だし、写真が効果的であるかどうかは別問題だと思います。)
4.
定義文・用例中の単語をクリックするだけでその語の項目が呼び出される。ダブル
クリックすると発音が聞ける。(前回のメールに書いたように、音声が呼び出せな
いケースもだいぶあります。)
5.
調べている語を含む用例を10個まで呼び出すことができる。これは「10個しか」呼
び出せないと言いたくなります。(一度に示されるのは3個まで。しかも、1回のク
リックでダイレクトに次の3個を呼び出すことができないのはつらい。)このあたり
の制限は残念ですね。わざと使いにくくしているような印象を受けます。
6. 発音記号のフォントとしては、このMLでも紹介されたように記憶している、SIL
IPA93が3種用いられている。そして、これらのフォントはWORDなどでも使えます。
(WORDの『記号と特殊文字』の挿入機能を使ってこれらのフォントを使用してみま
した。何より気に入ったのは、アクセント記号を母音の上に打つことができること
です。)
7.
ウィンドウやフォントの大きさを変えることはできない。個人的にはウィンドウと
フォントサイズを大きくして使いたいのですが。

【はみ出し情報】
On-line Dictionaryがあります。
the ONLY on-line, interactive learner's dictionaryと言っています。
http://nhd.heinle.com
(関連画像は「工事中」とやらでまだ見ることができませんでした。)



From: "Hiroshi Shoji" <>
Subject: [lex] Newbury House Dic. '99 {02}
Date: Sun, 28 Feb 1999 10:38:58 -0000

東海林@バーミンガムです。

浅田先生、Newbury House Dic. '99の御紹介ありがとうございました。

> DVDはもちろんSUV(→●注), など、いくつか追加されています。

とのことですが、DVDは何の略ということになっておりますでしょうか?
以前Longman Language & Culture 2 (1998)を御紹介した時に、私は次のように
書きました。

> FAQやISDNはLDOCE3 (1995) の時点では未収録です。
> 同じくLDOCE3未収録のDVDは、'digital versatile disk'の略とされていま
> す。
> Vは'Video'の略だと思い込んでいたので驚き、NODEの方も引いてみると、こ
> ちらは'digital videodisc'となっていたので、本当はどちら??と思って
> しまいました。

昨年出た英国人向け辞書では、当然あると思われたCED4は何とDVDを未収録、
Chambers Newは'digital video disc'ということで、今まで私が見た辞書では
「2勝1敗でvideoの勝ち」ということになっております(videoとdiscの間のス
ペースの有無の違いはありますが)。

米国の新しい辞書は日本よりも入手しにくい状況ですので、恐れ入りますが上記
の点教えていただけましたら幸いです。(インターネット通販を利用すればいい
のですが、帰国まで1か月となり、荷物が増えることを躊躇しております…)

Hiroshi Shoji
<University of Birmingham, UK>
<Shion Junior College, Japan>



From: 村田 年 <>
Subject: [lex] thanks & apologies {04}
Date: Mon, 01 Mar 1999 00:13:34 +0900

村田 年(千葉大)です.

うちの留学生の1人が私へのメールでいつも冒頭に

Greetings, Murata-sensei,

と書いてきます.文体としては口語的なんでしょうね.



From: Masaaki Ohsugi <>
Subject: [lex] Exeter {01}
Date: Sun, 28 Feb 1999 23:40:31 +0000

東海林先生                              
                               
大杉です。入会して初めてのあいさつにすぐにコメントをいただきありがとう
ございます。
> 先生の「英語会話」では大変勉強をさせていただいた東海林と申します。先生が
> Exeterで御研究されていることは筑波の磐崎先生より伺って存じておりました。
番組を聞いていただきありがとうございました。磐崎先生からは日本を発つ前に
イギリスでの生活についていろいろ情報をいただきました。投野先生(ランカス
ター大)と私供夫婦で磐崎先生にお願いして(一杯飲みながらですが)特訓を受
けました。
>
> イギリス英語の発音の表記がどうなるのかにも興味があります。特に気になるの
> は、hairなどの母音をCOD9 (1995)のように'broad e + :'と表記するのかどう
> か…
私も同様の興味を持っています。早く知りたいところです。

> 現在私も英国のバーミンガム大学で勉強させていただいておりますが、先生と同
> じく3月いっぱいで帰国致します。こちらでは主にコーパス言語学の学習辞書編
> 集への応用を勉強しているのですが、先生はどんなテーマで御研究されているの
> でしょうか。

> Exeterの御様子などをいろいろ教えていただけたら幸いです。どうぞよろしくお
> 願い申し上げます。
私はbilingual dictionariesの"user perspectives"からの研究をしているんで
すが(いや、するつもりだったと言った方がいいのかもしれません)、1册本を
読むと知らないことばかりでどんどん読む本の種類がひろがり、実は今や収拾が
つかなくなっています。ExeterはDictionary Research Centreの所長を務める
Dr. Reinhard Hartmannがlexicography関係の研究の中心ですが、Longmanの
LexiconやOxfordのCompanion to the English Languageなどで知られる、現在
English Todayの編集者Tom McArthurも年に4回(各1週間〜2週間)大学院の
集中講議に来ます。私はこの二人の大学院の授業に時々まぜてもらい、恥をかき
ながらも刺激を受けています。もうひとつは、昨年からExeter大学全学規模で学
生の辞書使用に関する調査を行ってきました。私もこれを計画・実施する委員会
のメンバーになっているんですが、(まあ、たいして役には立っていません)数
日前も中国からの研究者(5名ほど来ていて、ほとんどが教員)と一緒にテスト
をつくる会議をしました。会議の後、全員でDr.Hartmannの唯一の運動兼娯楽で
ある卓球をしに行ったのですが、強豪ぞろいの中国選手を向こうにまわして何と
Dr.Hartmannが優勝したのであります。こんなところでExeterの様子がわかりま
したでしょうか。ついでながら、4月のなかばからExeterでInterLex'99が行わ
れます。確か昨年大阪国際大学の畠山先生がMLに情報を流して下さったと思いま
すが、興味がおありの方は是非ご参照ください。

> Hiroshi Shoji
> <University of Birmingham, UK>
> <Shion Junior College, Japan>


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