deny + doing {1}
Date: Sun, 24 May 1998 From: "NISHIMURA Tadamasa"
deny + doing の動詞型について、英和辞典の記述に疑問がわきました.
deny のあとの動名詞節は、単純動名詞でも deny よりも時間的に以前におこったこともあらわす、と覚えていたのですが、ほとんどの英和辞典は次のように提示しています.
deny
[deny + doing [having done] …しない[しなかった]と言う
~~~~~ ``````````` ~~~~~~ ```````````
{用例は完了動名詞)
これだと、doing --しない having done --しなかった としか読めないと思うのです.
ちなみに、述語動詞より必ず「時間的に以前」のことをあらわす remember は次のように記述しています.
remember
[remember + doing/having done] …したことを覚えている
~~~~ ~~~~
『実例英文法』は、§264 で「動詞 deny
は完了形の動名詞を伴うほうが多いと見てよい」.
Declerck『現代英文法総論』の§15.3.3.1 の説明は『実例』とはちがう.
英和辞典の記述にはなんらかの統語的制約を含意させているのでしょうか.(しかし、学生には文字どおりにしか読みませんでした).
西村 公正
[lex] ? deny + doing {2}
Date: Mon, 25 May 1998 From: kazuo kato
西村先生:
加藤@岩手医大です.
Quirk et al. (1985), A Comprehensive Grammar of the English Language pp.1190-1191 は deny と同類の動詞として admit の例を上げ,I admit having seen it. と I admit seeing it. は synonymous だと記述した後で,次のように述べています:
'This paraphrase relation, however, exists mainly with verbs of dynamic meaning; contrast verbs of stative meaning:’
そして I admit known him. と I admit having known him. は等号では結べないとしています.
もし Quirk らの言うことが正しいとすれば,動詞(と形容詞)について dynamic と stative の 区別をしている「ジーニアス」などは deny の項で当然このことに触れるべきだったでしょうね. (加藤 和男)
[lex] ? deny + doing {3}
Date: Mon, 25 May 1998 From: kazuo kato
加藤@岩手医大です.訂正(訂正は終了しましたので割愛させていただきます:松本)と追加です.
前略
ところで,BNC には Quirk et al. (1985)
が上げている I admit having known him. や I deny having
known him. のような stative
の完了形が見当たらないようです.
(動作動詞の例,例えば,having done / made / taught /
comitted / broken などならあります.)
どなたか,そういう例をお持ちじゃないでしょうか? OED2 on CD-ROM にもありません. (加藤 和男)
[lex] ? deny + doing {3}
Date: Tue, 26 May 1998 From: "NISHIMURA Tadamasa"
加藤先生.
一番肝心なところを調べてくださって、ありがとうございました.
私も、書きこみ前に2.3の参考文献をあたってみて、Nigel D. Turton『英文法正誤チェック辞典』の、
The chairman strongly denies knowing anything about the report.
(ほとんど同じ例文が OALD にあり)を見たときに、deny + doing について私が今まで説明していたことは、半端だったと思い知りました.それが先生が指摘してくださった deny + doing {状態動詞}+ doing (動作動詞) を問題にしておかなくてはなりませんね.
ところで学習英英辞典が、 deny + doing について説明が無いのは英語母語話者にはこういうことが意識に上らないのではないかと思いました.どうも学習英英辞典と英和辞典のコンセプトは基本的に異なっているのでは、という思いがします.
西村 公正