either〜A or B と A or B〜either
Date: Wed, 1 Apr 1998 From: "Matumoto Yosihito"
佐賀の松本@MCSです。
弓プレスの Meeting People U L1Reading (p4) に、次のような文がありました。
In listening, you might miss some of the points the professor makes, and you won't be able to read or write as fast as your native speaker peers, either.
(ここでの "you" は、日本人学生です。)
生徒には「読むことも、書くことも」という訳になる、といって辞書を見ると、なんと用例がありませんでした。代わりに either〜A or B が載っていて、「AかBかどちらか(一方)」と書いてあり、なぜ位置が変わるとこんなにニュアンスが変わるのか、私自身、ハッとしました。
ご存じの方がいらっしゃいましたら、是非ご教授いただきたいと思いアップしております。よろしくお願い申しあげます。
[lex] either〜A or Bと A or B〜either
Date: Wed, 01 Apr 1998 From: kazuo kato
松本先生:
加藤@岩手医大です.
この either は,
My wife doesn't like cats and I don't, either.
の either と同じものでしょう.この either は前段に否定文が出てくる文で使われることが多いのですが,そうでない場合もあります.
CIDE にある
They do really good food at that restaurant and it's not very expensive either.
というのがちょうどそれだと思います.したがって,問題の文は「聞き取りも不完全かもしれないし,読み書きでもネイテイヴ並みには行かないかもしれない」ということではないでしょうか. (加藤 和男)
[lex] either〜A or Bと A or B〜either^2
Date: Wed, 1 Apr 1998 From: "Matumoto Yosihito"
加藤先生、レスありがとうございます。
佐賀の松本@MCSです。
In listening, you might miss some of the points the professor makes, and you won't be able to read or write as fast as your native speaker peers, either.
の文で、"either" は、"read or write"
ではなく、
~~
"〜might miss 〜, and 〜 won't be able to read or write
〜"
~~~
に呼応しているわけですね。言われてみれば、全くその通りで、ちょっと汗をかいています。ありがとうございました。
[lex] either...or...について
Date: Tue, 7 Apr 1998 From:
(terutada OKADA)
いつも大変勉強になり、有難うございます。それで、標記の件ですが、加藤先生のお説で納得ですが、私はこのような場合次のように説明していますが、間違っているでしょうか。
1。これは基本的に not...and ...,either. である。
2。では、否定語は何処にあるかと言えば、miss にある。これはcatch(もっと適当な語があるかもしれませんが)という肯定を表わす語と対照になっていて一応否定語と考えられる、と言うわけで(1)の構文と同じものである。
ところで、加藤先生の上げておられるCIDEの例文ですが、ここでも実はgood food なら「当然値段が高い、安くない筈なのに」という意識が働いているので最後にeitherが 来ていると考えられます。ですから、really がよく効いているとおもいます。
ついでに、我が愛用するプログレッシブでは「肯定節の後で前の文を補足して」...言っても(...ではない)、として次のような例文がありますが、ちょっと状況の説明がなく判りにくい感じがします。
He is very clever and is not proud either.
これは誰かが、「彼が頭が悪い」とか「利口じゃない」とかの発言に対して、いわば反論したような文である感じが判りにくいのです。狭いスペースの辞書では限界があるでしょうが。ご教示頂ければ幸いです。
[lex] either...or...について
Date: Wed, 08 Apr 1998 From: kazuo kato
岡田先生:
加藤@岩手医大です.コメントありがとうございました.
ご指摘の通りだと思います.後で調べてみたらこの件については「英語基本形容詞・副詞辞典」(1989)(p. 581)に言及がありました:
「通例,先行節は否定文であるが,次のように意味的に否定を含意する内容の文がくることもある」として
Georgia M. Green (1968), "On TOO and EITHER, and not just on TOO and EITHER, either," Papers from the Fourth Regional Meeting of Chicago Linguistic Society (CLS) 4: 22-39 の Ho Chi Minh is responsible for a lot of deaths, and LBJ is no saint either.(p. 24)
を引用し,この文について
"The sentence implies that Ho Chi Minh is no saint."
と説明しています.また,
It tastes good and, it's not expensive, either.(p. 27)
という, CIDE の例に非常によく似た例をあげ,
"... the two clauses must agree in semantic or affective negativity."(p.27)
と述べています.
>
ついでに、我が愛用するプログレッシブでは「肯定節の後で前の文を補足して」..
> .言っても(...ではない)、として次のような例文がありますが、
>
ちょっと状況の説明がなく判りにくい感じがします。
> He is very clever and is not proud either.
これは誰かが、「彼が頭が悪い」と
>
か「利口じゃない」とかの発言に対して、いわば反論したような文である感じが
>
判りにくいのです。狭いスペースの辞書では限界があるでしょうが。ご教示頂
> ければ幸いです。
辞書は限られたスペースで勝負しなければなりませんから,「舌足らず」ということが時々起こります.「頭がとてもいい」ということに対して聞き手の否定的な反応が予想される場合なら,このような文もありうるのではないかと思いますが,個人的にはこの用例の英語にはちょっと抵抗を感じます.私なら次のように言いたいように思います:
He is very smart and is not overproud/arrogant either.
clever は「小賢しい」に似た否定的な含意を持つことがあるので抵抗を感じますし,「能ある鷹」は爪を隠さない米国のような文化ではこのような場合 proud はちょっと問題がありそうな気がします.しかし,これはあくまでも私個人の意見です・ (加藤 和男)